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店舗アプリの導入効果を最大限にするために運用面で留意すべきこと

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  • hatena

店舗アプリの導入に至るまでの道のりは決して平坦ではありません。しかし、店舗アプリの導入は目的ではなく手段です。また、導入前に解決しておくべき運用面の課題も多々あります。

ここでは店舗アプリの導入効果の最大化を目指すために留意すべきこと、運用面で気を付けるべきことを中心に解説していきます。

店舗アプリは開発や導入だけではなく運用・保守も重要

店舗アプリは開発や導入だけではなく運用・保守も重要 イメージ画像

アプリは開発しただけでは終わりません。アプリの開発や導入が済んでからが本番です。アプリの導入後、大きくはふたつの課題があります。ひとつはシステムの運用と保守、もうひとつはアプリの活用です。アプリの導入前は、開発や導入にばかり気を取られ、中にはアプリの導入が目的だと勘違いする方もいます。ここでは、運用と保守のについて解説します。

システム保守

システムは生き物です。放置すれば、劣化や陳腐化もし、病気にもなります。ハードウエアもソフトウエアも同じです。当初想定しなかった新たな機能が必要となったり、用意した機能が全く使われなくなったり、こうした事が起こるのがシステムの世界です。それは技術的な問題もあれば、ニーズや環境の変化が原因である場合もあります。

システム保守とは、こうした変化に対応するためにシステム改修したり、機能の追加をしたりすることです。システム導入前から、これらを想定して、保守や運用に関わる予算措置・体制面の整備をしておくことが必要です。

システム運用

システム運用とは、システムが正常に動作しているかどうかを常時モニタリングし、想定していたサービスが想定通りに提供ができているか否かを管理することです。これはシステム停止ばかりではなく、オンラインのレスポンスタイムや業務の処理に要する時間なども確認します。その変化を捉え、パフォーマスの劣化があれば、回線の増強や、サーバーなどの増強といった予防措置も施します。また時には外部からのサイバー攻撃や停電などでサーバーがダウンすることもありますので、セキュリティ対策や災害対策も講じなければなりません。

システムの活用

システムは活用して初めて導入の効果が得られます。店舗アプリの導入でも同じです。どのように活用するのか、導入前から活用プログラムを用意しておかないと導入に失敗します。これは後ほど詳しく触れます。

▶参考:【店舗アプリ比較!】店舗DX実現にむけて最適な店舗アプリの導入を検討してみよう

店舗アプリの運用・保守の内容と費用

店舗アプリの運用・保守の内容と費用 イメージ画像店舗アプリなど、新しいアプリを導入する際に見落としがちなのが、この運用や保守に関わる費用です。初期費用が安く済んで良かったと思っていたら、運用や保守費用で思わぬコストが掛かり、上層部から叱責を受けたという話もよく聞かれます。

アプリ導入は必ず保守や運用を伴いますので、導入前からこれらを意識し、対応しておくことが必要です。

保守・運用の具体的な内容

ハードウェア運用・保守

店舗アプリはスマホやPCだけでは完結しません。基本的にはサーバーが必要です。これら、サーバーとクライアント(PC、スマホ、決済端末など)の運用・保守が必ず発生します。具体的には

    • ハードウェア故障の対応
    • ネットワーク障害の対応
    • セキュリティ関係のアップデート
    • セキュリティ関係のトラブル対応
    • データのバックアップ
    • データ復旧の作業
    • ネットワーク監視
    • 定期点検
    • OSバージョンアップ対応

などです。

ソフトウェア運用・保守

これらはアプリとセットになっているケースが大半です。年間保守費用という形で発生することが大半ですが、製品価格の15%/年が一般的です。初期費用ゼロ円を売りにしているような製品は、この保守費用で初期費用分を回収しています。見積もりを取る際は、5年間トータルの費用で見積提示をしてもらうようにしましょう。ソフトウエア保守・運用の主な内容は以下の通りです。

