店舗アプリは多くのパッケージ製品が販売されています。しかし導入においては何らかの開発行為が伴います。この記事では自社開発やパッケージのカスタマイズなどの方法と、失敗しない店舗アプリの開発・導入方法について解説をします。店舗アプリの導入を検討されている方は是非参考にしてください。
店舗アプリ開発:店舗アプリとは
近年、買い物をする際にスマホを利用することが大変多くなりました。大変巧妙に作成されたショッピング・サイトなどは対話型になっており、店舗アプリと見まがうようなサイトもあります。ここでは店舗アプリとは何かについて、改めて確認しておきましょう。
スマホサイトとの違い
最近では「店舗アプリ」と「スマホサイト」の区別が付きにくくなってきており、中には「店舗アプリ」を「スマホサイト」と混同されている方もいます。スマホサイトはあくまでも、スマホからクラウド上にあるサーバーにアクセスし、WebコンテンツをWebブラウザで利用しているだけです。
一方、店舗アプリは顧客がスマホにダウンロードして利用します。スマホサイトは主に店舗や商品の認知度を高め、新規顧客を獲得する際に利用します。店舗アプリは集客や販促のためのクーポンやスタンプカード、ポイントカード機能を有し、主にリピーターの囲い込みツールとして利用します。
店舗アプリの開発パターン
店舗アプリの多くは既にパッケージ製品として販売されていますが、自社開発にこだわる企業や店もあります。また、テンプレート型のパッケージ製品を利用して、自社+パッケージのハイブリッド開発を行う企業もあり、店舗アプリ開発・導入のパターンはまちまちです。それぞれにはメリット・デメリットがありますので、一つずつ見ていきましょう。
店舗アプリ開発:開発パターンごとのメリット・デメリット
どの開発パターンを選択すればよいのかは、各企業や店舗の状況によって判断は異なります。一概にどの方式がベストだとは言えませんので、ベンダーからの提案を受けながら、自社や自店に最もマッチする方式を採用するのがよいでしょう。では、それぞれの方式のメリット、デメリットを見て参りましょう。
自社開発方式
自社で企画し、自社独自のアプリとして開発する方式です。
メリット
・オリジナリティがある。
・著作権が自社にある。
・社内の細かい要望に対応しやすい
デメリット
・アプリ保守や運用の負荷が大きい
・最新技術に対応しにくい
パッケージ導入方式
・既成の店舗アプリをそのまま導入、あるいはカスタマイズ導入する方式です。
メリット
・比較的導入コストが安く済む
・短期間の導入が可能
デメリット
・オリジナリティがない
・社内の細かい要望に対応しにくい
・カスタマイズや既存システムとのインターフェース開発等でコストが増大することがある
自社+パッケージのハイブリッド開発
自社システムとパッケージを組み合わせて店舗アプリを開発する方式です。ある程度自社の顧客管理システムや店舗システムが整備されている場合、バッケージから必要な機能だけを選択して、自社システムと融合させるようなイメージです。
メリット
・自社システムを有効活用できるため、ソフトウエア資産の無駄が発生しない
・必要な機能だけを追加するため、運用が大きく変わらず導入しやすい
デメリット
・パッケージのバージョンアップなどに対応しにくい
・障害が発生した時の切り分けが難しく、責任の分界点がはっきりしない
▶参考:集客に役立つ?自社店舗アプリ開発のメリットとデメリット
店舗アプリ開発:アプリ開発にRFPを活用しよう
店舗アプリの開発にかかわらず、アプリ開発ではRFPを活用しましょう。システム関係に携わっている方はよくご存じですが、RFPとは(Request for Proposal)の略語で、「提案要請書」あるいは「提案依頼書」のことです。発注者側はRFPを発出することで、システム開発の目的が明らかになります。発注者側と受注者側の双方が店舗アプリ開発の目的を共有することで、システム化の方向が定まり、さらに要件定義が円滑に進みます。このRFPを何社かに示し、ベンダーからは開発目的に合ったシステム提案を受けやすくなります。また、RFPは経営側や利用部門にも予め説明し、社内コンセンサスを得ておくことが必要です。