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HRテックと飲食業の相性ってどうなの?導入事例もご紹介

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  • hatena

昨今、飲食店事業では、特有の採用方法や人材管理が重要となっています。

今回は、HRテックの観点からみた飲食事業の特徴から、HRテックとの相性、具体的な事例まで解説します。業界の課題を把握した上で、HRテックの導入を検討しましょう。

HRテックの観点からみた飲食店の事例

HRテックの観点からみた飲食店の事例
人材不足が深刻化する中、飲食店の人材部門(HR)では、人がなかなか集まらないと困っている方もいるでしょう。また、採用後の人材育成に課題を感じている方も少なくありません。

バイト・パートの割合が高い

HRの観点からみた飲食事業の特徴は、「バイトやパートの割合が高く、採用が難しい」ことです。
各飲食店では、正社員は店長など限られた人のみで、それ以外の従業員はバイトやパートが占めています。総務省が実施した「サービス産業動向調査」によると、飲食店で働く従業員の約8割はアルバイトやパートなどの「非正規雇用者」が8割を占めています。アルバイト・パートなしでは、成立しない業界です。

採用が難しい

そこで重要なのが、大半を占めるバイトの管理や採用などを担当する正社員の存在です。しかし、現状として飲食業界は人気がなく、採用が難しくなっています。学生を対象にした就職人気企業ランキングでは、ここ数十年もの間、飲食企業が上位に選ばれていません。

その上、飲食業界は巨大産業であり、競合が多いです。だからこそ、飲食事業のHRは他の業界よりも重要度が高くなります。ただ人材を集めるだけでは競争に勝てません。いかにして「人材を集め、かつ人材育成」するかが大切です。

HRテックからみた飲食店の経営が困難な事例

HRテックからみた飲食店の経営が困難な事例
前項の特徴に加えて、「店長の負担」が大きく経営が非常に難しいということもHRにおける飲食店事業の特徴です。店長はバイト・パートのシフト管理から、採用、マーケティング、人材育成までその業務は多岐にわたっています。従業員やお客様への配慮をすると同時に、個人としてのスキルアップの機会も取らなければなりません。他の業務形態と比べると、店長への負担が大きいと言えるでしょう。

求人@飲食店.COMが200人以上の店長クラスの人材に対し、「店長としての個人的な悩み」に関してアンケート調査(店長の労働環境が改善傾向に!求人@飲食店.COMが店長業務の実態について調査)では、「シフト調整/当日欠勤(46%)」「スタッフ教育(44%)」や人材管理面での悩みをはじめ、「家族や恋人との時間が足りない(34%)」「体力や気力に限界を感じる(32%)」などの悩みが高い割合を占める結果となっています。店長にとって、人材管理と自分の時間を確保するのはハードルが高いようです。

店長への負担が集中してしまうと、企業として「ブラック」なイメージを持たれてしまい、採用にも悪影響を及ぼしかねません。だからこそ、飲食事業では最適なHRで店長の負担を減らすことが重要です。

飲食事業の事例に対するHRテックの親和性

飲食事業の事例に対するHRテックの親和性
結論から言うと、飲食事業とHRテックの親和性は非常に高いと言えます。先述したとおり、「バイトやパートの割合が高く、採用が難しい」というのが飲食業界の特徴ですが、HRテックの活用の仕方次第では、これらの課題を解消することができます。例えば、HRテックが「戦略的な採用」をサポートすることで、優秀な人材を効率的に採用できるようになります。

特に、従業員の大半を占めるバイト・パートの管理は店長だけではまかないきれない業務量になってしまします。そこにHRテックを導入することで、人材管理に当てる時間を削減し、店長の負担を軽減することも可能です。働く側としても、自分のタイミングで働けるようになるため、人材確保への負担が減るでしょう。
何かと「ブラック」なイメージをもたれやすい飲食企業にとっても、企業としての信頼性を高めることで、必然的に採用面を強化するにも繋がっていきます。

飲食事業の主な提供価値は、料理です。HRテックの導入で節約できた時間は、料理に割り当てることができ、さらなる事業拡大へと繋がるでしょう。飲食事業とHRテックの組み合わせによって、大きな相乗効果を期待できます。飲食事業でHRテックを利用しない手はないと言えるでしょう。

飲食事業者のHRテック導入事例

飲食事業者のHRテック導入事例
飲食事業とHRテックとの相性の良さは説明済みですが、実際にどういった事例があるのでしょうか。国内のHRテック導入事例をいくつか紹介します。HRテック導入を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

アクトダイニング

関東を中心に焼肉店などの飲食店を展開するアクトダイニングでは、「人を大切にする会社」を掲げ、HRテックを積極的に活用している企業です。人事・労務管理では、「クラウド人事労務ソフト」のSmartHRを導入。

同サービスは、従業員の情報をデーターベースで一元管理や入社手続きや雇用契約をペーパーレス化などの機能があり、飲食企業を含む2万社以上で導入されています。同社では、SmartHR導入後に「労務担当社員の事務作業の時間がほぼゼロになり、現場の作業に専念できるようになった」など、その有効性を実感。

SMOKE&CHEESE 上野 HAZE

アメ横地区に店舗を構えるダイニングバー、「SMOKE&CHEESE 上野 HAZE」では、HRテック「Airシフト」を導入し、効率的な人材育成に成功しています。Airシフトは、従業員とのやりとりからシフト管理までラクにする「クラウドシフト管理サービス」です。

スタッフのほとんどが大学生のアルバイトで構成される上野 HAZEでは1週間ごとにシフトを作成。Airシフトの導入前はシフト作成に3〜4時間程度かかっていましたが、導入後は3分の1程度になったといいます。また、シフト作成の時間短縮に加え、スタッフの最適な配置や人材育成にも効果を感じているそうです。

ドトール

全国展開するカフェ・チェーン「ドトールコーヒーショップ」では、バイト・パート応募者を管理するHRテックサービス「HITO Manager(ヒト・マネジャー)」や、求人広告をデータベース化する「x:eee(エクシー)」などを活用し、効率的な採用に取り組んでいます。同社は、従業員/スタッフの8割をバイト・パートが占めており、各HRテックサービスを活用することで、エリアや時間ごとにスピート感のある採用・人材配置ができるようになったといいます。

HRテックから見た飲食業の事例についてまとめ

HRテックとは、人工知能技術やクラウドなどのIT技術を利用して、採用などの人事業務を行う方法のことです。

HRテックの観点からみると、飲食事業は「採用が難しく、店長の負担が大きい」という特徴があります。これらの飲食事業に多く見られる特徴・課題はHRテックを利用することで解消することができます。

今回紹介した事例のように、HRテックを導入する飲食企業が増えています。事業者によって経営従業員の状況は大きく異なります。いざ導入しようと思い立っても、知識のないまま始めても失敗してしまう可能性もあるでしょう。また、HRテックを導入するには、自社の課題や状況をしっかりと把握した上で検討する必要があります。その際には、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。