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セブン&アイの『omni7』でオムニチャネル化が加速する?

マーケティング
  • hatena

2015年11月1日、セブン&アイグループのオムニチャネル『omni7(オムニ セブン)』のサイトがスタートしました。

インターネット上でも実店舗でも分け隔てなく買物ができる世界を目指すこのオムニチャネル化の拡大により、物の「売り方」「買い方」にどういう変化を与えていくのでしょうか?

『omni7』の事例紹介-そもそもオムニチャネルとは?

「オムニチャネル」(Omni Channel=直訳「全てのチャネル」)は、顧客にどのチャネル(ECや実店舗などの販売経路)で買ったのかという意識をさせなくし、新しい買物スタイルを生み出す取り組み全体を指す言葉です。

オムニチャネルの目的の1つは、顧客満足度の向上です。

実店舗、ECサイト、カタログ通販、ソーシャルメディアなどの複数のチャネルをシームレスに連携させ、「いつでも、どこでも同じように利用できる」形を作ることで、顧客にとってより便利で利用しやすいサービスを実現するこができると考えられています。

サービスが便利になれば利用する顧客が増え、ひいては中長期的な顧客の囲い込みに繋げることができます。

しばしばオムニチャネルと混同されがちな言葉にO2O(オーツーオー)がありますが、O2Oは「Online to Offline」の略で、一言でいうとECサイトなどのオンラインから実店舗などのオフラインに顧客を送るための施策です。

たとえば、ECサイト上で実店舗の割引クーポンを配布したり、スマホのGPS機能を利用してクーポンを配信したりして、オンラインで繋がっている顧客に実店舗へ足を運んでもらうように促します。かつて、O2Oそれ自体が1つの戦略のように捉えられていた時期がありました。

しかし現在では、オムニチャネルという大きな戦略の中の1つの対策としてO2O施策が用いられることが多くなっています。オムニチャネルとは

出典:株式会社セブン&アイHLDGS セブン&アイの挑戦

『omni7』の事例紹介-ショールーミングにも対抗

オムニチャネルという概念が広まった背景には、スマートフォンを中心としたデジタルデバイスやネットワークの飛躍的な進化がありました。

こうした進化は私たちの生活を便利なものにしてくれましたが、一方で従来実店舗を中心に売上を作ってきた企業にとっては、それまで考えもしなかったビジネス上の強力なライバルが出現した瞬間でもありました。

現在、ネット通販の市場規模の拡大に伴い「ショールーミング」という問題が起こっています。

「ショールーミング」とは消費者が店頭に出向いたときに、その商品をスマホやタブレット型端末でインターネット検索すると最安値の商品が提示され、結局店頭では買わずにその最安値の商品を購入する動きのことを指します。同じ商品なら人間は誰でも安い方で購入するから、店頭は単なるショールームと化すのです。

消費者にとっては、「欲しい商品を店頭で手に取って確認したい」、「同じ商品なら最安値で買いたい」などの点から理にかなった消費行動でありますが、店舗にとってはなんとか歯止めをかけたい物なのです。

セブン&アイやイオングループなどを中心にオムニチャネル化が進んでいる背景には、ショールーミングによる販売減少を食い止めるという目的もあります。

『omni7』の事例紹介-サイトの詳細

セブン&アイグループのオムニチャネル『omni7(オムニ セブン)』のサイトが、2015年11月1日からスタートしました。

セブン&アイのオムニチャネル『omni7』

出典:セブン&アイのオムニチャネル『omni7』11/1スタート!2018年売上1兆円を目指す

ブン&アイのオムニチャネル『omni7』

出典:セブン&アイのオムニチャネル『omni7』11/1スタート!2018年売上1兆円を目指す

『omni7』では、全国に約1万8000店を展開すコンビニエンスチェーン『セブン‐イレブン』を筆頭に、『イトーヨーカ堂』、『そごう・西武』、『ロフト』『アカチャンホンポ』といった、セブン&アイグループのさまざまな業態が加盟しており、スマホやPCから手軽に、商品の取り置きや店舗での受取り、発送などの手配が可能となります。

イトーヨーカドー

出典:セブン&アイのオムニチャネル『omni7』11/1スタート!2018年売上1兆円を目指す

『omni7』を機に、グループ全体で一体化したブランディングをすることも目指しています。

現在、セブン&アイグループでは、ネットで発注した商品の受け取りをセブン‐イレブン1万7000店をはじめ、イトーヨーカドーやそごう・西武などの店舗で受け取り ができるサービスを展開しています。

セブン‐イレブンであれば、原則24時間空いているところがほとんどですので、通勤途中や会社の近くでも受け取ることができ大変便利です。

また、セブン‐イレブンでは「街の本屋」を目指し、店舗に設置した端末で書籍や雑誌の発注・受け取りを展開しています。

今、一部地域で、化粧品、靴などの商品の発注、受け取りとともに、それら商品の円滑な返品対応の実証実験も始めています。

『omni7』の事例紹介-実店舗で楽しく買い物

オムニチャネル時代

出典:digital experience オムニチャネル時代だからこそ 「楽しく買い物できる」リアル店舗が重要

「物の買い方」には大きく事前に買う物をある程度決めている「目的買い」とお店に入って”おっいいな”とおもって思わず買ってしまう「衝動買い」があります。

実店舗では、店舗まで顧客を誘導できればPOPや特売、試食コーナー等で「衝動買い」を誘発することは可能ですが、そもそも来店してもらわない限り、このシチュエーションを実現することは難しいのです。

そこで、ネットとリアルを融合して活用していく必要が生まれてきます。

そのためにも、ネット・実店舗という窓口を問わず様々な接点からお客様との購入の接点を持っていくという「オムニチャネル」が有効になるのです。

例えば、「目的買い」のお客様には、ネットで事前に探した商品を「店頭引き取りで送料無料」などのメリットを設け、実店舗へ「思わず」来店してしまう仕掛けを作ったり、来店後の店内で「衝動買い」「ついで買い」をしてもらえるような店内の販促をするなど、ネット〜実店舗での双方向の仕掛けを作っていくことが大切になります。

また、自社のネット経由で購入(予約)していただいたお客様=会員データがとりやすい状態になりますので、そこからメッセージやクーポン配信など次につながりやすい囲い込みのためのアプローチもしやすくなります。

『omni7』の事例-まとめ

今までは、実店舗やEC、電話通販などの販売チャネル(経路)はそれぞれが独立し、そこだけで完結していましたが、スマホやタブレットの普及でチャネル間での移動が容易になり、顧客の意識は変わってきています。

顧客に複数のチャネルを提供したり、チャネル間で在庫管理や顧客管理などのシステムを連携させたりするだけでなく、『omni7』のように複数のチャネルをシームレスに連携させ、顧客からみた場合、どのチャネルであってもひとつのブランドそのものとして認識されるような一貫性のあるサービスを提供できる形作りが大切です。

顧客満足度の向上や顧客の囲い込みのためには、小売店であっても少しずつオムニチャネルに取り組むという選択肢が求められてくる事になるでしょう。