店舗経営のDX(デジタルトランスフォーメーション)を科学するウェブマガジン

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これからの店舗経営・ブランド運営とは ―DXの推進が鍵(前編)―

マーケティング
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本WEBメディアでは、「DX」「CRM」「OMO」「O2O」「オムニチャネル」「CRM・SFA・MA」「マーケティング手法」「購買情報・顧客属性」などのテーマで記事をお届けしています。この記事は、それらの「まとめ」記事の前編となります。店舗経営・ブランド運営の参考にしていただけると幸甚です。

 

これからの店舗経営はDXの推進が鍵

これからの店舗経営はDXの推進が鍵
DXは「Digital Transformation(Trans=X)」の略称です。DXはITの活用を通じて「ビジネスモデルや組織を変革すること」を意味しています。DXの目的は「企業の競争優位性を確立すること」であり、DXを実現する要素はAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信システム)です。これらを上手く利用することがDXへの近道です。

企業が存続、発展していくためにはDXは必要不可欠とまで言われています。DXの推進には経営戦略そのものが必要になります。その経営戦略においては、ビジョンの共有と危機感の共有が欠かせません。経済産業省は2025年までに既存の古いシステム(レガシーシステム)を刷新して、DXを強化しなければ、競争力が低下するであろうと懸念しています。

既にマクドナルドやパルコ、Shake ShackのようにDXを推進し、成果をあげている企業も出現しています。このマガジンではDX実現のヒントや方法について紹介しながら、読者の皆様の店舗経営におけるDX実現をお手伝いさせていただきます。

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?数年後に12兆円の損失?

2.DXを強化する意義と事業者が今すべきことは?事例を紹介

3.店舗経営・ブランド運営におけるDXとは?DXで企業価値を高める

 

CRMは顧客との密接な関係を築く手法

CRMは顧客との密接な関係を築く手法

CRMを「顧客管理」と訳している例はありますが、CRMは「顧客関係管理」(Customer Relationship Management以下CRM)の略で、顧客管理を顧客との関係強化のツールととらえています。

近年、IT技術や通信速度の進歩、マーケティング手法の進化などによって、「顧客管理システム」は「CRM」へ進化してきました。「CRM」を導入する目的は、固定客を増やし、売上の増進や利益の最大化を図ることです。

「CRM」を活用することで、「顧客に合った品ぞろえとサービスの提供」が容易になるのです。その実現のために、顧客との関係が強化されるだけではなく、社内の業務が変わり、業務の質が向上します。CRMは顧客ばかりか、企業にも大きなメリットをもたらすのです。

この「CRM」の進展を後押ししたのはスマホの普及です。スマホアプリを顧客との関係強化の道具として活用できたからです。企業は各種お知らせやクーポン配信、DM、ポイントなどのスマホアプリを開発し、顧客にそれを利用してもらうことで顧客との距離を縮めています。

このように「CRM」は顧客の情報を管理するためだけではなく、「カスタマーサティスファクション(顧客満足)」、さらにはその先にある「カスタマーサクセス」を実現させるための手法でもあるのです。

 

4.顧客情報を最大限に活用、管理できる「CRM」とは?

5.顧客との関係も社内業務も変わる!「CRM」導入のメリットと課題

 

OMOでネットとリアルの壁をなくす

OMOでネットとリアルの壁をなくす

「O2O」は「Online To Offline)」のことで、ネット(オンライン)を利用して顧客を実店舗(オフライン)に誘導し、実店舗での購入を促進させる手法です。「オムニチャネル」はあらゆる(オムニ)販路(チャネル)をつなげるための手法です。

「オムニチャネル」が実現すると、顧客はすべての販路(実店舗、ネットショップ、カタログなど)から情報を入手して、自分の「好きな時」に、「好きな場所」で「好きなモノ」を購入し、「好きな場所」で商品を受け取ることができます。

「OMO」は「Online Merges With Offline」のことで「オンラインとオフラインを一つに融合する」概念を指します。「OMO」のカギとなるのはスマートフォンです。スマートフォンがカギになる最大の理由は「顧客接点(タッチポイント)を増やせる」からです。

スマートフォンが普及するまで、タッチポイントを増やす有効なツールが見つからず、オンラインとオフラインが個別に管理され、メールやDM、電話などの従来型のツールでタッチポイントを増やす努力をしていました。「OMO」によって顧客はリアルやネットを意識をせずに、便利に買い物ができるようになり、CX(顧客体験)が大きく向上し、感動を招きます。

「OMO」によってオンラインとオフラインの境界が取り払われ、顧客と店舗・企業の距離が縮まり、その距離を意識する必要性が薄れたのです。

 

6.店舗もネットも進化する新しいマーケティング概念「OMO」とは?

