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アパレル業界6つの集客方法。手紙、SNS、イベントやアプリ活用のコツ

OMO
  • hatena

アパレル業界の集客方法は、アナログとデジタルの2本軸で進めることが一般的となってきました。店頭販促やDM送付に加え、アプリやSNSの活用といった販促手段も人気が出ており、集客のあり方は日に日に多様化しています。

そのため、店舗ごとにイベントやSNS活用などのアイデアを練り、どの施策が販売促進につながるか見極める必要が出てきました。この記事では、アパレル業界の集客の現状と、今効果的な集客方法、そして実際の販促成功事例をご紹介します。

アパレル業界の現状と将来

アパレル業界がアプリをすぐに活用しなければならない理由 イメージ画像

アパレル業界において効果的な集客方法を知るためには、まず業界全体の現状を知っておく必要があります。
今、この業界では何が起きているのか、どのような課題があるのかを見ていきましょう。

アパレル業界の現状

アパレル業界では、コロナショックの影響もあり厳しい状況が続いています。

特に店舗ビジネスにおいては、海外では有名ファッション雑貨ブランド『ローラアシュレイ』の経営破綻や、国内の老舗109ブランド『セシルマクビー』の全店閉店に驚いた方も多いことでしょう。今、アパレル業界では何が起きているのでしょうか。

低価格志向の強まり

アパレルのみに留まらず、小売業全体で低価格志向を支持する消費者が増えています。

実際に、経済産業省『百貨店研究会 報告書2021年7月7日』によれば、百貨店における衣料品の売上はこの10年で3兆円から2兆円に低下しているとのことです。『メルカリ』を始めとしたフリマアプリの浸透や、『ユニクロ』を始めとしたファストファッションのクオリティ向上により、衣料品にかける顧客の予算感が変化している可能性が考えられるでしょう。

加えて、コロナ禍においては失業者や経済的打撃を受けた消費者も多いですし、テレワークや外出自粛により衣料品のニーズ自体減りつつあるのも現状です。経済的不安やライフスタイルの変化もあり、衣料品への支出は低価格に抑えたいというのも、今の消費者の本音なのかもしれません。

消費者の購買志向が二極化している

前項では、百貨店の衣料品の売上が低下していることをお伝えしました。消費者のニーズが低価格志向へと傾く一方で、高級ブランドの商品や質の高いインポートものを長く使い続けたいという消費者も増えているようです。

プチプラファッションと高級バッグを上手にコーディネートするインフルエンサーも多く、トレンドや移り変わりの激しいファッションアイテムは低価格で購入し、定番アイテムは高品質なものを長く使いたいという需要が高まっています。この購買志向の二極化により、中価格帯のファッションブランドが打撃を受ける可能性は多いにあります。

求められるデジタル化

アパレル業界がアプリを活用することでできること イメージ画像

それでは、今後アパレル業界で生き延びていくためには何が必要なのでしょうか。結論から言えば、『デジタル化』がとても重要になってきており、その理由は3つあります。

EC(通販)での衣料品販売が定着しているため

ECサイトでの衣料品販売が一般的になっている今、消費者はスマートフォンやタブレットなどのデバイスを通して購買の意思決定をすることに慣れてきています。
消費者によっては、店舗で欲しいものの目星をつけてから、実際に購買する際はEC上でゆっくり意思決定するという、アナログとデジタルを駆使した買い物パターンもあります。

デジタルでの購買が定着している今、貴社が店舗のみで商品を取扱っている場合は今後の販売戦略の見直し視野に入れてみるのが得策かもしれません。

スマートフォンが必需品になっているため

今の消費者は、スマートフォンやスマートウォッチなどのデバイスがライフスタイルの中心になっていることが多いです。そのため、紙のポイントカードや店舗のみの販売などは不便に思う層も増えているのです。また、DMでのクーポン送付も紛失のリスクがあるため、メールやアプリでの配信に切り替えることで顧客満足度や利用頻度の向上に繋げられるでしょう。

競争激化により「独自性」が求められるため

ECサイトやフリマアプリの台頭により、アパレル店舗の競合相手は同業種だけではなくなりました。アマゾンなどの流通を得意とする企業がアパレルに参画していたり、いち消費者がアプリ上に店舗を出していることもあり、衣服に関する競争は今後も劇化することが予想されます。

