1978年にJANコード(どの事業者のどこの商品かを表すもの)が取り決められたことをきっかけに、現在のPOSシステムが出来上がりました。POS分析は、売り上げ・顧客満足度向上のために、必須ともいえるでしょう。ここでは、POS分析の基本情報や、活用するにあたって必要な知識を紹介します。
POS分析データの基本的な活用方法
POSは『Point of Sales(ポイント・オブ・セールス)』の略称で、商品を販売した時点でのデータを管理する為のシステムです。
- 売れた商品
- 商品が売れた時間
- 商品が売れた店舗
- 売れた商品の数
- 売れた商品の価格
上記の項目の情報をリアルタイムで管理し、把握することが出来ます。コンビニやスーパーなどでもPOSレジを見たことがあるかもという方もいらっしゃるかと思います。このPOSシステムから集積されるPOS分析データはあらゆる場面で活用されています。POSデータがどういうものなのかは分かったけれど、「商品が売れたときの情報ってだけなのに、なにに活用できるの?」と思う人もいるかもしれません。
しかし、POS分析データは以下のように、店舗の販売に役立つ情報を得ることが出来ます。
- 売れ筋の商品を分析する
- 落ち目の商品を分析する
- 商品を販売するタイミングをつかむ
- 陳列の組み合わせ等で売れる商品を分析する
- 様々な顧客のニーズを把握する
お店に来る顧客が何を求めているかを把握することが出来、今よりも売上を向上させて、尚且つコストを減らすための手助けをしてくれるのがPOS分析データなのです。
POSデータを分析するために必要な手法
POS分析データには色々な分析する手法が存在します。そのため、ここではABC分析・トレンド分析・バスケット分析という、よく用いられている3つの方法を紹介していきます。
ABC分析
まずご紹介するのは『ABC分析』です。
これは、集めたデータを元に商品をおおまかにA・B・Cの3つの項目に分けて優先順位を明確にします。
- A:売れ筋商品は、在庫を増やす
- B:売れない月も売れる月もあり、一旦保留
- C:落ち目商品は、仕入を減らす・仕入れない
例えばこのように、売上アップ、売り場の効率アップのために必要な商品と、そうでない商品を区別することが可能です。
トレンド分析
次に『トレンド分析』を紹介します。
これは、販売に適した季節の商品を見極めて、販売する方法です。
- アイス→夏場に販売量が最も増える
- おにぎり→行楽シーズンの4、5月、運動会シーズンの9月に販売量が増える
- ホットドリンク→秋から春前にかけて販売量が倍になる
- 野菜→旬の時期よって販売量は基本的にフラット
このように、商品が売れる時期を見極めて在庫の量を調整し、店舗の無駄をなくして利益を上げることが出来ます。
バスケット分析
次にご紹介するのは『バスケット分析』です。トレンド分析とABC分析で、どの商品がどのくらい売れるか分かったら「バスケット分析」が有効だといわれています。これは、どの商品がどの商品と一緒に買われやすいか分かる分析手法です。いわゆるクロスセルが望める分析ともいえます。例えばスマートフォンを買った顧客に対して、ケースや画面フィルムの購入を提案したりする情報です。このように、POS分析を行うにあたり様々な種類の分析手法があります。
POS分析を販売で活用するために必要なこと
それではこれから、これまでに集めてきたPOS分析データを実際の販売に活用する方法をお伝えします。
方法としては主に以下の通りです。
- 売れ筋の商品を目立たせる
- 落ち目の商品をなくす
- なくした落ち目の商品の棚に新しい商品を入れる
- 来店する人数を予測して発注する
大体こちらの4つになるでしょう。商品をPOS分析データの売れ行きごとに配置して、売れない商品は除いてしまいます。除いた商品の棚には、売れ筋商品やそれに準ずる商品を増やしたり、または配置によって売れやすそうな商品を隣に配置しましょう。これを『抱き合わせ』と言います。抱き合わせの例として有名なのは、オムツの横にビールを配置する事例です。POS分析データによって、買い物としてオムツを買ってくるよう頼まれた父親が、ついでに缶ビール買うことがわかったんです。そして、実際にオムツの横にビールを置いてみたところ、売上が劇的に上がったというものです。
※抱き合わせ商法は本来の販売するものに落ち目商法をセット販売にすると法に触れる可能性があるため、この場合は陳列位置の例を上げています。
さっきの例のようにPOS分析データをしっかり確認してみると、見落としがちなヒントを発見できるのも、メリットの1つですよね。
おすすめのPOS分析サービス3選!
