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「O2O」とは?オムニチャネルやOMOとの違いも解説

OMO
  • hatena

近年、マーケティング手法としてよく耳にするようになっている、『O2O(Online to Offline)』。
この記事では、他の用語との違いや、実際に行われている企業の導入事例などのご紹介をしたいと思います。興味のある方や導入を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

O2O(Online to Offline)とは

O2O(Online to Offline)とは
O2Oとは、Online to Offlineの略語で、オンライン(ネット上)での施策でオフライン(ネット外)への結果に繋げる施策を指します。
具体的な事例で挙げるならば、実店舗を持っている飲食店や小売店が、ネット上で割引クーポンやサービスチケットなどを提供して来店・購買を促すことや、グーグルマイビジネスなどの位置情報と連動したサービスによって店舗認知や来店の促進を行うような取り組みです。
その他、アプリを使ってリテンション施策を行うものO2Oの一つと言えます。

ご存知の通り、2013年から2017年でスマートフォンの保有率が急速に増加しており、令和2年の総務省の発表によるとスマートフォンの保有世帯の割合が引き続き増加、初めて2割を超え、個人の保有割合も増加し、67.6%となっておりました。
ソーシャルネットワーキングサービスを利用している個人の割合も、1年で9ポイントも増加し69%となり、利用目的で増加しているのは『知りたいことについて情報を探すため』という回答が増加していました。
このことからも、今一段オンライン上での施策強化の必要性をご実感いただけるかと思います。

(参考:総務省『令和元年通信利用動向調査の結果』『令和元年通信利用動向調査の結果』)

O2Oとオムニチャネルの違い

O2Oとオムニチャネルの違い
オンラインに関する用語は他にもあり、違いがイマイチわからない、ということもあるかと思いますので、簡単にご説明をさせていただければと思います。

オムニチャネル

オムニは「すべての、あらゆる」、チャネルは「経路」という意味で、オムニチャネルはあらゆる経路で顧客と接点を創出するという考え方、戦略を指します。
チャネルは「店舗」「ネット」「アプリ」「SNS」「マスメディア」「カタログ」「屋外広告」など多岐に渡ります。近年ネットでの通信販売が普及し、電子商取引が増加しました。そのため、販売や流通の経路が継ぎ目なくつながることが求められて生まれた考え方です。
つまり、オンラインもオフラインも織り交ぜて接点を創出するのがオムニチャネルなのです。

具体的な事例を挙げると、コンビニのセブンイレブンや、百貨店のそごう・西武、スーパーのイトーヨーカドーを保有するセブン&アイがあります。セブン&アイはグループの垣根を超えて、オンラインで商品を購入できる「オムニ7」というサービスを展開しています。
宅配だけでなく、セブンイレブンの実店舗で商品の受け取りをすることも選択できるため、仕事帰りに商品を受け取るなどの利便性の高さが特徴です。

O2OとOMO(Online Merges with Offline)の違い

スマホとタブレットで画面を見ながら実際の商品を確認する人たち
OMOはOnline Merges with Offlineの略で、Mergeは日本語で併合する・溶け合わせるという意味を持ちます。OMOはオンラインとオフラインの融合という意味になのです。
他の用語と異なり、オンラインとオフラインを分けて考えるというよりも、店舗・オンライン双方で同じものが購入できる・ポイントがどちらでも付与・利用できるなど、二つのチャネル間の垣根を取り除く施策のことを指します。
OMOは、元GoogleチャイナのCEOで、現在はシノベーションベンチャーズを率いる李開復(リ カイフ)が提唱し始めた言葉です。この言葉は2017年12月のザ・エコノミスト誌にて発表されたことから注目を浴びるようになりました。
最も有名なOMOの事例は、アリババ傘下のスーパー「Hema」の事例なのではないでしょうか。Hemaでは通常のスーパーでの販売、オンラインショッピング、食材の調理加工、配送の4つの展開を行っております。
オンラインで購入できる商品と、実店舗で販売されている商品はリンクしています。また、店舗およびオンライン上で調理を依頼することもできますし、配店舗から3キロ圏内であれば30分以内に配送することが可能であるなど、オンライン上と実店舗が融合したサービスで新しい消費体験ができるところが特徴です。

企業のO2Oを取り入れた販売促進の取り組み事例

企業のO2Oを取り入れた販売促進の取り組み事例
あらゆる企業がO2O施策を取り入れていますが、いくつかの実例を紹介したいと思います。

株式会社ユニクロ

皆さんにも身近に感じられるO2Oの施策事例としてあげられるのがユニクロの販売促進かと思います。
ユニクロでは独自のアプリを用意しており、新商品の告知のほか、クーポンやアプリ内でセール情報や期間限定価格などのチラシを確認できる仕組みや、店舗在庫を確認できる仕組みを取り入れ、
オンラインから実店舗への導線を生み出しています。
そのほかアプリの機能ではバーコードリーダーが装着されており、商品バーコードを読み取ることで製品の情報や口コミを見ることができるという、オフラインとオンラインをうまく活用した取り組みを実践しています。

(参考:ユニクロ『ユニクロアプリで買いもの上手になろう』)

株式会社 ニトリホールディングス

大手家具販売店のニトリでは公式アプリで商品の画像をアップロードすることで、アプリ内で商品を検索出来る機能などを装着しています。
撮影した写真から同一または類似商品を検索したり、商品の店内売り場位置を取得することができます。
店頭で消費者が店舗スタッフに画像を元に商品を探して欲しいという要望するケースも多いそう。
店舗スタッフに問い合わせずとも検索でき、店舗での販売位置も見ることができれば、より購買につながる可能性が高くなりそうです。

(参考:株式会社 ニトリホールディングス『第48期中間株主通信』)

O2Oまとめ

本記事では、O2Oの意味や混同しやすい語句との違い、またその導入事例などについてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?

オンラインとオフラインをつなげることで様々な効果を得られることがお分かりいただけたかと思います。O2Oの取り組みは日々進化しており、多数の方法があります。前述したように自社ならではのアプリケーションを開発するのも一つの手ですが、独自のアプリがなくとも、LINE公式アカウントやTwitterなど一般のアプリを活用し、告知やクーポン配布を行うこともできます。本記事でもご紹介した事例のほかに、簡単に導入できる取り組みもたくさん存在しています。
明日から始めてはいかがでしょうか。その際にはこの記事を参考にしていただければ幸いです。