店舗経営のDX(デジタルトランスフォーメーション)を科学するウェブマガジン

HRテックと店舗運営の相性っていいの?具体的な事例もご紹介 アイキャッチ画像

HRテックと店舗運営の相性っていいの?具体的な事例もご紹介

HR
  • hatena

店舗型ビジネスは、大きく拡大する可能性がある一方、人材の確保や育成に課題があります。優秀な人材を集め、売上を拡大する企業がある中、人材確保ですら苦戦している企業がいる「二極化」が進んでいます。だからこそ、店舗運営企業が採用や人材育成などのHRを把握することが大切です。

HRテックとは

HRテックとは
HRテクとはHR(Human Resource:人材)とテクノロジーをあわせた言葉となっています。最新のIT技術を利用し、企業の人事業務などに活用します。最近では、人工知能やクラウドといったテクノロジーを使ったサービスが増えています。

すでに、アメリカではHRテックの領域を拡大させており、数十億円の資金を集めたそうです。人事関連のみならず、金融業界での「フィンテック(ファイナンス×テクノロジー)」や広告業界の「アドテック(アドバータイジング×テクノロジー)」というように、各方面でテクノロジーを導入する動きが進んでいます。

日本では、まだHRテックに対する認知度は低いと言えるでしょう。しかし、これを逆に捉えるとまだまだ伸び代があるということです。国内のHRテック市場は2017年時点で586億円だったそうです。専門家は、これに対して2023年には2,504億円まで増加するとの考えを示していました。実際に、世界の市場規模は1兆円を超えていて、中でもアメリカ、イギリス、インドは高いシェアを占めています。

少子高齢化が大きな問題となっている日本では、どの業界でも生産性の高い労働力を求めています。このような社会問題も、日本のHRテック市場の成長を加速させると考えられます。

HRテックの観点からみた店舗運営企業の特徴

HRテックの観点からみた店舗運営企業の特徴
HRの観点からみると、店舗運営企業には他の企業とは異なる大きな特徴があります。それは「店長の負担が大きいこと」です。店長は接客などの自分の業務に加え、その店舗の業務管理や採用や人材育成など、いわば「経営者の代理的な存在」としての能力が求められます。

さらに現場におけるサービス業務には、「ここからここまでが店長の業務」といった明確な線引きはありません。ネクスウェイが200名以上の店長を対象に独自調査したところ、「店長が重要だと考えるのもは何ですか?」との質問に最も多かった回答が「接客(97.1%)」だった一方で、「接客業務に費やせる時間は十分だと考えていますか?」との質問に対し、「十分足りている」と回答したのはわずか6.9%でした。店長は様々な業務に追われており、本来の業務ができていないのが現状です。

バイトやパートの作業まで、店長自ら負担するケースもあるでしょう。つまり、店舗の売上は店長の手腕によって大きく左右されます。

企業としてはいかに「店長の負担を減らし、能力を引き上げる」かが重要です。店長に責任が集中するからこそ、HRの重要度は高いと言えます。大企業であれば人材管理・育成の担当者がいるかもしれませんが、特に小規模事業者となれば話は別です。

店長自ら人材管理から育成まで、教育に時間を費やす必要があります。小規模事業者の店舗運営企業こそ、HRに力を強化することで、店長の負担を減らし、事業としての生産性向上に繋げられるでしょう。

店舗運営企業とHRテックの親和性

店舗運営企業とHRテックの親和性
結論から言うと、店舗運営企業とHRテックの親和性は高いです。なぜなら店舗運営企業はビジネスの構造上、アナログな部分が多いため、HRテックによって「自動化」できる余地が多いからです。オンラインショッピングが拡大する中、企業によっては全てオンライン上で仕事が完結する場合も少なくないでしょう。

一方店舗運営企業は、店舗自体が「アナログな存在」であり、現場の仕事は大半がアナログです。店舗自体がアナログだからこそ、店舗内の自動化できる仕事も見落としている可能性もあります。飲食店.COM会員が約200名の店舗経営者向けに行ったアンケート調査(シフト管理「紙で管理する」が50%超。飲食店のシフト管理事情を200店舗にアンケート調査)によると、社員・アルバイトのシフト管理方法について、「紙」と答えたのが50.5%と最も高い割合を占めました。紙でのシフト管理は、
アナログ運営の一部に過ぎません。店舗運営企業は、デジタル化する余白は大きいといえます。

とはいえ、アナログな店舗ならではの良さがあるのも事実です。アナログとデジタルの融合が店舗運営の鍵を握ります。そこで活躍するのがHRテックです。

HRテックを導入し、最新テクノロジーによって効率的な採用や人材管理をすることで、効率的な店舗運営に貢献します。加えて、HRテックの導入は先述した「店長に負担が集中」しやすい店舗運営企業ならではの課題解決にも役立ちます。

当然ながら、人が人を管理するには限界があります。店長は店舗運営企業にとって重要な存在です。しかし、負担が集中してしまうと、健康上の問題に繋がりかねません。昨今は店長の「ブラック」なイメージが浸透しています。店長への負担集中は、企業としてのブランドイメージに傷をつけてしまいます。HRテックを導入することで、店長の業務を減らし、より本質的な業務に取り組むことが可能です。

店舗運営企業向けのHRテック事例

店舗運営企業向けのHRテック事例
店舗運営企業のHRテック事例をいくつか紹介します。一概に「HRテック」といっても、採用から人材育成まで様々です。紹介するHRテックを参考にして、自社に必要なHRテックサービスを検討しましょう。

HARUTAKA

株式会社ZENKIGEN社の提供するHRテックサービス「HARUTAKA」は、動画を活用して採用活動を支援するプラットフォームです。同サービス上に蓄積された動画を確認し、動画選考やリアルタイムでのWeb面接などが可能。書類だけでは伝わらない動画ならではの非言語情報によって、採用のミスマッチを減らすことができます。また、場所を選ばずに採用活動ができるため、時間・コストの削減にも繋がります。店舗運営企業をはじめ、150社以上での導入されています。

カオナビ

株式会社カオナビが提供するHRテックサービス「カオナビ」は、評価や個性などの細かい人材情報を可視化するクラウド人材管理ツールです。マネジメント層が直感的に使える設計に加え、ユーザー同士のコミュニティー形成をサポートしており、導入社数を伸ばしています。店舗運営に必要な戦略的な「人材管理」に役立つでしょう。現在は1,400社以上の企業で導入されています。

Core

株式会社ウーシアが提供するHRテックサービス「Core」では、一人一人への経験学習を「見える化」し、役職や学習経験に最適な学習コンテンツを提供しています。従来は「学習に対する評価」の基準があいまいになっていましたが、AIによる解析で、自分の最重要課題を把握することができるようです。接客などの店舗で求められるスキルは実践的な学習が必要となります。こうしたサービスは、長期的な人材育成において必要といえるでしょう。

HRテックまとめ

本記事では、HRテックと店舗運営の相性、そして実際にHRテックが使われている事例をご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?

アメリカを中心に、世界ではすでにHRテックの導入が進んでいます。少子高齢化という社会問題を抱える日本でも、今後どんどん「HRテック領域」が拡大していくことでしょう。

HRの観点からみると、店舗運営企業は「店長に負担が集中してしまう」といった課題があり、店長の業務を減らす施策が必須となります。そこでHRテックを導入することで、効率的な人材管理や戦略的な採用を実現し、結果的に店舗の売り上げにも貢献することができます。HRにおける自社の課題と照らし合わせながら、自社のHRテックの導入を検討しましょう。