あらゆるビジネスにおいて、最も欠かせない存在は「顧客」です。いくら良い商品・サービスを作っても、買ってくれる顧客がいなければ意味がありません。
ビジネスでは、顧客管理の徹底具合がその後の命運を大きく分けると言っても過言ではないでしょう。今回は、顧客管理について解説していきます。
顧客管理とは
顧客管理とは、顧客の情報、趣向、商品・サービスに対する反応、購入履歴などを管理することを指します。
企業は、顧客管理を通して顧客がどこに満足をしているのか、どこに不満を抱いているのかを読み取り、商品・サービスの改善や会社の方針決めに役立てます。
顧客管理は、なるべく顧客に寄り添ってニーズに応えていくという考え方の下行われていますが、結果的に利益の増大、ビジネスの発展につながることも多いです。
また、近年では、「顧客関係管理」という考え方も登場しています。顧客をただ単に管理するだけでなく、管理して集めた情報を基に顧客へのアプローチの仕方を工夫し、顧客と良好な関係を築いていくという内容です。
顧客関係管理をすることで、顧客との良好な関係を築くことができれば、商品・サービスのリピートや顧客ロイヤルティの向上につながることは間違いないでしょう。
商売は人対人という構図が根本にあります。結局、相手に対して不満があれば商品やサービスがいくら素晴らしくても購入してもらうことはできないでしょう。顧客管理・顧客関係管理はビジネスとは切っても切り離せません。
顧客管理がいかに重要か説明したところで、ここからは、具体的な方法や顧客管理をするメリット、ツールについて詳しく解説していきます。
顧客管理の具体的な方法
多くの人に馴染みがある表計算ソフトのExcelは、顧客管理に活用することができます。
Excelは広く使われているため、顧客管理に特化したツールなどに比べると利便性は落ちますが、顧客の基本情報を整備するという目的であれば問題なく使うことができます。
主な使い方としては、
- 1行目に顧客の名前、2行目から基本情報を縦方向に並べる
- Excel以外や他のExcelファイルで管理している情報をマスターのデータにコピーしてまとめる
- 顧客や項目ごとに色分けをする
などが挙げられます。
また、情報の検索、フィルタ機能用いた抽出などの便利機能もあるため、利便性の向上やトラブルの防止に役立てることができます。
名刺管理ツール
名刺管理ツールを活用して顧客管理を行うという方法あります。
名刺管理ツールは便利である上に比較的料金が安くなっており、高いコストパフォーマンスを誇っています。
名刺の情報を保存し閲覧することが主な機能であるため、簡易的な顧客管理にとどまりますが、使い勝手の高さは評価できます。
CRMツール
CRMツールには、顧客管理に特化した機能が豊富に搭載されています。
顧客に関する細かい情報まで管理することが可能です。
Excelや名刺管理ツールに比べ高い費用が掛かりますが、その分機能が充実していますし、ツールによってはサポートやコンサルティングのサービスを行っている場合もあり、質の高い顧客管理をすることが可能です。
顧客管理をするメリット
顧客管理を行うことでありとあらゆる情報が可視化されます。
情報が可視化されることにより、顧客の満足度や不満点を把握することができるため、間違った施策を行いミスやトラブルが発生することが少なくなるでしょう。
情報が可視化されずに担当者の感覚で顧客にアプローチを行っている場合は少なくありません。しかし、担当者の感覚で顧客にアプローチしてしまうとフォローが不足したり、担当者が変わる際の引継ぎが難しくなるといった恐れがあります。
顧客管理によって情報が可視化されることは大きなメリットとなります。
顧客満足度の向上
可視化された情報を元に、顧客のニーズに合ったアプローチを徹底することで、顧客満足度を向上させることができます。ニーズに合わせた販促だけでなく、顧客の記念日や購入回数などに応じてキャンペーンやイベントを実施することも効果的でしょう。
顧客満足度の向上は、リピート率の向上、顧客ロイヤルティの向上に大きく役立ちます。
ビジネスにおいては、新規顧客を獲得するよりも既存の顧客のロイヤルティを上げた方がコストをかけずに売り上げを伸ばすことができます。
顧客管理によって顧客満足度を上げれば、売り上げの増加、事業の発展につながることは間違いありません。
顧客管理を導入した事例
日産自動車株式会社
大手自動車販売メーカーである日産は、販売店に顧客管理を導入しました。
導入したツールはMicrosoft Dynamics CRMで、現代に合ったディーラーマネジメントシステムを作り上げました。
各販売店にシステムを設置し、顧客が生年月日、性別、目的、好みなどを入力することによって顧客のニーズに合うラインナップが提示できるようになりました。
また、Microsoft Dynamics CRMは、顧客への営業時だけでなく、分析にも大いに役立ちました。営業時に集めた膨大なデータを基に、より顧客のニーズに沿った製品の開発ができるようになり、利益の増加につながりました。
日産自動車株式会社の顧客管理の導入は、非常に大規模な事例の1つです。
ダイハツ工業株式会社
ダイハツ工業株式会社の顧客管理の導入事例です。こちらも日産自動車株式会社同様、大手自動車メーカーの導入事例になります。
ダイハツ工業株式会社が導入したのは「UPWARD」というCRMツールです。UPWARDは、営業活動を可視化し、見込み客をピックアップすることに長けており、営業の効率を最大化することに役立ちます。
以前のダイハツ工業株式会社は、市場や顧客ニーズを把握できておらず、手当たり次第に訪問販売をするという営業をしていました。
しかし、UPWARD導入によって顧客のニーズが可視化できたことにより、見込み客のみに絞った訪問営業が可能となり、営業効率は格段に上がりました。
また、見込み客の情報や営業活動の情報をチーム内で共有したことにより、個々の営業効率を底上げする結果となりました。
顧客管理は必要不可欠
今回は、顧客管理について解説しました。
ビジネスにおいて、顧客管理は最重要事項と言っても過言ではありません。
事例からも分かるように、大企業でも顧客管理が徹底されていないことが多々あります。小さい店舗でも、大企業でも関係なく、顧客管理は売り上げを伸ばすカギとなります。
「うちはしっかりと管理しているから大丈夫」と慢心せずに、顧客管理によってニーズや営業活動が可視化され、思い込みや勘違いがなくなった状態で顧客満足度を向上させるような施策を打ち、良好な関係を築いていくことが大事です。
商売は人対人という構図を忘れてはいけません。顧客のためを思うことが結果的に売り上げの増加や事業の拡大につながることを頭に入れておきましょう。