店舗経営のDX(デジタルトランスフォーメーション)を科学するウェブマガジン

ファッション×AI(人工知能)はどう変わるのか?実用例をご紹介 アイキャッチ画像

ファッション×AI(人工知能)はどう変わるのか?実用例をご紹介

顧客体験
  • hatena

AI、人工知能を活用したサービスやビジネスがさまざまな業種で展開されています。アパレル・ファッションの分野も例外ではありません。ネット上でのスタイルやコーディネートというとそこからの「即購入=ネット通販」というイメージを持たれる方も多いと思いますが、実店舗への来店促進に活用もされています。

ファッションとAI(人工知能)がタッグを組んだ例はどのくらいあるのか

近年では、ファッション業界が人工知能を活用した例が沢山見られます。まず「SENSY CLOSET(センシークローゼット)」です。

2014年11月にリリースされた人工知能を活用したファッションアプリ「SENSY CLOSET(センシークローゼット)」は、ファッションセンスを学習し、まるで専属のスタイリストのように、世界中のECサイトからユーザーの好きなモノを集めてくる人工知能、AIファッションアプリです。その人工知能が「SENSY(センシー)」です。

続いてPOCKET PARCOです。これはユーザーの購入履歴やお気に入り商品の登録履歴などを元にして、人工知能がユーザーの好みを学習し、1人1人に特化した情報を提供してくれるサービスになっています。

3つめがPASHALY(パシャリィ)です。これはファッションの写真を送信するだけで同様の服を提案してくれるアプリになっています。

自分の好きなファッションを撮影するかファッションが写りこんでいる写真をアップロードすると、人工知能がコートやトップスなどと言ったカテゴリーを分析してきれます。そうしたらお好みのカテゴリーをタップすると購入可能な商品が表示されるので、購入サイトに移って購入するという流れになります。

4つめはAI MD(エーアイ・エムディ)です。このサービスは、ファッションポケット社によるファッショントレンド予測サービスになります。他にも「AI MD BASIC」というファッショントレンド配信レポートサービスを展開しています。

最後はRikoとMikaです。株式会社ニューロープがLINE上で着こなし方を教えてくれるスタイリストのRikoとコーディネートを教えてくれるショップ店員のMikaを開発しました。

100万枚以上のファッション写真を読み込んで人工知能が学習しているので、ファッションアイテムを送信するだけでRikoとMika<があなたに合った着こなし方やコーディネートを提案してくれます。 ざっくり説明していきましたが、まず最初に「SENSY CLOSET(センシークローゼット)について詳しく解説していきたいと思います。

ファッションAI(人工知能)アプリ「SENSY CLOSET(センシークローゼット)」とは

感性を学習するパーソナル人工知能「SENSY(センシー)」について

近年テクノロジーとの関係が密接になってきたファッション業界で、AI(人工知能)の可能性は拡大し続けています。感性を学習するAI「センシー(SENSY)」は、感性を科学的に解析する感性工学という学問があるのですが、そこにディープラーニング(深層学習)を応用し、AIのコアとなっている技術です。

SENSYは人の「感性(センス)」を理解する、パーソナル人工知能 です。ひとり1台の人工知能を持つことにより、SENSYが利用者ひとりひとりの「感性」を学習し、様々なライフスタイルで人生が変わるような出会いを創り出します。
引用:株式会社SENSY

まず、AIに学習させるためには多様なデータを使う必要がありますが、服を1着買うだけでもたくさんのデータを収集することができます。例えば、洋服の種類やブランド、どの店舗で購入したかなどのエリア情報、天候、世の中のトレンドなど膨大な情報があります。その情報の中から、AIを使ってなぜその人が、その場所でその商品を買ったのかという関係性を導いています。
このAIを利用し開発されたスマホアプリが「SENSY CLOSET(センシークローゼット)」です。

ファッション人工知能アプリ「SENSY CLOSET(センシークローゼット)」とは?

