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事例をもとにインバウンド観光客に対する取り組みを知ろう!

顧客体験
  • hatena

2019年4月時点で、訪日外国人客数は年間2,926,700人に達しました。

出典:JTB総合研究所

現在、コロナ禍でインバウンド需要は減少傾向にありますが、今後のこともふまえ、お店の集客アップに役立つインバウンド観光客に向けた取り組み事例をご紹介していきます。

インバウンド観光客への取り組み事例-データ分析

旅行消費額

国土交通省観光庁の2018年度の【訪日外国人消費者動向調査】によると「買物代」が昨年に引き続き最も大きな割合を占め34.9%、次いで「宿泊費」が29.2%、「飲食費」が21.6%となっています。

また、これらの消費額を国籍・地域別にみると、「中国」が1兆5,450億円(構成比34.2%)と最も大きく、次いで「韓国」5,881億円(同13.0%)、「台湾」5,817億円(同12.9%)、「香港」3,358億円(同7.4%)、「米国」2,893億円(同6.4%)の順であり、これら上位5カ国・地域で全体の73.9%を占めていました。

出典:観光庁の2018年度の【訪日外国人消費者動向調査】

旅行中に困ったこと

インバウンド観光客が「旅行中に困ったこと」については、「無料公衆無線LAN環境」が最も多く、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ(観光案内板・地図等)」、「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない」といったコミュニケーションに関することが課題となっていることがわかりました。

「観光先進国」の実現に向け、訪日外国人旅行者がストレスフリーで快適に旅行できる環境の整備が課題と言えそうです。

出典:観光庁「訪日外国人が旅行中に困ったこと、受入環境整備の課題が明らかになりました ~受入環境について訪日外国人旅行者にアンケート調査を実施~」

外国人の接客数

一方、接客する側の視点から見てみると、1ヶ月に10人以上の外国人の接客をする接客担当者が約3割を占めていることがわかりました。

出典:国際ビジネスコミュニケーション協会「担当者の約8割は“おもてなし英語”での接客に自信がない」

インバウンド観光客への取り組み事例-入店しやすいお店

商業施設や土産物街でインバウンドがどんどん入店するお店と全く入店しないお店が見受けられます。入店しやすいお店は、以下の4つの取り組みを実践しています。

多言語のツール

インバウンド観光客の方は外国語メニューがあることで安心して注文できるだけでなく、接客側にもコミュニケーションの負担が減ります。更に、写真を掲載することでわかりやすく工夫をしましょう。

また、店先で外国語メニュー対応の旨をPOPやステッカー等でしっかり宣伝することでスムーズな入店につながることでしょう。

支払方法の表示

海外では、カード決済やスマホ決済が主流の国が多いですが、日本の飲食店などはカード決済非対応であったり、決済できるカードの種類が十分ではないことが現状です。

おすすめ商品のアピール

インバウンド観光客にとっては、例えば飲食店で注文する際に何を注文すればいいか迷いがちになります。そのような時に、おすすめのメニューや商品があれば、注文や購入がしやすくなります。

無料Wi-Fiの設置

海外では当たり前に無料Wi-Fi利用が浸透している場合が多いですが、日本ではまだまだ十分な設備が行き届いておらず、インバウンド観光客が困ったことの上位にランクインしています。

無料Wi-Fiが利用できると近くの観光スポットを探したり、SNS投稿もスムーズに行うことができます。

特に、お店に対するSNS投稿で「フォロワーがたくさんいる方」のアカウントへの多くの閲覧数や、「ハッシュタグ検索している人」へ拡散することができるとお店にとっても貴重な宣伝機会になると言えます。

インバウンド観光客への取り組み事例-各企業の事例

専任コンシェルジュ

三越や高島屋では一部店舗に外国人対応のコンシェルジュが常時スタンバイしており、インバウンド観光客からの商品の問い合わせなどに対応しています。

百貨店では富裕層のお客様が多いことから、複数の外国語を話すコンシェルジュやスタッフを置いて丁寧に接客を心がけているそうです。
他言語対応

スマホアプリ「おもてなしガイド」

また、高島屋京都店(京都市)は、ヤマハが開発したスマホアプリ「おもてなしガイド」にて館内の日本語放送を英語や中国語、韓国語に文字情報に変換し、スマートフォンに表示するサービスを2015年9月30日に始めました。

