商品やサービスのプロモーションを行う広告にはネット・紙媒体問わず様々な形式があり、その特徴やもたらす効果は様々です。今回は、その中でもニュースサイトやポータルサイト・雑誌サイトの記事のような形態をした「記事広告」の効果についてご紹介したいと思います。
購買行動を促す「記事広告」とは?
数あるインターネット広告のひとつに「記事広告」があります。「記事広告」とは、一般に新聞・雑誌などにおいてPR内容が通常の編集記事とよく似た体裁で編集されており、特定媒体に記事を書いてもらうもので「タイアップ広告」ともいいます。
「タイアップ(tie up)」とは「協力・提携して行うこと」という意味です。
この場合、企業が広告宣伝したいときに、特定媒体・メディア(まとめサイト、ブロガー、インフルエンサーのInstagramページ等)に自社の商品やサービスを宣伝するためのPR記事の作成を依頼することを指します。
企業が一方的に発信する広告とは違い、第三者の視点から読者に訴求することができる「記事広告」ですが、気を付けなければならないのは、記事中に必ず「PR」や「広告」など、タイアップ広告であることを記載する必要があるということです。
近年、多く問題として挙げられているのが「PR」や「広告」を記載しないことによる「ステマ」です。「ステマ」とは「ステルスマーケティング広告」のことで、宣伝であることを意図的に隠すやり方であり、一般的にモラルに反する行為とされています。このようなことがあれば、ステルスマーケティングを行う企業・メディアとして非難の対象となり、社会的信用まで損ないかねません。
「記事広告」のメリットと購買行動への影響
例えば、ある人気ポータルサイトへ「記事広告」を出稿する場合、そのポータルサイトの読者は「このサイトに特集している記事だから安心だろう」というように、あらかじめ信頼性が構築されている状態から記事内容を読んでもらえます。
これは長い間、媒体と読者の間に築いてきた信頼性によるものです。いちからメディアを立ち上げ、読者との信頼を築くには長い時間がかかりますが「記事広告」はいきなりこの信頼を借りることができるのです。
ブランド作りに有効
例えば、20代女性向けの商品を広告しようと思ったときは20代女性に人気のある媒体に「記事広告」を出せば、ターゲットユーザーにより見てもらいやすい環境が事前に整っており、「信頼性のあるメディアに載っている情報なので安心だ」という信頼性とその媒体自体のブランド力も自社のPR時に活用する事ができます。
信頼度が高い
飲食店の情報を収集して「このお店に行こう」という意思決定をする際に、食べログを見て決めるというユーザーが多いように、多くの方は主観的な自社の宣伝よりも、誰かからの客観的な評価を好みます。
「記事広告」は客観的な評価で書かれているため、信頼度に優れ、商品、サービスの良さについても信憑性を増す効果があります。
情報量が多い
バナー広告などの純広告と比べ、掲載できる量が圧倒的に多くなっています。
商品、サービスのさまざまな魅力を読ませる文章と、写真によって、商品の情報を豊富に伝えることができます。
「記事広告」のデメリットと購買行動への影響
続いて、デメリットについても触れていきます。
費用が高額
広告費用は依頼先の媒体によって様々で、2週間や1ヶ月といった期間ごとの費用を提示される場合もあれば、一度費用を支払えば永続的に掲載してくれる場合もありますが、その費用はメディア次第でかなり高額となります。
相場は100万円から200万円といわれており、人気の媒体では1,000万円以上かかることもあります。効果を考えるのであれば、知名度の高いメディアに掲載してもらったほうが良いかもしれませんが、その分費用もかさみます。
出稿まで時間がかかる
記事の形態によっては、出稿するまでに大規模なアンケートや取材などが必要になります。また、ライティング作業やその後の編集などにも時間がかかるため、広告費を支払ったからといってすぐには掲載されません。スケジュールに関しては掲載先のメディアへの十分な確認が必要です。
マッチする媒体を見つける難しさ
「記事広告」の成功のカギは、媒体(掲載メディア)の選定です。掲載メディアの読者層が、宣伝したい商品・サービスのターゲットイメージに合っていれば、高い宣伝効果を見込めますが、ターゲット層が違うと、記事のデザインや文調をいくら合わせても、不自然さが表れてしまいます。
その結果、ユーザーに違和感を与え、購買行動を妨げてしまう可能性もあります。
「記事広告」が購買行動を促す効果は?
以下、サイバーエージェント エディトリアルアドスタジオ(EAS)が2016年に1月8日に発表した「記事広告がブランドや購買行動にどのような影響を与えるか」の調査結果を元に、「記事広告」が購買行動を促す効果について考察していきたいと思います。
「記事広告」の認知率については、「確かに見た」56%、「見たような気がする」30%と、「記事広告」は認知させる力が強いということが分かりました。
また態度変容においても、広告認知者と非接触者を比較したところ、
「商材認知」 3.7倍
「興味喚起」 4.8倍
「購買意欲」 6.5倍
「特徴理解」 2.6倍
と、広告を認知した人には、見ていない人に比べてはるかに高い認知効果がありました。
さらに、記事広告のコンテンツを「熟読(読了)したユーザー」と「流し読みをしたユーザー」を比較したところ、前者のほうが後者に比べて2倍~3倍の効果の差がありました。
そして、これら広告認知者のうち、広告に接触した後で「商材について調べた」のが23.3%、「商材を店頭で探した」のが20.9%、「実際に商材を購入した」のが7.0%で、全体の46.5%がなんらかのアクションを起こしていたということが分かりました。
購買行動を促す「記事広告」の活用
上記の調査結果から、ネット上の「記事広告」は様々な広告メニューの中でも高い広告認知率とともに、商材認知、特徴理解、興味喚起、購買意欲を大きく向上させることができるということが分かりました。
また、その効果は「記事をどれくらい読み込んだか?」に比例して向上しています。
ネット上のプロモーション手法といえば、バナー広告やリスティング広告と同じようにサイト誘導率やクリック率などの数値で効果を測りがちですが、「記事広告」を利用したプロモーションの広告効果を計る際には、記事の読了状況などの項目も加味することが必要になってくると考えられます。
また、広告を見たユーザーのうち、半数近くが何らかの行動を起こす結果も出ており、今後消費行動に影響を与えるマーケティング手法として注目が高まってくると考えられます。