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カスタマーロイヤリティとは?顧客満足度や顧客エンゲージメントとの違い

顧客エンゲージメント
  • hatena

今後、企業の収益維持拡大を狙うのであれば『カスタマーロイヤリティ(Customer Loyalty)』の理解は必須であると言えるでしょう。この記事では、間違えやすい他の用語との違いや、実際に行われている企業の取り組み事例などをご紹介したいと思います。

カスタマーロイヤリティの定義

カスタマーロイヤリティ(customer royalty)とは、顧客ロイヤリティとも呼ばれ、顧客が企業の商品サービスに対して持つ、信頼や愛着を指します。よく顧客満足度や顧客エンゲージメントと混同されがちなので注意が必要です。

カスタマーロイヤリティとは

ロイヤリティとは忠誠心という意味を持つ言葉です。マーケティングにおいては顧客の信頼や愛着に紐づく状態を指します。同じブランドの商品を継続して購入したり、新商品を必ずチェックする顧客は、顧客ロイヤリティの高いカスタマーと言えます。

一回限りの利用や購入ではなく、何度もリピートされることを重点に置いている考え方です。そのため、カスタマーロイヤリティを表す指標として、購買リピート率がよく使われます。また、口コミをするかどうかも重要視されています。しかし、購入後の満足度合いのみでカスタマーロイヤリティを図ることは難しく、注意が必要です。

「見せかけのロイヤリティ」や「潜在的ロイヤリティ」というものもあり、いかに本当の意味での「ロイヤリティ」に顧客を導けるかが重要となります。「カスタマーロイヤリティ」とよく混同されやすい「顧客満足度」や「顧客エンゲージメント」との違いを次項で説明したいと思います。

カスタマーロイヤリティと顧客満足度や顧客エンゲージメントとの違い

カスタマーサティスファクション/顧客満足度(CS)

企業が提供する商品・サービスに対して顧客が感じる満足度を表すものです。

マネジメントの父と呼ばれるピーター・ドラッカーが著書の『創造する経営者』の中で、「顧客は、満足を買っている。しかし誰も、顧客満足そのものを生産したり供給したりはできない。満足を得るための手段を作って引き渡せるにすぎない」と述べており、全ての商品サービスは顧客満足を生み出すためのものであると語っており、商品サービスを提供する際に意識しておかねばならない根幹の考えと言えます。

顧客エンゲージメント

エンゲージメント(Engagement)とは“約束”や“契約”といった意味で訳されます。マーケティング上では、企業と顧客の間の繋がりの強さを表す言葉です。企業側からのあらゆる働きかけと、それに対しての顧客からの信頼の2つが双方向の作用をもたらし、結びつきを強めている状態が『エンゲージメント』が存在する状態です。

顧客が企業の商品サービスを優先して購入したり、周囲へ勧めるなど、企業のファンにもなっています。ロイヤリティとの違いは、ロイヤリティは顧客側からの一方向の信頼や愛着のみにフォーカスしているのに対し、エンゲージメントは双方向の結びつきを指していることです。

ロイヤリティは顧客の企業の商品サービスへの信頼や愛着を表すもの、カスタマーサティスファクションは自身が購入した企業の商品サービスについて満足している度合い、エンゲージメントは企業と顧客双方から作用している結びつきの関係性を表しており、それぞれ似ているようでいて異なる概念や事柄を表している用語です。

カスタマーロイヤリティを高めるメリット


ここまでで、「カスタマーロイヤリティ」がどういったものなのかはだいたい理解していただけたと思います。ここでは、カスタマーロイヤリティを高めることで得られるメリットについてご紹介させていただきます。

カスタマーロイヤリティを高めることによって大きく3つのメリットが期待できます。

  • 商品サービスのリピート
  • LTV(ライフタイムバリュー)の向上に繋がる
  • 良い口コミによる波及効果

これらは、企業の短期・中長期両方での業績維持拡大に繋がっていきます。少子高齢化が急速に進んでいる日本では、どんどん新規顧客の獲得が難しくなっていきます。そんな国内のマーケットにおいては、LTVを高め、いかにリピート購入してもらえるかが今後の非常に重要なテーマとなっているのです。

本当であれば新規顧客を獲得できればいいのですが、それには、マーケティングやプロモーションなどに多大な費用や手間を費やさなければなりません。
一方でリピート客による継続的な売上が見込めれば、その分商品サービスの開発や磨き込みに費用や労力が活用できます。

つまり、新規顧客を獲得するよりもリピート客を増やすほうがコストパフォーマンスに優れているということになるのです。

企業のカスタマーロイヤリティ向上の取り組み事例

握手をする二人
カスタマーロイヤリティを高める方法は多数存在していますが、
ここでは国内外のユニークな取り組み事例を紹介したいと思います。

IKEA

世界最大の家具量販店IKEAですが、アラブ首長国連邦のIKEAでは少しユニークな方法で顧客ロイヤリティを高める取り組みを試みています。それは『Buy With Your Time』というプロモーション。

顧客が店舗に来るために掛かった時間を金額換算し、商品購入費用に充てることができます。商品のプライスタグに、その金額に相当する移動所要時間が記載されており、ホットドッグは5分相当で購入できるなど、時間をお金に変えて買い物できるようになっています。

利用方法としては、レジで店員にGoogle マップのタイムラインを見せ、自身の行動履歴から出発地点から店舗までの所要時間を確認してもらいます。このようなイベント的なプロモーションも顧客ロイヤリティを高めるきっかけとなります。

参考:YouTube『IKEA: Buy With Your Time

B-R サーティワン アイスクリーム株式会社

種類豊富な色とりどりのアイスクリームが人気のサーティワンアイスクリームでは、2020年7月21日から「サーティワン サブスク」を開始しました。プランは2つで、1つ目の『31日間毎日サーティワンチャレンジ』は5980円でサービスを購入した翌日から、31日間レギュラーシングルサイズのアイス1個を楽しめるプランで、毎日使うと最大約6,000円お得になっています。

2つ目の『Flavor of The Month』は、その他月ごとに変わるフレーバーを楽しむ359円/月のプランです。「1ヶ月(31日)間、毎日違ったフレーバーのアイスクリームをお客様に楽しんでいただきたい」サーティワン アイスクリームの名前の由来でもあるこの想いを形にするため、新サービス始めたとのこと。

ファンにとってメリットがあり、ブランドのコンセプトに基づいている仕掛けでよりカスタマーロイヤリティが高まりそうな取り組みです。

参考:サーティワンアイスクリーム『サーティワンサブスク

カスタマーロイヤリティまとめ

本記事では、「カスタマーロイヤリティ」の意味やメリット、混合されやすい語句との違いについてご紹介してきました。いかがでしたでしょうか?

今回ご紹介した取り組みの事例はプロモーションも兼ねていたためユニークな事例が多くありました。しかし、シンプルにお礼のメールやお手紙を書く、リピート割引を適用する、などの取り組みからでも、カスタマーロイヤリティの醸成を図ることは可能です。

商品やサービスへの満足だけでなく、「信頼」と「愛着」を持ってもらうための小さな取り組みがカスタマーロイヤリティの向上へと繋がります。まずは些細なことからでも大丈夫なので、この記事を参考にしていただいてぜひ明日から始めてみてくださいね。