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顧客起点マーケティングとは?概要や分析手法を詳細解説!

マーケティング
  • hatena

現代社会では、顧客ニーズの多様化により、マーケティングで見込顧客を絞っていくことが重要になっています。マーケティング手法には様々なものがありますが、中でも顧客重視のマーケティングとして「顧客起点マーケティング」と呼ばれるものがあります。今回はこの顧客起点マーケティングについて詳細を解説していきます。

顧客起点マーケティングとは?

顧客起点マーケティングとは、本来のマーケティングの目的である「顧客の把握」に焦点を当てたマーケティングを指します。顧客起点マーケティングという概念は、P&Gやロート製薬など数多くの大企業でマーケッターとして活躍した西口一希氏が提唱したものです。現代ではマーケティングの手法が無数に存在している状態で、多くのマーケティング担当者がマーケティング手法を活用しています。マーケティング手法を活用すること自体は問題ないのですが、あまりにも手法に依存していまうと「顧客の把握」がなおざりになってしまう可能性があるのです。マーケティングは顧客が何を考えて行動しているのか、何を求めているのかを分析するのが本来の目的です。顧客起点マーケティングでは、このマーケティング本来の目的を達成するために、1人の顧客から全体のマーケティングへつなげていきます。

知らず知らずのうちに企業起点のマーケティングを行ってしまうと、企業側が売りたい商品を市場の顧客に当てはめていく状態になってしまい、顧客の購買行動と乖離してしまうことがあります。このような状態を防ぐためにも、顧客起点マーケティングは有用になります。

顧客起点マーケティングにおけるアイデア

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西口氏は著書の中で、顧客起点マーケティングにおける「アイデア」を「独自性があり、かつ便益のあるもの」として定義しています。独自性のみ、または便益のみのものはアイデアとは呼ばず、あくまでも2つの性質を合わせもったものを「アイデア」としています。さらにアイディアを下記の2つに分類しています。

  • プロダクトアイデア
    →商品・サービスのもととなるアイデア
  • コミュニケーションアイデア
    →商品・サービスを認知させる手段となるアイデア

上記2つのうち、顧客起点マーケティングで重要になってくるのは「プロダクトアイデア」です。商品・サービス自体が顧客のニーズと合致していないと、いくら伝達手段が優れていても長期的に売上を伸ばすことは難しいです。「独自性」と「便益」を併せ持ったプロダクトアイデアを生み出すことが、顧客起点マーケティングの肝といえます。

たとえば、iPhoneを例にして考えると、iPhone発売当時はまだAndroidのスマホは普及しておらず、iPhoneが唯一のスマホ端末でした。iPhoneというプロダクト自体が「独自性」を持っている状態です。あとは顧客のニーズにあった「便益」を備えれば、iPhoneはプロダクトアイデアの条件を満たす商品になります。実際、iPhoneはガラケー時代からは考えられないような機能(全てタッチで操作する等)を備えることに成功しており、爆発的に人気を集めていきます。

顧客起点マーケティングで活用する「N1分析」

顧客起点マーケティングで活用する「N1分析」 イメージ画像

顧客起点マーケティングでは、1人の顧客の購買行動から「独自性」と「便益」を併せ持ったアイデアを創出していくことが重要になります。これを実現するために利用するのが「N1分析」と呼ばれる手法です。N1分析は1人の顧客に焦点を絞って顧客の性質を見極める分析手法になります。こちらも西口氏が提唱した分析手法です。

N1分析では、顧客を「5セグマップ(顧客ピラミッド)」と「9セグマップ」に分類して定義していきます。

5セグマップ(顧客ピラミッド)

5セグマップは、商品・サービスの認知度、購買頻度、購買経験によって5つの顧客タイプに分けていきます。

  • ロイヤル顧客
    →商品・サービスの認知あり、購買頻度が高い
  • 一般顧客
    →商品・サービスの認知あり、購買頻度は中~低
  • 離反顧客
    →商品・サービスの認知あり、購買経験はあるが現在は購入していない
  • 認知・未購買顧客
    →商品・サービスの認知あり、購買経験なし
  • 未認知顧客
    →商品・サービスの認知なし