そのため、自社にしかない独自の強みを持つことが今後の明暗を分けるカギとなります。例えばオリジナルアプリでポイント商圏を作ってみたり、消費者が欲しがる情報発信をしてみたり、購買データをもとに販売戦略を練りなおしてみたり…といったデジタル活用による自社の強みを構築することが一つの打開策となるでしょう。

アパレル業界の集客施策

アパレルのアプリ開発メリット①コスト削減と顧客データ取得 イメージ画像

では、アパレル業界において今効果的な集客施策にはどのようなものがあるのでしょうか。こちらでは、おすすめの集客方法を6つお伝えしていきます。

ショップアプリ

ショップアプリとは、スマートフォンやタブレットなどのデバイスにインストールできるアプリ上で販促や情報発信、商品販売などができる、ショップのデジタルなプラットフォームのことを指します。

ショップアプリの強みは、スマートフォン上にプッシュ通知を送れるなど、顧客のライフスタイルに入りこみやすいことです。また、ポイントカード機能を搭載すれば、顧客はカード紛失の心配もなく、店舗としては紙カード発行・管理工数の削減に繋がるため、双方にとってメリットがあります。アプリの仕様は店舗によって実に様々ですが、会員カードやポイント機能を搭載することで顧客の利便性向上に繋がります。

さらに、新作情報やコーデのコツなどの情報発信、期間限定クーポンの配信やキャンペーン告知の場としても活用できます。ただし、あまりに通知が多いと通知オフされてしまうことがあるので、プッシュ通知機能の利用は適度に抑えましょう。ショップアプリによる集客の事例については、本記事の最後にまとめていますので参考にしてみてください。

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SNS(Instagram、Twitter、Facebookなど)

SNSを活用した情報発信も、集客施策としては効果的です。消費者が日常的に利用するため、目に触れる頻度を高め、生活の中に入りこみやすい点はSNSの強みです。
また、ターゲットのセグメントを切れるので、自社の狙う年齢層に向けた広告発信により、アプローチの質を高めることも可能です。

例えば、InstagramやPinterestなど視覚的な訴求に特化したSNSを活用すれば、自社の世界観を発信でき、画像に商品を紐づけることで購買のきっかけ作りが可能です。Twitterのように拡散性の高いSNSでは、話題作りになるような発信をすることでユーザーが自社の情報拡散をしてくれたり、口コミマーケティングにも繋がります。

Googleマイビジネスの活用

Googleマイビジネスは、スマートフォンで店舗を検索した際に地図上で見つけてもらえるよう、Googleマップ上に自店の店舗情報を反映させられる無料ツールです。最近はGoogle検索で店舗を探すユーザーも多く、検索結果の一番上にGoogleマップが出現し、そのままマップ上で店舗を探すことも増えています。マップに自店の情報が掲載されているかどうかが集客に大きく影響しますので、取り入れていない場合にはぜひ活用してみましょう。

店舗情報を掲載するだけではなく、口コミを通じた顧客とのコミュニケーションや、分析機能の活用によるユーザーの行動分析も行えるため便利です。Webサイトを持っていない店舗の場合、Googleマイビジネス活用により簡単なサイト作成ができるのもメリットです。

電話で来店促進

アナログな手段とはなりますが、顧客の印象に残りやすいのが電話による来店促進です。

最終来店から日が経っているリピーターや、関係構築をしたい顧客を対象にし、新作商品などの案内を電話で行います。電話をかける際には、新作の案内を唐突にしてしまうと、いかにもセールス感があり警戒されてしまいます。アイスブレイクをした上で、本題に入るのがおすすめです。

電話による来店促進を成功させるポイントは、来店時の顧客との会話内容をメモっておいたり購入履歴を確認するなどして、その顧客の好みや興味があるものを知っておくことです。相手が興味を持ちそうな話題をいくつかピックアップした上で、電話販促を行いましょう。

手紙

先述では、紙のDMは紛失の恐れがあるとお伝えしましたが、手紙によるコミュニケーションは大変効果的です。デジタルがメインのコミュニケーション媒体である今、手紙による販促は減っています。その中で、顧客への手紙を自店が送付することは、他店との差別化のきっかけにもなり得るでしょう。

書く内容は、購買後のアフターフォローや新作情報、セール情報の告知、顧客の誕生日、または贔屓にしてくれているリピーターへの挨拶などが挙げられます。購買後に送る場合は直後に書くか、プレゼントの場合はプレゼントを渡す時期にあわせて送ると良いでしょう。内容はある程度テンプレ化してOKですが、その手紙の中で顧客とあなたしか知り得ない、買い物の際に話題に上がった内容を書くと印象に残りやすいです。

