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CRMの顧客データをどのように集客、売上のために有効活用すべきか?

CRM
  • hatena

企業がCRMを導入した際に、顧客データを正しく有効活用するためには、まずその特質をよく捉えておく必要があります。

ここでは、
・CRMの顧客データの種類
・その分析方法
・その有効活用の仕方

更には顧客データ活用における注意点も含め、これからご説明していきたいと思います。

CRMの顧客データの重要性とメリット、デメリット

CRMの顧客データの重要性とメリット、デメリット

CRMの顧客データの重要性とは?

CRM(Customer Relationship Management)とは、顧客関係管理のことです。顧客との関係性を構築し、データを管理していくマネージメント方法で、実際にはITツールによる効率化、システム化がなされます。CRMの顧客データによって、企業と顧客がどのように繋がっているのかを明確化し、組織内で情報共有し、また活用の自動化も行っていきます。近年のマーケティングにおいて、「顧客目線」「顧客ファースト」の視点ははもはや不可欠で、CRMの顧客データの重要性も高くなっています。

CRMのメリット

顧客関係についての情報は、本来社内共有がしづらい性質のもので、担当者のみが知っているというような情報も多くありました。しかし顧客データのデジタル化によって、社内全体で顧客関係の情報が共有できるようになりました。もともとの担当者以外でも迅速に対応可能になるため、仮に担当者が不在の時、また退職後であっても引き続きスムーズな対応ができるようになります。

CRMのデメリット

CRMの顧客データ蓄積には時間がかかります。ですからCRMには即効性は期待できず、今すぐ業績アップに繋がるようなものではありません。またCRMのためのコストもかかります。効果的に活用できていないとかえって利益を圧迫してしまう場合もあります。顧客データ=顧客の個人情報でもあるため、その取扱いには慎重にならねばなりません。顧客データの中のどの範囲までを共有すべきかが問題になります。多すぎてもサイバー攻撃などの危険性があり、少なすぎても活用しづらくなります。内部不正や情報漏洩に対する監視を常に行っていく必要があります。この点については、後の章でもまた後述させて頂きます。

CRMの顧客データの種類

CRMの顧客データの種類

CRMの顧客データには、主に次のようなものがあります。

(1)人口統計的データ
顧客の性別、年齢、住所、職業、年収、家族構成。

(2)心理的データ
顧客の価値観、ライフスタイル。

(3)顧客の行動履歴データ
顧客の購入時期、購入金額、購入頻度、Webでの閲覧履歴、検索ワード、クリック履歴。

(4)顧客とのコミュニケーションデータ
DM、メールその他の営業活動に対するレスポンス、お問い合わせやクレーム、アンケート結果。

またCRMの顧客データはおおまかに次の2種類にも分類することができます。

(1)定量データ
(2)定性データ

定量データは、顧客の住所、家族構成、年齢、購入金額、購入頻度などの数値で表すことができる顧客情報のことです。定性データは顧客の生の声、クレーム、その他の問い合わせなど、数値化することができない顧客情報のことです。定性データは、VOC(Voice of Customer)と呼ばれる顧客からの生の声(テキストデータ)で、数値化することができない顧客情報のことです。

定性データの種類としては
・来店した顧客からの問い合わせ、クレーム、アンケート。
・電話、メールによる顧客の声。
・SNS(Twitter、Instagram、Facebook、LINE)からの消費者の声。
などが挙げられます。

顧客情報を細かく分類してデータ化することで、より効率的な業務と営業活動を行うことができるようになります。

CRMの顧客データの分析方法

CRMの顧客データの分析方法

CRMの顧客データの分析方法として代表的なものに、
・セグメンテーション分析
・RFM分析
・CTB分析
の3つがあります。

セグメンテーション分析

セグメンテーション分析とは、顧客を一定の基準でグループ分けしていく方法です。そしてセグメンテーション分析を更に詳しく分けると以下の4つのものがあります。

・地理的変数
・人口統計分布
・心理的変数
・行動変数

「地理的変数」は地域属性によって顧客を分類するもの(県別、関東と関西など)。「人口統計分布」は年齢、性別、家族構成、年収など。「心理的変数」は顧客の価値観、ライフスタイルなど。「行動変数」は顧客の購入履歴、購入頻度、購入日時など。このように、CRMの顧客データ管理において顧客を分類し、分析することで、顧客をより深く理解し、把握することができるようになります。

RFM分析

RFM分析とは、
・Recency (最近購入日)
・Frequency(購入頻度)
・Monetary (購入金額ボリューム)の3つの指標から顧客をグループ化する方法です。

