写真・動画共有SNSであるInstagram(インスタグラム)は、その日のファッションや訪れたカフェの写真を投稿したり、好きなモデルやタレントをフォローしたりと、その「おしゃれ」なイメージから20代を中心に圧倒的な人気を誇っています。
今回は、そんなインスタグラムの広告の魅力を探ってみます。
低予算でもインスタグラム広告が可能に
インスタグラムは全世界でのユーザー数が4億人を突破し、日本国内でも800万人以上が利用している人気のSNSです。
2017年には「インスタ映え」という言葉が流行語大賞を受賞するほど、大きな注目を集めています。その特徴は、写真や動画などビジュアルに特化している点です。インスタグラムの写真加工機能を使えば、誰でも簡単にオシャレな写真を投稿することができます。
他のSNSと同様、投稿に「#(ハッシュタグ)」をつければ、フォロワー以外の人が検索して閲覧することができ、特定の趣味や興味、気になるお店などの情報を探すためのツールとしても広く利用されています。国内の調査では、インスタグラムユーザーの年齢層は20代が圧倒的に多く、20代男性は39.10%、20代女性に関しては42.16%にまで上ることが明らかとなっています。
インスタグラムは2015年5月より日本国内でも広告配信を開始していましたが、これまでは厳しい選定基準をクリアした一部の大企業しか出稿出来ませんでした。しかしついに10月1日から、企業が自社で設定した予算内で広告配信を運用できる、セルフサーブ型広告の提供が開始され、企業規模に関わらず低予算からでもインスタグラム広告を出稿することが可能になりました。
日本でもインスタグラム広告がスタート
これまで日本企業がインスタグラムをマーケティングに活用する際は、一般のユーザーと同じようにアカウントを作成し、写真や動画を投稿する形をとっていました。そのため、企業アカウントをフォローしているロイヤルカスタマー向けのプロモーションが主な使い方でした。
しかし広告表示が始まると、フォローの有無に関わらず、アプローチしたいユーザー層のフィード上に広告を表示できるため、今までは難しかった認知拡大などを目的とした施策も可能となります。
広告のタイプは以下の3つです。
リンク広告
ホームページへの誘導を目的とした広告メニューです。掲載する広告に「今すぐ買う(Shop Now)」「もっと知る(Learn More)」などの「コールトゥアクション(CTA)」と呼ばれるボタンを設置することが可能で、外部ウェブサイトへ誘導することが出来ます。
アプリインストール広告
アプリインストールを促すことを目的とした広告で、リンク広告同様「インストールする」「アプリを利用する」「ダウンロードする」「予約する」などのCTAボタンを設置することが可能です。
動画広告
FacebookやTwitterと同じようにビデオ配信ができ、長さは2.5秒から30秒までです。広告を見た人に「他の動画を視聴」「予約する」「お問い合わせ」「詳しくはこちら」などのCTAボタンを設置することが可能です。インスタグラムの動画広告は、写真が並ぶフィード上でユーザーの目を引きやすいというメリットがありますが、自動再生される最初の数秒で、音声がなくても興味を引く動画企画が求められるでしょう。
インスタグラム広告のメリット
インスタグラム広告の主なメリットは、以下の3点です。
ユーザー数が多い
前述のとおり、インスタグラムのユーザー数は非常に多く、ターゲティング(商品やサービスに興味関心があると想定されるユーザーに絞り込むこと)を精度高く行ったとしても、配信できるユーザー数を多く確保することができるでしょう。
ターゲティング精度が高い
Facebook広告と同様に、非常に精度の高いターゲティングを行うことができます。正確なターゲティングを行うことができれば広告効果を高めることが可能です。インスタグラム広告で行うことができるターゲティングは、以下の3種類です。
コアオーディエンス
ユーザーの基本的な登録情報から分類を行うことができ、年齢や性別、地域、興味関心がある内容、と言った項目を利用できます。
カスタムオーディエンス
既に獲得しているユーザーデータを元に広告配信ができるターゲティングです。例えば過去にWEBサイトにアクセスしたことがあるユーザーや、設定したアプリの利用状況などの情報からターゲットを絞り込むことができます。
類似オーディエンス
カスタムオーディエンスよりも更に費用対効果の高いターゲティングが、類似オーディエンスです。類似オーディエンスでは、反応があったユーザーに類似しているアカウントを絞り込むことができます。興味関心が近いユーザーに限定して広告を配信することができるので、効果を上げやすい特徴があります。
イニシャルコストが安い
インスタグラムは1日100円からでも広告出稿を行うことができ、予算の少ない企業でも運用を始めることができます。Facebook広告と同様に、セルフサーブ方式の課金方法を採用しており、設定した金額以上の広告費用が発生することはありません。設定した費用の中で広告を配信することができ、発生した費用が上限に到達すると自動で配信は停止されて、表示されることはなくなります。
参照元:【2020年】Instagram広告の特徴・仕組み・運用方法をすべて解説
インスタグラム広告の成功事例-GAPの動画広告
米GAPは今年の春の新コレクション発表に合わせ、インスタグラム限定の15秒のミニドラマシリーズ「Spring Weird」を広告として公開しました。変わりやすい天気や偶然の出会いなど、春に起こる不思議な瞬間をコミカルかつスタイリッシュに描いた12本の動画広告シリーズは、1本1本単体でも楽しめつつ、全体で一つのラブストーリーとして成り立っています。
GAPの担当者は「インスタグラムは、今起こっていることや、ユーザーの心が動いたものをビジュアルで表現し、シェアする場だと考えています。この特徴はファッションと非常に相性が良いのですが、不思議なハプニングの1コマを切り取るという今回の動画広告企画にもぴったりでした」と述べています。
このキャンペーンへの反応として、視聴者が次の展開を予想するコメントを残したり、商品をどこで買えるか問い合わせがあったり、ストーリーや登場人物のファンができたりと、それまでにGAPが掲載していた動画コンテンツよりも高いエンゲージメントにつながったそうです。
動画再生前のカバーフレーム(サムネイル)に動画タイトルをつけて視聴者の関心を引く工夫や、男性がドアをノックするとインスタグラムのハートマークが出てくるという遊び心のある演出など、メディアの特徴やユーザーの嗜好を意識したクリエイティブも奏功したと考えられます。
インスタグラム広告の可能性
インスタグラムは今や、日本においても毎日100万枚以上の写真が投稿されるSNSへと成長しています。企業プロモーションにおいても、各社がインスタグラム活用を始めていますが、今回のセルフサーブ広告開始によって、より多くの企業が活用するようになることは間違いないでしょう。インスタグラム上で初めて広告に接するユーザーにとって、どういったアプローチをすることで、関係性を深めることができるのか、ユーザーに知ってもらえるのかということを考え活用していきましょう。
メディア自体に対するユーザーのエンゲージメントが非常に高いインスタグラムだからこそ、ユーザーの嗜好を的確に捉えたクオリティの高い広告素材を目指すことが不可欠です。その代わり、GAPの事例のようにユーザーに好意的に受け入れられれば、マーケティングの大きな成功へとつながることでしょう。