出典:Apple Store「SENSY CLOSET」

「SENSY CLOSET(センシークローゼット)」は、SENSY株式会社(旧:カラフル・ボード株式会社)が2014年11月にリリースしたファッション人工知能アプリです。簡単に言うと、「スマホであなたの洋服に関するすべてを、スマホで管理」できるアプリです。ユーザーが、購入済みファッションアイテムや、保存したコーディネート情報をAI(人工知能)が学習し、個々に最適なコーディネートを提案してくれます。

ユーザーによってアップロードされた洋服の画像解析することで、AIが色や柄、着回しのパターンや着こなしといった組み合わせなどを抽出し、その人のファッションセンスや好みを紐解きます。そうすることで、既に持っているアイテムと販売されているアイテムの2つを掛け合わせて、新しいコーディネートを提案し、ユーザーのコーディネートをサポートしてくれるものです。

このアプリのリリースから、ユーザー2万人以上、30万着の洋服が管理されています。新しい着こなしや商品の発見にあると考えて、コーディネートに困っている人や服を選ぶのに時間をかけたくないという人をサポートしてくれる優れたパーソナルAIアプリと言えるでしょう。

AI(人工知能)でファッション業界はどう変わるのか?

パーソナル人工知能「SENSY」は、ユーザーの「感性」を学習していく1人1台の人工知能です。現在では、マーケティング、需要予測、新商品開発、店舗接客、EC接客、カスタマーサービスなど幅広いソリューション群を展開を行なっています。事業ドメインもファッションから食品、美容・健康食品、旅行など幅広いライフスタイルに拡大を続けています。

人工知能活用してリアル店舗で解決できる課題

アパレル企業に関わらず小売業界では下記のような課題がないだろうか?

  • 「チラシの配布数を最適化して利益を改善したい」
  • 「新米販売員とベテラン販売員の接客レベルの差を埋める」
  • 「粗利を最大化する販促」
  • 「今、本当にコスト投下すべき顧客は?」
  • 「MAと連携し、販促効果が最大化するベストシナリオを」
  • 「顧客心理を把握して新しく商品を提案」
  • 「お客様別が最も反応するメールを用意したい」
  • 「離脱を抑制し、休眠者を復活させる」
  • 「売れ残り在庫の消化を促進したい」
  • 「クーポンを最適化しダイナミックプライシングを実現」
  • 「利益をキープしたままDM/カタログ送付数をカットできないか?」

出典:https://sensy.ai/sensy-mb-1

このような課題は、人為的に解決していくとなれば、膨大な手間と時間を費やすことになりかねませんが、人工知能の活用によってスムーズに課題解決ができるということです。

人工知能がファッションの需要を予測する

SENSY MD

同社の需要予測サービス「SENSY MD」は大手アパレル企業8社に導入され、企業の粗利が18%向上した例があるなどの成果をあげています。

出典:https://sensy.ai/

ファッションポケット

また同様に、画像AIエンジンを用いたファッショントレンド解析サービスを展開する「ファッションポケット」は、ソーシャルメディアを含む世界中のファッションメディアから、最新のコレクションやファッションのトレンド、写真を24時間自動で収集することができるサービスです。これらのファッションビッグデータ画像を解析し、カラーや着こなしなどのトレンドを予測することで、企業はその結果を商品企画などに活用することが可能のようです。

引用:FASHIONSNAP.COM

三陽商会は、人工知能サービス「ファッションポケット」を導入することで、シーズン展開頭での需要予測の精度やプロパー消化率の向上、 機会ロス・値引・余剰在庫の抑制を図り、売上・粗利の最大化と在庫の効率化を目指すそうです。この「AI MD」を活用した商品を2019年秋冬から婦人服の全ブランドで展開していく発表しています。
あらかじめ、トレンド分析や顧客動向の予測を行うことで、個々のお客様に対して最適なアプローチ・接客・販売はもちろん、在庫管理まで一貫して効率化を測ることが人工知能の活用で可能になるでしょう。

人工知能がショッピングのアシスタントをする

百貨店(リアル店舗)の場合、様々な店舗の膨大なアイテムが販売されており「自分で百貨店に行き、実際の各店舗を回ってコーディネートや欲しい商品を探す」ためには時間がかかります。

