RFM分析ツールは「顧客満足度を上げたい」「売上を上げたい」と考えている担当者にうってつけのツールです。その一方で、コツが掴めていないとなかなか期待した効果が出せずに悩まされてしまう担当者も多いでしょう。本記事では、RFM分析ツールとはどのようなものなのか、人気のツールと共に紹介します。売上アップに繋げるポイントと注意点もお伝えしますので、自社の売上アップにお役立てください。
そもそも「RFM分析」とは?
RFM分析ツールについて知る前に、まずはRFM分析とはどのようなものなのかを解説します。RFM分析とは、その顧客が「最後に購入した日」「どれくらいの頻度で購買しているか」「これまでにどれほどの金額を購入したのか」の3点を把握することで、優良顧客を分析する方法です。
【RFM分析で活用する3つの要素】
- 最終購買日(Recency)
- 購買頻度(Frequency)
- 累計購買金額(Monetary)
上記の英語表記の頭文字をとって「RFM」と呼ばれています。企業に貢献する顧客の把握は店舗運営に役立つため、RFM分析は多くの企業で重宝されています。この3項目を元に顧客にランク付けをすることで、分析をしやすくするのです。実際の分析ツールには以下の表のように表されるでしょう。
ランク | 最終購買日(R) | 購買頻度(F) | 累計購買金額(M) |
5 | 1カ月以内 | 10回以上 | 10万円以上 |
3 | 半年以内 | 10回以上 | 5万円以上 |
使用するツールによって、表記は異なります。しかし、ほとんどのツールが「R・F・M」を集計してグラフや表にまとめられるようになっているのではないでしょうか。たとえば、RFM分析ツールを使って集計をし、重要な顧客グループを特定することで、運営者は対策して売上向上を目指すことになります。
▶参考:顧客分析とは?目的・主要な3つの分析手法・集客UPに活かす方法を解説 についてはこちら
人気のRFM分析ツール
RFM分析は有名な分析方法であるため、多くの企業が取り入れています。下記に、一般的に有名で人気のあるRFM分析ツールをまとめました。それぞれ見ていきましょう。
やよいの顧客管理
「やよいの顧客管理」は最も有名なRFM分析ツールかもしれません。テレビなどでもCMしていることがあり、知名度に定評があります。30日の無料体験ができ、充実のサポートを受けられます。わからないことはサポートセンターに電話やチャットで聞けるため、RFM分析ツール初心者に人気があるツールでしょう。
顧客管理 with Firebird
30回まで無料で利用できる「顧客管理 with Firebird」は、顧客情報だけでなく「対応履歴」を管理できるツールです。顧客を「グループ化」でき、それぞれの顧客に合わせたメール配信などが簡単に行えます。同じ納品書や請求書を送る場合に役立ち、雑務を軽減できます。
BitRFM
「BitRFM」も30日の無料体験版を利用できるRFM分析ツールです。顧客情報をもとに顧客ランクを設定でき、それぞれに合わせた対応を検討できます。「顧客のグループ化」ができるだけでなく、細かい条件設定ができるため「顧客管理」として利用している人が多いかもしれません。どんなお客に誰がどんな対応をしたかなど、詳細な記録として使用することが多いようです。
SHOP FORCE
店舗の顧客管理・リピート促進に特化したSHOP FORCEでは、お客様ごとに来店頻度・履歴等を管理することができ、それぞれに合わせた対応を検討することができます。
RFM分析ツールを利用する際のポイント
『RFM分析ツール』を使用し始めるときは、「これで今後の運営は大丈夫!」と自信に満ち溢れる人もいるかもしれません。しかし、実際にRFM分析していると「何を基に分析したら良いのかわからない」「数字を見て何に活かせばいいのか想像できない」など課題を抱く担当者もいるようです。そんな時に役立てられるよう、以下ではRFM分析ツールを利用する際のポイントをまとめます。
顧客ランクによって優先順位をつける
多くのRFM分析ツールでは、顧客情報をもとに顧客をグループにわけることができます。
- ランクが高い顧客
- ランクが中の顧客
- ランクが低い顧客
上記のように顧客をランク分けし、それぞれに対して適切なアプローチを検討します。
ランク「中」の顧客の緊急度が最も高い
RFM分析ツールで見るべき顧客は「ランクが中の顧客」です。理由としては、ランクが高い顧客は何もしなくても現在の店舗を気に入っています。またランクが低い顧客は対策しても来店する可能性が低い顧客です。そのため、ランクが中の顧客を「ランクが高い顧客」に変化させる対策が売上アップに繋がるポイントです。
「思考力」「想像力」を働かせよう