7.「OMO」で世の中が変わる?カギになるのはスマートフォン!

8.成功事例から読み解く「OMO」の活用方法とメリット

 

O2Oやオムニチャネル、OMOの違いを理解する

O2Oやオムニチャネル、OMOの違いを理解する
重複しますが、改めて整理しておきましょう。

「O2O」は「Online to Offline」の略で、オンライン(ネット)上での施策でオフライン(リアル)への結果に結び付ける施策を指します。具体的には、飲食店や小売店が、ネットを利用して割引クーポン、サービスチケットなどを顧客に提供して来店や購買を促す、あるいは位置情報と連動したサービスで店舗認知や来店促進を行う取り組みなどです。

オムニは「すべての」、チャネルは「経路」を意味します。「オムニチャネル」は、あらゆる経路を利用して顧客との接点を創出する考え方、戦略を指します。チャネルとは「店舗」や「ネット」、「アプリ」や「SNS」、「マスメディア」、「カタログ」、「屋外広告」など多岐に渡っています。

近年はネットを利用した通信販売が普及し、電子商取引が増加しています。そのため、販売や流通の経路がシームレスにつながることが求められ、その結果生まれた考え方です。
つまり、オンライン、オフラインの垣根を越えて接点を創出するのがオムニチャネルの考え方なのです。

これらに対して「OMO」は「Online Merges with Offline」の略で、Mergeは併合する・溶け合わせるという意味を持ちます。つまりOMOは「オンラインとオフラインを融合する」という意味なのです。

他の用語と異なり、オンラインとオフラインを分けて考えるというよりも、店舗とオンラインの双方で同じものが購入できる、ポイントが両方で付与されるなど、二つのチャネルの垣根を取り払う施策のことを指します。

 

9.「O2O」とは?オムニチャネルやOMOとの違いも解説

10.オムニチャネルとは?類似用語との違いと導入事例を紹介

 

「CRM」「SFA」「MA」の3つのツールの役割を知る

「CRM」「SFA」「MA」の3つのツールの役割を知る

マーケティングでは外せない、3つのツールがあります。これらの言葉について今一度整理してみましょう。

・CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理):顧客との密接な関係を構築するためのツール

・SFA(Sales Force Automation:営業活動支援):営業活動を効率化するためのツール

・MA(Marketing Automation:マーケティング自動化):見込客(リード)の獲得とアプローチを管理するためのツール

「CRM」「SFA」「MA」はいずれも、その導入によって売上がアップしたり、商品やサービスの品質向上に寄与するばかりか、業務の効率化を促進する働きを持っています。

これまで別々に入力し、別々に管理していた情報が一元管理され、情報共有のために個別に作成していた報告書や日報が一本化されることで、仕事の効率が上がり、残業時間の大幅削減が可能となるのです。その浮いた時間をよりクリエイティブな業務に充てることができるなど、仕事の環境が大幅に改善できるのです。

これらのツールはいずれも営業やマーケティング活動を効率化し、最終的には売上拡大にまでつなげられます。しかし3つのツールをすべてを導入する必要はありません。既存のシステムの棚卸をして、必要性の高いツールから順次導入するだけでも大きな成果が期待できます。自社にとって必要なツールは何か、費用対効果を見極めながら一つずつ対応していけばよいでしょう。

11.営業・マーケティングの三種の神器??「CRM」「SFA」「MA」の違いとつながり

 

DXの実現に向けた取り組みの重要性(まとめ)

今回は、「これからの店舗経営・ブランド運営とは ―その1―」と題し、「DX」「CRM」「OMO」「O2O」「オムニチャネル」「CRM・SFA・MA」をテーマとして、これまでお届けしてきた記事のまとめをさせて頂きました。DXはこれから企業が存続、発展していく上で欠かせない取り組みです。そのDXの推進に向けて「何から始めたら良いのか」、経営者の皆様、マネージャーの皆様はお悩みのことと拝察します。

何から始めれば良いというものではなく、皆様の企業や店舗において、今何が不足しているのかを再度確認して頂き、それらを整理した上で優先順位を付けて、計画的に取り組まれるのがよろしいかと思います。後編では、さらに様々な手法や考え方について触れてまいりますので、引き続きご精読いただけると幸いでございます。

―後編に続く―