  • アプリケーションバグ対応
  • 利用時のトラブル対応
  • 操作方法などについての問合わせ対応
  • OSアップデートによる不具合修正
  • 製品のメジャーアップデート など

ハード運用・保守費用はクラウドで解決

最近は新システムの稼働環境をオンプレミス(自社内)ではなく、クラウド環境を利用する企業が圧倒的に増えています。また店舗アプリもクラウドでの提供が多くなっています。クラウドサービスを利用すると、サーバーや関連機器、OSなどの初期費用がかからず、また運用・保守も委託できるため需要が増加しているのです。クラウドサービスは災害対策・テロ攻撃などの物理的セキュリティに優れ、また外部からのサイバー攻撃に対するファイアウォールも整っており、安全面でも優れています。世界でNo.1シェアを誇るAmazonのAWS、AWSを猛追するMicrosoftのAzure、GoogleのGCPなどの大手クラウドサービスが有名ですが、オンプレミス主体の企業においても、新システムからクラウドサービスの利用の検討をされることをおすすめします。

店舗アプリ運用で留意すべきこと

店舗アプリを導入して、起こりがちな問題としてコンテンツが更新されず、マンネリ化することです。システムは正常に稼働しているのに、アプリの利用率が伸びない、時にはアプリの利用者が減るという事態も起こり得ます。それらはどのような時に起きるのでしょうか?

アプリ削除対策

スマホアプリはインストールされても、利用価値が低いとアンインストール(削除)されます。一度インストールしてもらえば、永遠に使ってもらえるというものではありません。例えば、競合他店のアプリの方が使いやすい、プッシュ通知がうるさくて迷惑、スマホを買い替えた時にインストールを忘れた・・といった理由から、アプリが使われなくなる事があります。

運用トラブル対策

ネットワーク障害やシステムの不具合、あるいは顧客のスマホの不具合などで、アプリが利用できなくなる場合があります。こうした運用トラブルへの対応をしっかり準備しておかないと、顧客の不信感を招き、せっかくのアプリ提供が裏目に出ることもあります。ある大手小売業で実際にあったケースとしては、アプリの改修を従業員にも知らせておらず、不具合が発生した際に、店舗で顧客からの問い合わせに全く答えられず、大きなクレームになったという事例があります。何か問題が起きた際の、問い合わせ先、責任部署、情報共有、対応フローなどをあらかじめ定めておくことが求められます。

マンネリ防止への対策

アプリが使われなく原因として、コンテンツのマンネリ化があります。毎回、変わり映えのないプッシュ通知やニュースでは、顧客側も飽きてしまい顧客離れの原因となります。顧客にとって魅力あるコンテンツや情報提供を、店舗の従業員の英知を集めて、提供し続けることが求められます。

店舗アプリは活用し、しっかり運用してこそ成果が出る

そもそも、店舗アプリは何のために導入するのでしょうか?目的は「リピーターを増やす」ことでしたね。しかし、店舗アプリを開発、導入しただけではリピーターは増えません。リピーターが増えなければ、運用費用どころか、開発費用などの初期費用の回収すらできません。店舗アプリでは顧客に関するさまざまな情報が集まります。また販促やイベントの効果も明確に分かるでしょう。そうした情報をきちんと収集・分析し、次の販促に生かすことが大切です。日々のルーチンワークに追われて、そうした取り組みが疎かになると、店舗アプリの導入効果が薄れていきます。「情報を活用して、それをどう販促に生かしたのか」「その結果、どんな成果が上がったのか」をきちんと検証し、全社で成功事例・失敗事例を共有すること、しっかり運用していくことが、店舗アプリの導入成果を最大化する鍵です。店舗アブリの導入時に目指した姿を必ず実現するという強い意志をもって、アプリ導入を成功させてください。

▶参考:絶対に失敗をしない店舗アプリの開発・導入方法について

無料ホワイトペーパー:店舗アプリは導入した。でも、上手に運用するにはどうしたらいい?

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