「POSデータの分析を実施したいけれど、自社で行うのは大変で手間がかかるのでは?」という方のために、こちらではよく利用されているPOSデータ分析のサービスをご紹介いたします。合わせて注意点も記載していますので、参考にしてください。
おすすめPOS分析サービス3選
- 顧客データと結びつけた、綿密な分析を可能にしてくれる『ID-POSデータ分析サービス』
- 安価で比較的簡単にPOS分析ができる『NPI Report』
- Excelを使ったシンプルな誰でも使い易いPOSデータ分析システム『Distro』
ID-POSデータ分析サービス
顧客IDに基づいたPOS情報より、顧客の購買行動を把握できるサービスです。簡単ですぐに利用できる上、『リピート状況』や『何を一緒に購入したか』、『次回何を買うように変わっているか』まで分析してくれます。
NPI Report
簡単な上、初期費用も無料で安価に利用できるPOS情報の分析サービスです。難しい操作がなく、初心者でも簡単に素早く分析できます。また、活用するためのサポートも充実しているため、まずは気軽に使いたい方に向いています。
Distro
普段利用しているExcelを使ってデータ分析ができます。
『帳票を選ぶ』→『条件を入力』→『Excelをダウンロード』のたった3ステップで完了するため、慣れない方でも簡単に操作を行えます。
まずは自分の店舗にどのくらいのレベルの分析が必要かを考えて、サービス・システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか?
POS分析の注意点
POS分析において注意したいこともあります。必ず、POS分析の注意点を知った上で正しく使いましょう。
データ情報に間違いがないか確認すること
せっかくPOS分析の導入をするにあたり、データ情報に間違いがあっては意味がありません。間違っていると、分析結果まで誤ったデータになってしまうため、データをフォーマットに落とし込むときは十分注意してください。
データは日々更新することが重要
データ分析をする上で重要なのが、毎日欠かさず更新することです。フォーマットを決定してからは毎日更新し、常にアンテナを張って顧客の動きを確認しましょう。
目的に沿ったデータで分析すること
また、きちんと顧客の家族構成や性別比率など、目的に沿ったデータを取らなければ意味がありません。データを落とし込む際も、目的に沿っているかきちんと確認しましょう。
POS分析データを導入してすぐ結果が得られるわけではない
POS分析データのシステムを導入してから、すぐにマーケティングが成功するわけではありません。日々変わっていくトレンドや流行を見ながら、顧客のニーズを少しずつ掴んでいくことが必要不可欠になってきます。POS分析データはそのための手助けをしてくれるシステムなので、大きな企業や安定した売り上げを持つ店舗はほとんどの場合はこのシステムを採用しています。
【まとめ】売り上げ・顧客満足度向上にはPOS分析が必須!
POSデータとはどういうものなのか、基本的な事をまとめてきました。POSデータとは、店舗のレジで商品が購入されたデータを管理してくれるもので以下の情報が分かります。
- 売れた商品
- 商品が売れた時間
- 商品が売れた店舗
- 売れた商品の数
- 売れた商品の値段
POSデータが分かれば以下の対策ができるので、店舗での販売で活躍することも分かりました。
- 売れ筋の商品を分析する
- 落ち目の商品を分析する
- 商品を販売するタイミングをつかむ
- 陳列の組み合わせで売れる商品を分析する
- 様々な顧客のニーズを把握する
POSデータには分析するための方法が色々ありますが、ABC分析トレンド・分析バスケット分析・というよく用いられる3つの代表的な方法を試してみると良いでしょう。売り上げ向上や顧客満足度向上のためにPOS分析を行って、POSデータを元に戦略を立てましょう。まずは自分の店舗の販売状況がどんな状態なのかのかを把握する事からはじめていくと良いのではないでしょうか。
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