RFM分析ツールを使って『ランクが中の顧客』に焦点をあて、対策を考えます。例えば、飲食店の場合『1週間に1回来店している顧客』がランク中の顧客とします。
その場合、以下の課題が生まれます。
- 1週間に3回来店してもらうには
- 1回の購入金額を上げるには
- 来店時の人数を増やすには
売上を中心に考えれば、ほとんどの店舗で上記のような課題が浮かび上がるはずです。そして、運営者はこれらの対策を考える必要性が生まれます。RFM分析ツールは「道具」であるため、最終的に運営者の「思考力」「想像力」などが発揮されなければ意味が無いのです。ここで多くの運営者は悩みを抱えることになり、諦める人もいるのではないでしょうか。
RFM分析ツールで売上を上げるために
それでは、売り上げを上げるにはどうすれば良いのでしょうか。具体的な顧客への対応などは店舗や業種により異なるため、こちらでは明記できません。しかし、販促のヒントを得るためにRFM分析ツールから把握できる情報がありますので紹介いたします。
それが以下の2つです。
- ランクが高い顧客が購入している商品
- ランクが中の顧客が購入している商品
売上を上げるために見るべきなのは、ランクが高い顧客とランクが中の顧客です。このランクの顧客が購入している『商品』に焦点を当てるのです。そして、双方の『差』を考えます。ここで考えるのは『金額の差』ではなく、『サービスの利用目的』です。例えば、飲食店の場合、ランクが高い顧客は高頻度で来店している顧客でしょう。会社の休憩時間に毎日食事に来ている顧客かもしれません。
ランクが中の顧客は週末に家族でディナーを楽しむために来るため単価が高いものの、月に1回以下の利用頻度のため来店の間隔を縮めることでロイヤルカスタマー化が狙えます。それぞれの顧客の店舗利用目的を考え、それに合わせた方法を考えてみましょう。このように、RFM分析ツールがあると対策をするための気づきやヒントを得ることができます。可能性の高い顧客を絞り出し、一人ひとりに合わせて効率的なアプローチができるようになるため、RFM分析ツールはぜひ活用していきましょう。
RFM分析ツールを活用する際の注意点
RFM分析ツールを活用するにあたり、いくつか注意しておくことがありますので、最後にお伝えしておきます。
数字には見えない顧客の心理や行動の背景を仮説立てる
RFM分析ツールだけでは把握しきれないこともあります。顧客は1人の人間ですので、RFM分析ツールを使って心理や行動を100%予測することは難しいでしょう。RFM分析ツールだけではなく顧客自身も見て、相手に合わせた最適なアプローチをすることも大切です。
高額商品には適さない
RFM分析ツールを活用するのに、適さないものもあります。それは、あまり頻繁に購入されない高額商品や高額商材です。特に車や保険、不動産関係などは、年に何回も買い換えるものではありません。そのため、RFM分析ツールは、購入頻度が高くリピートしやすい価格帯のものに適しています。
まだファン化していない顧客へのアプローチも忘れずに
先ほど、ランク中の顧客が重要であることを説明しましたが、だからと言ってそれに満たないランクの顧客を蔑ろにしてしまうのはNGです。たとえば、以前は自店の商品を購入していたものの、最近は足が遠のいている顧客や、ライフスタイルの変化で購入できない顧客などは今後も足を運んでくれる可能性があります。彼らは、たまたま購入する機会を逃しているだけかもしれず、タイミングやアプローチ次第では優良顧客にランクアップする可能性がないとも言い切れません。そのため、どの層の顧客にも適切なアプローチをかけることが大事なのです。
【まとめ】RFM分析ツールから『店舗の将来』を考えよう
RFM分析ツールは『顧客の店舗利用目的』を把握するツールです。いえ、もともとRFM分析ツールとは『単なる集計』ではなく『顧客の満足度を把握する』ことが目的です。
ただ集計を行うのだけではなく、対策を考えたり顧客の満足度を上げるための、気づきやヒントを得ることができるのです。
- 顧客をランク分けすることでアプローチすべき顧客を把握できる
- 『ランクが中〜上の顧客』に集点をあて対策を考えることができる
- ランクが中の顧客と上の顧客の『商品の使用目的』の差を考え、中の顧客をランクアップさせるための課題を明確にできる
満足度を向上させるため、運営者はまず『お客のことを知る』必要があるため、『RFM分析ツール』を使っているのでしょう。既にRFM分析ツールを使用している方は、初心に戻るつもりで『お客のためになること』を考え直してみてはいかがでしょうか。
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