また、商品を百貨店(リアル店舗)に買いにいったものの「どこにあるのか?実際にあるのか?」分からないし、「行ってみて売り切れていた」など購入機会を逃すということも購入シーンとしてあり得る事です。

全米最大手の百貨店「Macy’s」は、人工知能を利用したモバイルショッピングアシスタントアプリ「Macy’s On Call」を開発しました。このアプリを利用すれば、ショッピングに来店したお客様は、リアル店舗で情報をいち早く入手することが可能になります。人工知能「Watson(ワトソン)」が店内をアシスタントしてくれるというアプリです。

「靴売り場はどこですか?」など、販売員に尋ねなくてはならなかった質問や、お目当のブランドや商品名を入力すると「Watson(ワトソン)」が答えてくれる仕組みです。顧客がスムーズにショッピングを楽しめるような手伝いをするのが、自然言語機能を持つWatsonの仕事です。

人工知能が販売員の仕事を奪うのではないかとの懸念もありますが、機械的に行うような仕事は人工知能に任せ、コニュニケーションなどお客様へのロイアリティある接客に注力することができるようになるでしょう。

出典:https://www.ibm.com/think/jp-ja/business/macys-ai/

ファッション×AI(人工知能)のアプリサービス紹介

パルコの人工知能アプリ「POCKET PARCO」

「POCKET PARCO(ポケットパルコ)」では、パルコの店舗館内で使えるクーポン情報などの機能に加え、洋服のレコメンド機能をAIで自動化しています。ユーザーの購買・来店履歴、お気に入り登録履歴や記事閲覧履歴などの情報を元に、人工知能がユーザーの好みを学習し、一人一人に合わせたおすすめ情報を表示してくれます。

出典:http://pocket.parco.jp/

人工知能が見つけてくれて、購入できるアプリ「PASHALY」

「PASHALY(パシャリティ)」では、欲しいファッションの画像をアップロードします。次に、欲しいアイテムを選択すると名前のわからないファッションアイテムだとしても、人工知能が探して一覧表示してくれます。更に、そこで気に入ったアイテムを購入できるECサイトへ導いてくれます。名前や関連するフレーズがわからなくても画像検索でぴったりなアイテムを発見できるのはとても便利な人工知能アプリです。

出典:https://pashaly.com/

LINEアプリの人工知能ショップ店員「Mika」

ユーザーがLINE上で人工知能のショップ店員にコーディネートをお願いできるサービスです。LINE上に画像投稿すると、そのアイテムに対するスタイリングを即座に提案してくれます。
更に、その提案が気に入って、アイテムが手持ちにない場合はそのままECサイトで購入が可能なのです。自分自身のコーディネートにマンネリ化している方に、刺激を与えてくれる心強いアプリ「LINE」で使える人工知能サービスです。

出典:NEWROPE

ファッション×AI(人工知能)はどう変わるのか?実用例をご紹介のまとめ

これまでのネット上のデータを活用したマーケティングは、「この商品を見ている人は他に見ている商品はこちら」というようなクッキーデータを元に、傾向を提案する事が中心でした。人工知能が発達すればより利用者の傾向にあった情報を届けることが可能になります。

この技術をプロモーションや広告戦略で活用できるようになると、広告も利用者によりあった情報を提供することが可能になるはずです。人工知能を活用されたアプリを導入せず、リアル店舗×ネットを活用する事で「来店前のプレ接客」や、「実店舗での在庫の把握による来店促進とショールーミング化を防ぐ事」「接客が苦手なお客様にもコーデやおすすめアイテムの提案」をすることは可能です。

そこに「人工知能」が加わればより個々のお客様のニーズにあったサービスを提供することが可能になると考えられます。「好き・好きではない」という利用者の傾向を分析し、最適なサービスを提案するということは、ファッションだけでなく飲食やビューティーなどライフスタイルの中の様々な分野で活用することができるでしょう。

お客様の幅広いニーズや購入シーンに対応するためにも、今後ファッションにとどまらず様々な分野で「人工知能」技術の向上と普及が行われ、手軽に活用できるようになるといいですね。