他言語対応
出典:日本経済新聞

指差しシート

セブン-イレブン・ジャパンでは、東京の浅草雷門店と京都の西院駅南店をはじめ、2015年7月から全国の観光地やホテルの近隣などにある店舗1000店に「指差し会話シート」を導入しています。

免税手続きの際に必要となるフレーズと単語を厳選収録しており、親しみやすいイラストつきで、伝えたい言葉を指さすだけで簡単にコミュニケーションが取れるものです。
セブン-イレブン指差し接客シート

出典:YUBISASHI

POP

宝島社は、訪日外国人の増加を受け、インバウンド需要を狙った「ファッション雑誌用 5カ国語店頭POP」を開始しました。羽田、成田などの国際空港や主要都市のターミナル駅、家電量販店などにある22店舗の書店で実施しています。
宝島社

中国人観光客が多い「ビックロ」(ユニクロとビックカメラの融合店舗)では、インバウンド商品を紹介する多言語対応POPに加えて、中国語の商品説明書も作成しています。
免税

人気のチーズタルト専門店 「PABLO (パブロ)」では、一目見てどれが人気商品か分かりやすいPOPを設置しています。

写真を入れておけば、英語や中国語などの他言語をもし併記していなくても、雰囲気や指差しでコミュニケーションがとりやすくなります。
p1811-8

出典:HAMAZO

ディスプレイ

「ドン・キホーテ」では、外国人観光客向けのインバウンド商品として抹茶味のお菓子が大人気です。

インバウンド観光客の方にもわかりやすいように、緑色の抹茶関連の商品を目立つようにまとめて陳列しています。
人気の抹茶商品

外国人観光客のお土産として人気の小容量の日本酒も、まとめてディスプレイされています。
外国人観光客のお土産人気

インバウンド観光客への取り組み事例-決裁手段

キャッシュレス化

昨今のキャッシュレス化の流れは、インバウンドをはじめとする観光産業と切っても切れない関係にあります。訪日外国人観光客がストレスなく観光し、消費機会を逸失しないためにも、受入環境としてキャッシュレス決済を浸透させる必要がありそうです。

「JTB訪日旅行重点15カ国調査2019」では、日本滞在中に「買い物」に使用した決済手段について、訪日市場主要15カ国別に調査を行いましたが、その調査結果から、ターゲットとする市場によって対応すべき決済手段が異なることがわかりました。

世界的にキャッシュレスの流れが進む中、欧米豪であれば現在の主流は「クレジットカード」、東南アジアの新興国では「モバイル決済」、合計すると訪日外国人数の半数を占める韓国・台湾・香港については当面「現金」主流の流れが続くかもしれません。

消費額の突出する「中国」は、富裕層には「クレジットカード」が利用されているものの、今後拡大が見込まれる中間層では「モバイル決済」「デビットカード」が決済のメインプレイヤーとなりつつあります。

参照元:インバウンド 市場動向 2019 インバウンド消費の決済動向は?キャッシュレス対応策を考える

銀聯カード(ぎんれんカード)に対応

銀聯カードは中国で発行されているデビットカードです。中国人の9割がデビット機能が付いた銀聯カードを持っていると言われています。

中国では、自国通貨・人民元の海外持ち出しが規制されている中、口座からお金を引き出すことなく利用できるため、中国からのインバウンド観光客にとっては非常に便利な決済手段です。

マツモトキヨシでは、2008年から銀聯カードでの決済に対応しています。
出典:中国Webマーケティングラボ

インバウンド観光客への取り組み事例-まとめ

このように、様々なインバウンド対策を実践しているお店は増えてきています。

たとえ外国語が話せなくても、「翻訳アプリ」とタブレット端末を活用すれば、会話でコミュニケーションをとることは可能です。

「指差しシート」や店頭で使える「POP」など、様々なツールを上手く活用したり、商品のディスプレイに工夫を加えるだけで、お互いにストレスなく外国からのお客様をお迎えすることも可能となります。

決裁のキャッシュレス化を進めたり、無料Wi-Fiなどの環境整備も求められています。

今回の取り上げた様々な事例をぜひ参考にしていただき、まずはできるところから少しずつ、集客のためのインバウンド対策を始めていってはどうでしょうか。