イベント

アパレル店において考えられるイベントには、展示会の企画・出展やセールイベントの開催、ノベルティ配布などがあります。メリットとしては「今度イベントを開催するのでぜひ!」と案内をきっかけとした手紙やDM送付の話題の一つになったり、プッシュ通知配信などで顧客とのタッチポイントを作れることが挙げられます。

イベントを機に休眠顧客の呼び起こしにも繋がったりするので、定期的にイベント企画をするのがおすすめです。世の中の状況により実店舗での開催が難しい場合でも、最近ではVRを活用したバーチャル展示会などの企画も増えており、来店促進以外にも色々な方法があります。世の中のニーズも考えつつ企画を考えてみると良いでしょう。

来店促進で重要なのはリピーター確保

アパレルに限ったことではありませんが、商売においては新規獲得以上にリピーターの確保が重要です。理由としては、一般的に新規顧客の獲得コストはリピーター獲得の5倍かかるといわれています。つまり、リピーターの確保ができれば、販促コストを5分の1に抑えられるということです。来店促進においては、新規獲得だけではなく、いかにリピートしてもらえるか、来店頻度を上げてもらえるかを意識しましょう

市場拡大により重要度が増すEC

経済産業省『我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 (電子商取引に関する市場調査)』によると、日本のBtoC市場のEC市場は、2010年の7兆7,880億円から右肩上がりに拡大を続け、2018年には17 兆 9,845 億円にまで伸びています。

特に、スマートフォン経由の物販市場においては、2018年時点で3兆6,552億となり、この市場規模は、物販全体の約40%を占めています。物販の4割がスマートフォン経由ということは、アプリやECなどスマートフォンで商品購入をできる流れを作ることが重要になっているといえるでしょう。

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ショップアプリがアパレル集客をDX化

ここまででお伝えした通り、アプリを使った集客や物販の流れを作ることはアパレル業界において重要になってきています。とはいえ、具体的にどのような仕様にしたらいいのかイメージがわきにくいこともあるかと思いますので、最後にショップアプリの活用事例を紹介しておきます。自店に生かすための参考にしてみてください。

ABCマート

靴の小売り大手のABCマートはアプリを使って販売を行い、売り上げを向上させています。アプリインストールにより500円分のクーポン配布を行うことでダウンロード数を増やしたり、ポイントが貯まる仕組みによりユーザーは店舗でも通販でも変わらずポイント利用ができます。アプリとしては非常にシンプルな仕組みですが、これだけでも大きな効果があります。

ナノ・ユニバース

ナノ・ユニバースでは、アプリでの商品販売ではなく、アプリを使って商品を予約した場合に10%OFFで購入することができる仕様になっており、オンラインとオフラインを上手に連携させています。

店舗の在庫を調べることができるため、顧客側としては「店舗に足を運んだ際に在庫切れで無駄足だった…」などの不便がないですし、店舗側としても在庫調べに関する接客を最小限に抑えられ効率的です。また、アプリを利用している顧客データの取得により、顧客別におすすめの商品を表示させる機能も搭載しています。

来店するだけでポイントが貯まり、ポイントは商品購入に使えるなどの仕組みで運営しているので、店舗に足を運んでもらうことを前提としたアプリとして参考になるのではないでしょうか。
実際に、アプリがあることで店舗に来店するリピーターが増え、売上向上にも成功しているとのことです。

まとめ

時代の変化や技術の発展により、消費者のニーズは日々移り変わりを見せています。アプリを開発して新しい販路を拡大している企業と、実店舗にこだわり続ける企業では、将来的に大きく差が生まれることが予想されます。
そのため、実店舗に主軸をおくアパレル企業にとって喫緊の課題は、アプリやネットショップを始めとしたデジタル活用といえるかもしません。デジタル化の過渡期にある今、オンラインとオフラインを上手く使い分けて、この厳しい状況を打破する集客施策を練っていきましょう。

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ここでは、「SHOP FORCE」を用いたロイヤルカスタマーの育成方法を実例を用いてご紹介しております。

「UNDEFEATED」「BAIT」「FIGURE」「IN THE HOUSE」など、複数のアパレルブランドを展開されているスタージョイナス社の経営企画室GM 藤田様にインタビューをさせて頂きました。

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