Recency (最近購入日)では、より最近購入した顧客の方が再度購入の可能性の高い優良顧客だと判断します。Frequency(購入頻度)は、購入頻度が多いほど、Monetary (購入金額ボリューム)は、購入金額が多いほど優良顧客だと判断します。商品の価格帯によっても有望な顧客層が変わってくるため、CRMの顧客データ管理において、RFMの3つの指標を見て、それぞれの条件においての見極めを行うことが必要になってきます。

CTB分析

CTB分析とは、
・Category(カテゴリ)
・Taste(テイスト)
・Brand(ブランド)
の3つの指標によって顧客を分類するものです。

Category(カテゴリ)は商品ごとの大分類、小分類を行うもの。Taste(テイスト)は色、模様、サイズなどによる分類。Brand(ブランド)はその企業のブランド、キャラクターによる分類。

CTB分析を行うことで、CRMの顧客データ管理において、顧客の消費傾向を割り出し、次の消費行動を予測することができるようになります。

CRMの顧客データをどのように有効活用していくか?

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既存客のニーズの把握

まずCRMの顧客データを活用し、既存客のニーズを的確に把握しておく必要があります。その為の方法としては以下のようなものが挙げられます。

・顧客の地域特性や、性別、年齢ごとの属性を見極める。
・購入時期から見るシーズンごとの人気売れ筋の把握。
・DM、メールその他の営業活動に対するレスポンス状況から見る顧客アプローチの最適化。
・問い合わせやクレームの情報から導き出される改善点の追加

更に購買金額の高い優良顧客のCRMデータを有効に活用することによって、より効率の高い営業活動に切り替えることができます。その際に用いられる概念として、クロスセル、アップセルなどがあります。

既存客へのクロスセル、アップセル

クロスセルとは、ある商品の購入を検討している顧客に、それだけでなく関連する商品やサービスの購入を薦めることです。またアップセルとは、顧客が購入したものや、購入検討中のものより、高価な商品やサービスの購入を薦めることです。例としては、購入の可能性が高いと思われる顧客へのダイレクトメールの配信などが挙げられます。CRMデータを活用し、顧客の属性に合わせて、最適なメール配信を実施することができ、またメール配信後の結果(開封率、クリック率など)を解析し、更なる効率化を図ることができるのです。

PDCAサイクルによる改善と実践

CRMの顧客データを活用していくためには常に継続的な努力が必要で、PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルで継続して回していくことによって、より効率的な営業活動を実現することができるようになります。その際最適な情報をデータ化すること、また継続しやすいシステムをあらかじめ構築することが必要になります。

CRMの顧客データ活用における注意点

CRMの導入コスト

最初にCRMの顧客データ活用システムを導入する際に、初期投資が発生し、その後もランニングコストがかかります。コストに見合う効果が見込めるのか事前に試算しておく必要があります。

誰でも使いこなせるようなシステムになっているか?

CRMデータを扱うこと自体が難しかったり、マニュアルなどが徹底されていないと、CRMがなかなか社内に定着せず、効果的な運用ができなくなる可能性があります。

情報漏洩リスク

CRMの顧客データを扱ううえで、もし万が一顧客情報を漏洩させてしまったら、その企業全体の信用の損失に繋がり、業績が著しく悪化する可能性もあります。

情報セキュリティにおける最も大事な3大要素と言われているのが、
・機密性
・完全性
・可用性
の3つです。

機密性とは、限られた人だけが情報に接触できるように制限を施すこと。完全性とは、情報が改竄、消去されたりしていない状態を保つこと。可用性とは、利用者が必要な時に中断されることなく、情報にアクセスできること。企業にとってセキュリティを強化し、いかにCRMデータの情報漏洩リスクを防ぐかは大事な課題であり、近年の大規模な情報漏洩で言えば、ベネッセの2014年の約2,000万件もの情報流出問題など大きな社会問題となっているケースが多々あります。

CRMの顧客データの有効的な活用方法のまとめ

以上、CRMの顧客データの有効的な活用方法についてご紹介してきました。適切な形で顧客データを分類して、分析し、効率的な営業システムを実現し、既存客へのクロスセル、アップセルでより高い利益率を目指し、更にそれをPDCAサイクルで継続して回していくことでより業務を改善、発展させていきます。またCRMの顧客データ活用は必ずしもメリットだけではなく、本当にコストに見合う効果が見込めるのかどうか事前に試算しておくこと、社内で充分なシステムの定着がなされているか、セキュリティ対策は万全かどうか、などを考慮しておく必要があります。

CRMの効果は一朝一夕で訪れるものではありません。ノウハウが定着し、一定の成果が現れるまで時間がかかります。その為サポート体制の整った信頼できるベンダーを選ぶことも肝要です。

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