現代のコロナウイルス禍の環境において小売業などのお店は、対象となる消費者のニーズに合った商品を提供することが、生き残っていく鍵になります。自社の顧客層に売れる商品を提供していくことを目的とした顧客分析手法は、小売業にとって非常に重要なツールになるのです。ここでは、その重要な顧客分析手法を解説します。
顧客分析手法のポイント
小売業などにおいて顧客のニーズに応えるためにおこなう顧客分析手法ですが、より顧客層に寄り添った品揃え、サービスを提供していくためには、押さえておくべきポイントがあります。
まずは顧客の現状を把握すること
まず、顧客分析手法で必要なのは、現状の分析です。「これまで店で提供してきた商品、品揃えは本当に顧客ニーズに合致していたのか?」という現状を分析することからスタートするのです。過去の実績において顧客ニーズに合致していれば、当然売上実績は上昇していたはずです。
しかし、売上が横ばいで現状維持が精一杯という状況においても、当店のコンセプトにこだわって顧客のニーズの変化に気づかなければ、現状を打破することはできません。その意味で、顧客分析で現状を把握してみて、いかに販売している商品群が顧客のニーズに合っているか、あるいは合っていないかを把握することが必ず必要になります。
顧客のニーズに合わせることが業績アップにつながる
顧客のニーズに合わせた商品の提供をおこなうことで、顧客を自店に呼び寄せることが可能です。そのためには、顧客の欲している商品の傾向というものを顧客分析で把握して、それに合わせた品揃えを行う必要があるのです。顧客ニーズに合っていなければ、いくら良い商品と自信を持って店に並べても顧客は来てくれません。
5つの顧客分析手法①
小売業などのお店で対象顧客の分析をおこなうためには、顧客分析手法が必要になりますが、どのような分析手法があるのかを知っておく必要があります。顧客分析手法にはいろいろなものがありますが、それぞれ特徴があり、狙う顧客層や商品群によって適切な自社に合った分析手法を見つけることが大切です。ここでは顧客分析手法を2つの章に分けてご紹介しますので、自社、自店に合った顧客分析手法を選択してください。
セグメンテーション分析
昔からおこなわれている分析手法で、セグメンテーション分析とも呼ばれるものです。次に紹介するデシル分析、REM分析のように階層を決めつけずに、多くの顧客層の中から共通の傾向を持った顧客を分類してその傾向を分析する手法になります。これまで、特に対象顧客層というものを意識せずに、より広い消費者を対象に商売をしてきた場合には、その中で自店、自社に適した顧客層と見つけ、その顧客層の傾向に合わせた品揃えに変えていく場合に適しています。
デシル分析
顧客が購入した金額の高い商品や買い物機会数順などに10等分して、それぞれの各顧客層の比率などから傾向を得ようとするものです。現状の顧客の中で、特に利益率の良い顧客を抽出して狙いを定めて商売しようという場合に適しています。
RFM分析
顧客の購買行動を、『最新購買日』、『購買頻度』、『累計購買金額』から分類して分析する手法です。比較的デシル分析と似ていますが、商品価格などにこだわらず、購買行動に的を絞って顧客を分類して分析する手法になります。自店を選んでくれる顧客層を抽出して、それに合わせた品揃えをしようというときに使える手法です。
5つの顧客分析手法②
引き続き、顧客分析手法の続きをご紹介していきます。また、その他気をつけたいことも記載していますので、参考にしてください。
行動トレンド分析
優良顧客に絞り込んで、シーズンごとに的を絞った分析で、傾向を抽出しようとする手法です。普段からよく買ってくれる顧客や購入額の大きい顧客に的を絞ろうとする場合には適しているでしょう。
CTB分析
顧客分析の中でも変わった手法で、カテゴリ、テイスト、ブランドに絞ってグループ化して傾向を分析する手法です。比較的高い精度の予測が可能といわれており、AIなどを利用する場合もあります。手法的に難しく、自社、自店でおこなうには適しておらず、外部に委託して分析してもらう形になります。ある程度、資金力のある小売店向けといえるでしょう。
顧客分析手法に依存しすぎる必要はない
このように顧客分析手法にはさまざまなものがありますが、それだけに依存し過ぎることは逆にリスクを生む可能性もあります。すなわち、顧客行動、ニーズというものは常に変化していくものです。特に、現代ではスマホなどが普及して、トレンドなどは個人でもいつでも見ることができるようになっています。昨日までとは違う購買行動をするようになることも充分にあり得るのです。そのため、目の前で購買傾向が変わっていないか、常に観察をして、品揃えは柔軟に変えていく必要もあります。
