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何から手を付ければいいの?役立つ人材育成の方法をご紹介

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  • hatena

人材育成の目的とは企業の戦略を達成するために、人材の価値を最大化させることです。
つまり、企業の戦略においてどのような戦術が必要で、その戦術を実行するためにはどのような人材(スキル)が必要なのかを明確にすることで、人材育成の手段が異なってきます。

人材育成戦略とは

人材育成戦略とは
人材育成とは、仕事能力を向上させ企業の業績向上に貢献すべきもの。
社会人教育では、仕事の中で具体的にどう「考えたらいいか」「行動すべきか」を教えることです。
教育の結果、仕事の中の具体的な判断・行動が変化し、業績向上に寄与するものであるべきです。

しかし実際には、「うちの人材育成は不十分」とおっしゃる方が非常に多いように思います。
それは、組織内の立場や役割により、人材育成に求めているものが異なるためなのです。

例えば、経営者は企業の持続的成長のため将来を見据えた視点で教育を考えます。
そのため環境変化に対応できる先見性・リーダーシップ・変革意識の教育が一番必要だと考えるのです。
しかしその一方で、部課長などミドルマネージャーの立場にいる人は、今期の目標を達成するために、部下の販売力・接客力を強化させたいと考えます。
また、現場の若手は眼前の仕事をうまくこなすために接客スキル・クレーム対応力・時間管理術などを身につけたいと強く考えているという具合です。

つまり、その立場によって求められている人材が大きく異なっているのです。

この記事では、それらの問題を踏まえた上で、人材育成の方法をご紹介しています。実際に育成を行う際に参考にしてみてはいかがでしょうか。

店舗&ブランド運営企業がすべき人材育成戦略

店舗&ブランド運営企業がすべき人材育成戦略
それぞれの立場からニーズ・課題を整理しておかなければ、求められる人材育成をすることはできません。

現在および将来の人員構成を把握する

現在の人員構成を年齢別・スキル別・役職別に人数を把握します。
また3年後、5年後にはこれがどんな構成になっているかを想定し「3年後までには管理職スキルを持つ人材をあと20名育成する必要がある」などと把握します。

経営者に話をきく

経営者はミドル・現場担当者とは異なったスキル・意識を人材に求めているものです。
よって、人材育成担当者はそのニーズにも対応する必要があります。
特に、将来実現したい事業についてヒアリングし、人材育成を通じて事業実現を支援すべきです。

ワークショップ

求められるスキルや課題が洗い出しができた後、取り組む例として、ワークショップを考えてみます。

必要スキルの洗い出し

部下・後輩に身につけさせたいスキル、知識などを参加者各自が思いつく限りどんどん書く。各自最低20件ずつ、20分程度の時間で実施する。
その際、必要なスキルは「○○ができる」という風にできるだけ具体的に書く(「コミュニケーションスキル」のように、あいまいに書かない)。また、いつ頃までに身につけるべきかを記入する。備考にどんな方法で身につけるかも書いておく。

人材育成の戦略を練る

人材育成の戦略を練る
求められている人材のスキルを整理したら、実際にどのように育成をしていくのかを考える必要があります。

グループワーク

グループで議論し、洗い出した各スキルをどの年次・階層までに身につけておくべきかを検討する。
あわせて、スキル種別(社会的スキル・専門的スキル・その他)を議論しながら分類する。
分類根拠は、広く社会一般で共通なビジネススキルは社会スキル、各部門共通であれば共通スキル、各部門特有であれば専門スキル、その他と適宜分類する。

人事部での仕上げ

ワークショップを通じておおざっぱにブレストした内容を、人事・研修部門で整理・修正して完成させます。ワークショップでなかなか出てこない知識などは、別途追加します。

例)

  • 労務管理など管理職に必要と考えるスキルを加える。
  • 組織を円滑に運用するために必要な労務管理知識・メンタルヘルス知識・セクハラ/パワハラ知識などは現場ニーズからは出てこないので、人事研修部門で追加する。
  • 組織目標達成に関するスキルは必ず追加する。
  • 組織目標達成のために必要なスキルは、「キーワード」を見極め、追加する。
  • 業務改善や将来必要なスキルを加える。
  • 業務改善スキル・マーケティング・財務・広告宣伝・語学などを加える。

人材育成システムの事例

人材育成システムの事例

カー用品業態A社「全国約400のFC加盟店の店舗マネジメント改革への取り組み事例」

背景・課題

転換期を迎える自社ブランドの「個店力の強化」のために、中長期視点で、店舗マネジメントを改革する必要がありました。

検討プロセス・実行施策

店長の研修受講効果を高めるために、研修で使用する事例には特にこだわり、よりリアルなものにすることで実効性にこだわりました。

成果・今後の取り組み

研修内容への反応や感想の多さは予想以上でしたが、1回の研修で後はお店に任せることはしません。まだ店舗マネジメントの改革の第一歩。現在は次なる一手の準備も進めています。

参考URL:全国約400のFC加盟店の店舗マネジメント改革への取り組み事例

ペット関連事業B社「仲間と共に困難を乗り越えることで、自分を信じて挑戦する力を身につける」

背景・課題

自分の可能性に気づかず、一歩を踏み出すことができない
会社の理念を自分ゴトにし、自らが体現してほしい

実施策

難易度の高い目標をチーム一丸となって、「本気」で乗り越える経験をする
会社の理念と、自分自身が自社で働く意義の接点を見出す

効果
自分の無限の可能性に気づき、やればできるという自信が高まった
自分自身が自立してペットと人間の共生社会の実現に貢献していくのだ、という信念が芽生えた

参考URL:
イオンペット株式会社 「仲間と共に困難を乗り越えることで、自分を信じて挑戦する力を身につける

人材育成のまとめ

もう一度これまでの人材育成を振り返って見てください。
「毎年研修やっているから今年もそれでいこう」というように、深く考えずに前年度の方法をそのまま引き次いでしまってはいないでしょうか。
企業の戦略は変わらなくても、戦術は日々時代に合わせて変わっている可能性があります。戦術が変われば、それを達成するために必要な人材も自ずと変化していくでしょう。
そうなってしまうと、従来の人材育成の方法が通用しなくなってしまいます。育成のやり方を変えたり、内容を変えたりしないといけないかもしれません。

企業の戦略、戦術や目標を見直し、それを達成するにはどういう人材育成をするべきなのかを一度考えてみてもいいかもしれませんね。