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労務管理とは?人事管理との違いや注意点についてご紹介

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  • hatena

労務管理とは従業員の労働に関することの管理で、企業の業務がスムーズに行われるために必要です。
労務管理を正しく行っていないと、罪に問われることもあります。
この記事では労務管理について、人事管理との違いや、店舗やブランドを運営している企業が労務管理において気を付けるべきことなどをご紹介します。

労務管理とは

労務管理とは

労務管理とは、従業員の労働に関することの管理です。
従業員の労働時間、給与の管理、福利厚生、労働条件などの管理が含まれます。
「労務管理」には、従業員が高いパフォーマンスをできるようサポートをすることで、企業の業務がスムーズに行えるようにする役割があります。
例えば、従業員を雇用する際には「労働条件通知書」を交付する必要があります。これは、労働者の労働時間、雇用期間、給与、休暇、退職など労働の内容について定めた書面のことを指します。一度でもアルバイトをしたことがある人なら必ず目にするものです。
また、過労死を防ぐという目的で、「1日8時間、週40時間」を超える勤務は法律で禁止されています。これを無視してしまうと、通常時より割増した給料を「残業代」として支給する必要があるのです。

このように、誤った労務管理をしてしまえば罪に問われる可能性もあります。
これらは日本人労働者だけではなく外国人労働者への注意も必要です。
「知らなかった」で済まされることでは到底ないので、人を雇う立場の人はもちろん、雇われる側の人たちも知っておいて損はないでしょう。

本記事では、労務管理にまつわる基本的な知識をご紹介させていただきます。

労務管理とは?人事管理との違い

労務管理とは?人事管理との違い
労務管理と人事管理は似ているように思えますが、違いがあります。
労務管理は「働く環境」を管理する業務であり、これに対して人事管理は「働く人」を管理する業務です。

労務管理は、従業員の労働時間や給与、労働条件などを管理することで、従業員の働く環境を管理します。
この業務の目的は従業員が働きやすいように職場環境を整えることです。
給与の計算や福利厚生、労働安全上の衛生管理、福利厚生など、より働きやすい環境を目指します。
ときには、職場で起こった人間関係のトラブルの間に入ったり、その他業務に関わるトラブルに関して請け負うこともあります。
人事管理は、従業員の新規採用や人材育成、退職などを管理することで、働く人自体を管理します。他にも、従業員の評価や、従業員の持っている能力を最大限に活かせるような人材配置など、「働く人」に関する業務を請け負います。
企業が継続的に事業を安定的に展開させて行くためには必須な役割と言えるでしょう。

このように「労務管理」と「人事管理」にはそれぞれ全く異なる対象を管理しているのです。しかし、この2つの業務は1つの部署で行われることもあるため、混同されることも多々あります。
適切な人事労務管理を行うためにはそれぞれの業務内容をしっかり分類しておくことが必要です。

店舗&ブランド運営企業が行う労務管理とは

店舗&ブランド運営企業が行う労務管理とは
店舗やブランドを運営している企業が行うべき労務管理にはどのようなものがあるのかご紹介します。

雇用契約

従業員を雇用する際には、労働時間、雇用期間、給与、休暇、退職など労働の内容について定めた書面「労働条件通知書」を交付する必要があります。
「労働条件通知書」の交付は「労働基準法」によって義務とされています。
雇用した後に労働時間や給与などについて従業員と揉めた場合に、労働の内容について定めた「労働条件通知書」がないと、トラブルが解決できません。
口約束だけで雇用せずに、従業員を雇用する際には必ず「労働条件通知書」を用意しましょう。

労働時間の管理

従業員を働かせ過ぎないよう、労働時間の管理には要注意です。

労働基準法では労働時間について「1日8時間、週40時間の勤務」が原則とされています。
これを超えて働かせる場合は、法定の割増をつけた残業代を支給する必要があります。
時給制であっても法定の時間を超えて労働させた場合は給料を25%割増する必要があり、深夜(22:00~5:00)に労働させた場合はさらに25%割増する必要があります。
したがって、サービス残業を発生させないよう注意して管理する必要があります。
タイムカードなどでしっかり入退社を管理して、時間外勤務を発生させないようにしましょう。
時間外勤務が労使協定で定められた時間を超えた場合は違法となります。
また従業員が過重労働によって病気になった場合は、企業が責任を問われます。

反対に、遅刻などによって労働時間が減っている人に対しても対策する必要があります。
遅刻しないよう注意するだけでなく、働いていない分の給与を減らすなどの対策も必要になります。

誰がどれだけ働いているか、しっかり把握することが大切です。

解雇

日本の法律では原則、即時に解雇することは認められていません。
企業が従業員を退職させる場合は、30日前までに予告するか、30日分の給与を支払う必要があります。
解雇する場合は、解雇するに相応する理由も必要になります。
「何度注意しても改善しない」など、雇用し続けるにあたってどうしても問題があるといった理由が必要です。
「勤務態度が悪い」といった理由は、解雇することに相応な理由とは認めらません。

働き方に問題がある場合はしっかり指導して、どうしても改善されない場合に、減給や出勤停止などを行い、最終手段として解雇するという流れになります。
強制的に解雇すると、労働契約法により違法とされる場合があります。
働き方に問題がある従業員に「辞めろ」や「明日から来なくていい」と言ってしまい、従業員が「強制的に辞めさせられた」と労働基準監督署に相談しトラブルになることもあります。

注意すべき労務管理とは

注意すべき労務管理とは

企業が注意して行うべき労務管理についてご紹介します。

ハラスメント

ハラスメントについても、未然に防ぐために対策したり、問題が発生した場合はしっかり解決する必要があります。
パワーハラスメントやセクシャルハラスメントは運営側の目が行き届かないところで発生します。
ハラスメントがニュースになっているように、ハラスメントはとても厳しい目で見られます。
そのためハラスメントが発生すると、世間からの企業に対する印象も悪くなります。
相談室を設けるなどして、ハラスメントを最小限に抑えるための対策をしましょう。
また従業員がハラスメントを行っていることが判明した場合は、解決の方法を探る必要があります。
ハラスメントを受けた側の受け取り方によって状況が変わることもあるので、事実を確認し、双方の意見を聞き、解決しましょう。

外国人労働者の管理

最近では外国人労働者が増えていて、飲食店ではとくに外国人のアルバイトが増えています。
外国人を雇用する場合は、外国人登録書を確認したりして、日本で働く権利があるか確認する必要があります。
日本で働く権利がない外国人を働かせた企業は、不法労働助長罪という罪に問われます。不法労働助長罪は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金となります。

海外から日本へ留学中の学生をアルバイトとして雇用する場合は、原則として学校へ行く期間は週28時間まで、夏休みなど学校がお休みの期間は1日8時間までと制限されています。
この時間を超えて労働させると違法になるので注意しましょう。

労務管理とはなんなのか

労務管理は従業員の働く環境を管理することで、企業の業務を円滑にすすめるために欠かせない業務です。
従業員が働きやすい環境を作ることはもちろん、労務管理を正しく行っていないと場合によっては罪に問われることもあるので注意しなければなりません。
適切な労務管理を実施できれば、業務効率の向上や優秀な人材を確保することにも繋がります。
また、類語である「人事管理」との違いをしっかりと認識し、目的をはっきりとしておくことで適切な業務を行うことができると思います。
働きやすい環境は、企業やそこで働いている従業員によって異なります。
この記事でご紹介した内容を、今後の企業の正しい労務管理に活かしていただけたらと思います。