顧客分析手法を理解したら最初にすること
顧客分析の様々な手法がわかりました。続いて、どうやって分析を始めたら良いのでしょうか?具体的なやり方を簡単に解説します。
分析ツールの導入
顧客分析をするにあたり、簡単な分析であればエクセルで事足ります。しかし、一番のおすすめは分析ツールの導入です。まず、一般的によく知られているのが、CTMツール。顧客データを管理するもので、顧客の属性や来店履歴などまで細かく管理することが可能です。市場には様々なツールがあるので、チェックしてみて自社に合ったものを選びましょう。
おすすめのCTMツール
Salesforce Marketing Cloud
顧客データはもちろんのこと、行動データも統一し、リアルタイムで組み合わせます。様々なデバイスやチャネルを活用した顧客との一対一のコミュニケーションを実現してくれるシステムです。
MOTENASU 【株式会社FID】
顧客への『おもてなし』を取り入れた、次世代型のMAツールです。メールやLINE@で、顧客一人一人に合わせたチャネルをシナリオに組み込みます。さらに、同一の内容を一斉送信するのではなく、顧客それぞれに合わせた内容のDMを発送できます。
Probance
手軽に導入可能な『Probance One』と、専門的な『Probance Hyper Marketing』の2種類から選べます。機械学習機能がついており、各顧客の傾向を読み取ることで、適切なタイミングや方法でアプローチしてくれます。
SHOP FORCE
店舗ビジネスに特化したツールです。顧客タイプごとにセグメントを切って、プッシュ通知を送ることができます。そうすることで、来店頻度の向上や店舗への愛着向上につながっています。
このほかにも色々なツールがありますので、顧客分析手法と合わせて、活用しましょう。
顧客分析手法を取り入れるにはデータを取得しよう
どの顧客分析手法を取り入れるにしても、まず顧客のデータが必要になります。そのためには、自店のレジで顧客データを把握できるようにシステムを整備していくことが必要です。データ取得には現在では多くのマーケティング会社のシステムがある自社の店舗、顧客などの実際の顧客データが取れるようにするのがまず第一です。そのデータでわが社の顧客が何を求めているのかを分析するようにします。
しかし、データの無い場合にはどうすればいいのでしょう。そのような場合には、マーケティング会社などに依頼して、自店の顧客の傾向、購買傾向などをサンプリングしてもらう方法もあります。ただし、その場合、自店に来る顧客の傾向を見ることも必要ですが、一般の消費者の傾向がどの方向にあるのかも見ておく必要があります。携帯会社やネット企業の利用、クラウドワークスなどの利用もある一般の消費者の購買傾向を調べるために、現代ではネットなどで携帯電話会社や楽天などのネット企業などがおこなっているアンケート方式で質問をしてその傾向を知ることもできます。
また、リモートワークへの移行が増えてきている最近の状況では、クラウドワークス、ランサーズなどを利用してアンケートを実施する方法もあります。いずれにしても、自店、自社に来ている顧客層が一般的な消費者の行動様式と合致しているのか分析して、販売戦略を立てる手法が必要な時代になっているのです。
【まとめ】顧客分析手法を活用してニーズにあった品揃えを
現代では、顧客の動向に合わせた品揃えをしていかなければ顧客離れが起こり、お店を維持していくことが難しい時代になっています。そのため、顧客分析をして顧客の動向、ニーズを把握し、それに合わせた品揃えをしていくことが必要です。
今回の記事のまとめとして、必ず押さえておいていただきたいポイントは以下の通りです。
- 現状をきちんと把握することから始める
- 自店・自社にあった顧客分析手法を見極めて実践する
- 常に顧客の動向をチェックし、柔軟に対応できるようにすること
- 顧客分析データの取得は、マーケティング会社やアンケートを活用する
顧客分析手法を用いて、より顧客のニーズに合った品揃えで自店の売上を伸ばしていってください。
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