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顧客満足度(CS)とは?顧客エンゲージメントやロイヤリティとの違い

顧客エンゲージメント
  • hatena

近年よく耳にする「カスタマーサティスファクション」。これは企業が継続的に業績を上げていく際に欠かせないものです。顧客満足度(CS)と訳されることもあります。
この記事では、他の用語との違いや、企業の取り組み事例などをお話ししたいと思います。

顧客満足度(CS)の定義

顧客満足度(CS)の定義
カスタマーサティスファクション(customer satisfaction/略称:CS)とは、
顧客満足と訳され、顧客が商品の購入やサービスを受けたことに対して感じる満足度を指します。

カスタマーサティスファクション/顧客満足度(CS)

「カスタマーサティスファクション」とは、企業が提供する商品・サービスに対して顧客が感じる満足度を表すものです。
マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカーは『創造する経営者』の中で、
「顧客はメーカーの苦労には動かされない。顧客の関心は、この製品は自分のために何をしてくれるか、だけである」
「顧客は、満足を買っている。しかし誰も、顧客満足そのものを生産したり供給したりはできない。満足を得るための手段を作って引き渡せるにすぎない」
と述べています。つまり、全ての商品サービスは顧客満足を生み出すためのものであると語っているのです。
これは、企業が商品サービスを提供する際に意識しておかねばならない根幹となる考えと言えるでしょう。

(参考:ピーター・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker)/『創造する経営者』(上田惇生訳,名著集6ダイヤモンド社,2007年 [原著1964年]))

顧客満足度(CS)と顧客エンゲージメントやロイヤリティとの違い

顧客満足度(CS)と顧客エンゲージメントやロイヤリティとの違い

顧客エンゲージメント

エンゲージメント(Engagement)とは“約束”や“契約”といった意味で訳されます。
マーケティング上では、企業と顧客の間の繋がりの強さを表す言葉です。
企業側からのあらゆる働きかけと、それに対しての顧客からの信頼の2つが双方向の作用をもたらし、
結びつきを強めている状態が『エンゲージメント』が存在する状態です。
顧客が企業の商品サービスを優先して購入したり、周囲へ勧めるなど、企業のファンにもなっています。

ロイヤリティ

ロイヤリティとは忠誠心という意味を持つ言葉ですが、
顧客ロイヤリティは、顧客が企業の商品サービスに対して持つ、信頼や愛着を指します。
同じブランドの商品を継続して購入したり、新商品を必ずチェックするなどの行動は
顧客ロイヤリティの高い状態と言えます。
エンゲージメントとの違いは、ロイヤリティは顧客側からの一方向の信頼や愛着のみにフォーカスしているのに対し、
エンゲージメントは双方向の結びつきを指していることです。

カスタマーサティスファクションは、
自身が購入した企業の商品サービスについて満足しているかを表すもの、
エンゲージメントは企業と顧客双方から作用している結びつきや関係性、
ロイヤリティは顧客の企業の商品サービスへの信頼や愛着を表しており、
それぞれ似ているようでいて異なる概念や事柄を表している用語です。

顧客満足度(CS)を高めるメリット

顧客満足度(CS)を高めるメリット
ここまででカスタマーサティスファクションの定義はわかりましたが、ではカスタマーサティスファクションが高めることにいったいどのようなメリットがあるのでしょうか。

カスタマーサティスファクションの向上には、大きく3つの効果が期待できると言われています。

  • 商品サービスのリピート
  • LTV(ライフタイムバリュー)の向上に繋がる
  • 良い口コミによる波及効果

このような効果によって、カスタマーサティスファクションの向上は結果的に企業の短期・中長期両方での業績維持拡大に繋がっていくのです。

また、マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラーは、
著書『マーケティング・マネジメント』で、
「新規顧客の獲得には既存顧客維持の5倍のコストがかかる(1:5の法則)」
「顧客の離反を5%食い止めることで企業の利益率は25%向上する(5:25の法則)」
という2つの法則を提唱しています。
これを見ると、新規顧客だけで企業活動を続けていくことは難易度が高く、非効率であることがわかりますね。

もちろん新規の顧客がついてくれることに越したことはありませんが、特に少子高齢化の進む日本経済の中では継続的な企業成長のために、リピート客の定着は必要不可欠と言えるでしょう。

企業の顧客満足度(CS)向上の取り組み事例

紙袋を持つ顧客女性
CSを高めるためにできることは無数に存在しますが、
「人にまつわる仕組みによってCS向上を叶えている事例」と「システム的な仕組みによってCS向上を叶えている事例」の2つを紹介します。

ザ・リッツ・カールトン

世界中でホテルを展開し、数あるホテルの中でもサービスの質の高さを誇る『ザ・リッツ・カールトン』の数々の感動の顧客体験をご存知の方も多いと思います。
リッツ・カールトンではスタッフがこんなことをしてお客様に感動を与えられたという顧客体験が名前入りでシェアされる「ワオストーリー」という文化があります。
同企業では、スタッフのエンゲージメントや顧客満足度、卓越した商品サービスなど意識すべき指標が5つありますが、
その優先順位の筆頭に来ているのが「ワオストーリーをたくさん作る事」です。
各従業員に「2000ドルの決裁権」を委譲することで、
一人ひとりが組織の中で責任を持ち、自らの判断で顧客満足度を高める行動を実行しています。

(参考:ザ・リッツ・リッツカールトン/企業理念「ゴールドスタンダード」)

ウェルシア薬局株式会社

イオングループに属し、チェーン展開しているドラッグストア『ウェルシア』は、
日本トレンドリサーチによるインターネットリサーチ(2020年)
「ドラッグストア」の総合満足度1位を獲得しています。
フリーコメントから読み取れる、高い満足度の秘訣は『ポイントをお得に活用できる』こと。
同社では利用時にTポイントカードを提示することで、Tポイントをためることができ、
毎月20日のウェルシアデーではTポイント200ポイント以上の利用で、1.5倍分の買い物が可能。
ウェルシアデーを活用した賢い買い物は「ウェル活」と呼ばれ、消費者から親しまれています。

(参考:日本トレンドリサーチ/「【2020】ドラッグストアの満足度リサーチ結果」)

顧客満足度(CS)まとめ

本記事では、カスタマーサティスファクション(customer satisfaction/略称:CS)の定義やそのメリット等についてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?

自社の収益を最大化させるキーポイントのひとつとして、新規の顧客獲得は大きな課題ではありますが、それだけで企業活動を続けていくことは非常に困難です。特に、少子高齢化の進む日本では、新規顧客だけではなく、リピート客の定着を意識することもとても重要になってきます。
そのために、「カスタマーサティスファクション(顧客満足度)」を上げる取り組みに着手してみるのはいかがでしょうか。
小さな一歩が業績拡大の近道になるかもしれません。その際には、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。