100%自社で開発を行う場合には、RFPは不要ですが、RFPに準じる形で社内向けの企画書を作成しましょう。この企画書によって、システム導入の目的や狙いなどを社内でオーソライズしておくとよいでしょう。他にも、RFPを作成する前に、RFI(Request For Informationの作成と発出をおすすめします。RFIとは、情報提供を依頼する書類で、システム開発なとをアウトソーシングする際に、ベンダーが保有する製品やサービスに関する概要情報を収集するための依頼書です。これによって、RFP発出前に、必要な情報が得られ、また予算化策定のための概算見積もりを得ることができます。
店舗アプリ開発:RFPのメリット・デメリット
これから、店舗アプリ開発に向けた、RFP作成のメリットについて説明します。
RFPのメリット
1.合理的なベンダー選定がおこなえる
システム要件が明確化し、要件に沿った提案を受けやすくなります。またRFPを発出することで、ITベンダーからの提案のレベルが向上し、要件調整のための時間節約も可能になります。
2.ITベンダーの評価が行いやすくなる
何社からも提案書や見積書を提示されると、それぞれの内容やレベルがまちまちで、ベンダー選定が複雑になります。RFPに基づく提案を受けられる事で、ベンダー各社の提案内容を横並びで比較でき、選定評価が行いやすくなります。
3.ベンダーとの誤解やトラブルを防げる
システム導入では、発注側とベンダー側との間に誤解や齟齬が生じ、システム変更、納期遅延、委託費増額などのトラブルが起きがちです。これは双方の認識のズレがトラブルの原因になっています。RFPでは両者が文書であらかじめ誤解を招きやすい項目なども確認し合え、前記のようなトラブルを最小限に抑えることができます。 スタート時点からの両者の食い違いを防ぐ上でもRFP作成の意義は大きいのです。
4.システムの導入目的、要件などベクトルを合わせやすい
RFPを作成し、互いに確認し合うことで、システム導入の目的や要件を最初から共有できます。これによって、発注者側とベンダー側のベクトルが一致するため、よりニーズに合致した、精度の高いシステムの開発や導入ができます。
5.経営層や関係部門の理解と合意が得やすい
RFPを発出する前に、経営層や現場に確認をとっておくと、システム導入に対する理解と協力を得やすくなります。続いて、店舗アプリ開発に向けた、RFP作成のデメリットについて説明しますが、このデメリットを含めても、それを遥かに上回るメリットがあります。
RFPのデメリット
1.RFP作成に労力が掛かる
RFPがまだ世の中に浸透する前は、ベンダーの営業を呼び、口頭で要件を伝えるだけで提案をしてもらえました。そのような経験をしてきたシステム部門の方にとっては、RFP作成そのものがデメリットに感じられるでしょう。
2.システム開発までの準備に時間が掛かる
短期間でのシステム導入を求められている場合は、RFPの作成は大きな時間を割かれるため、システム導入までの時間が余計に掛かり、それがデメリットと思われがちです。最初からパッケージ導入に限定している場合は、RFPをある程度簡略化できますので、必要な項目だけに絞って作成するのも手です。
店舗アプリ開発:失敗しないアプリ開発
RFPの良し悪しで、システムの成否がある程度決まります。それ程RFPは重要なのですが、それ以上に大切なことは、ゴールのイメージや目標を明確に持つことです。店舗アプリを導入することで、顧客や現場にとってどれだけのメリットが得られるのかを熱く語ることです。この思いが現場に伝わり、共感を得られると、現場が率先して協力してくれます。理解し、共感をしてくれた経営側はバックアップをしてくれます。またベンダーも協力を惜しまないでしょう。店舗アプリ製品を採用する場合は、導入事例として採り上げてもらうことを意識して進めると良いでしょう。営業担当に最初からこのことを伝えておくと、ベンダーの協力を得やすくなります。AIの時代が到来しましたが、システムに対する熱い思いを抱くことはAIには不可能です。人間だからこそ持てる思いです。
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