上記の顧客タイプのうち、どのタイプをターゲットにするかで戦略が変わってきます。

9セグマップ

9セグマップでは、5セグマップで分けた各タイプを「積極」と「消極」の2タイプに細分化します(未認知顧客は、積極・消極で分けられないので、1タイプのみです)。たとえば、ロイヤル顧客であるならば「積極ロイヤル顧客」と「消極ロイヤル顧客」といった具合です。ここでいう「積極」と「消極」とは、顧客が商品・サービス購入後に「次回もまた同様に購入するか否か」の度合いになります。

顧客起点マーケティングでは、1人の顧客が9つのタイプのうち、どのタイプに当てはまるかを分析していくことからスタートします。ゴールとしては、各顧客タイプを「積極ロイヤル顧客」に近づけることです。

顧客起点マーケティングおける「行動データ」と「心理データ」

顧客起点マーケティングおける「行動データ」と「心理データ」 イメージ画像

顧客起点マーケティングにおいて、顧客を「積極ロイヤル顧客」に近づけることが重要ですが、そこに至る前に「行動データ」と「心理データ」の分析も補助的に行います。

行動データとは、顧客の購買行動や購入した商品・サービスの情報など、購買に直接結びついたデータを指します。一般的なマーケティングでは、この行動データの分析にウェイトがかかっています。顧客起点マーケティングでは、行動データのみの分析は行いません。あくまでも前述した顧客タイプに分けるために、行動データを利用します。

心理データとは、ブランドの認知度や選好度など、購買行動に間接的な影響を与えているデータになります。心理データは行動データと比べると可視化することが難しいとされています。というのも、顧客自身が認知度・選好度を正確に把握していないことが多いためです。「知り合いが使っていたから、何となく良さそうだった」といった具合に、顧客自身がそこまで強い認知度を持っていないケースもあります。心理データの分析には限界があるため、これを補うためにも最終的にはN1分析によってタイプ分けすることが必要になってくるのです。

行動データと心理データの分析は、あくまでも顧客起点マーケティングを行うための下準備という認識を持っておきましょう。

▶顧客分析とは?目的・主要な3つの分析手法・集客UPに活かす方法 についてはこちら

顧客起点マーケティングを行う際の注意点

顧客起点マーケティングを行う際の注意点 イメージ画像

顧客起点マーケティングを行う際は、ピラミッド上層の顧客のみに注力しすぎない注意することが肝要です。顧客起点マーケティングにおいて、顧客ピラミッドの最上層である「積極ロイヤル顧客」に各顧客を近づけることが重要ですが、すぐに積極ロイヤル顧客になり得るであろうタイプ(消極ロイヤル顧客、積極・消極一般顧客など)にのみ注力してしまうと、長期的には売上アップの限界が見えてきてしまいます。どうしても目先の利益を重視するあまり、リピーターに対する販促を重視してしまうこともありますが、長い目で見るとこの認識は改めないといけません。

ピラミッド下部の顧客層にもアプローチをかけていくことが、長期的な売上アップには必須になります。未認知顧客がいきなりロイヤル顧客になることは稀なので、1ステップずつ顧客タイプのランクを上げていかねばなりません。これを踏まえると、各顧客タイプごとに仕掛けるべき施策をそれぞれ準備しておくことが肝要になります。ピラミッドの下層タイプの顧客にのみ注力してしまっても、今度は安定した売上が出なくなるので、特定のタイプにのみに偏らないようバランスをとらなければなりません。

顧客起点マーケティングを活用して、詳細な顧客分析を行おう

顧客起点マーケティングは、1人の顧客分析を徹底して行うことで、顧客のニーズを把握していくマーケティング手法になります。N1分析を実施して、顧客のタイプを詳細に分けていき、各タイプに応じて販売促進をかけていきます。従来のマーケティングのように、顧客タイプを分けずに行動データのみで顧客を分けてしまうと、誤った顧客タイプの認識をしてしまう恐れがあります。

また、知らず知らずのうちに企業起点のマーケティングを行ってしまう可能性もあります。これらのリスクを払拭するためにも、顧客起点マーケティングは有用です。顧客起点マーケティングを利用すれば、顧客の定義を徹底して実施することになるので、詳細な階層分けを行うことが可能です。顧客起点マーケティングを使って、同業他社とマーケティングの差を付けていきましょう。