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CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?意識するメリットと施策例を紹介

顧客体験
  • hatena

CX(カスタマーエクスペリエンス)の改善によって、企業の業績の改善に役立つ、効果があるという調査結果がいくつもでています。本記事ではCXとは何なのか、CXを意識すると得られるメリット、CXに関する調査結果、施策例を紹介します。

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは?

顧客体験イメージ図

CX(カスタマーエクスペリエンス)は「Customer Experience」の略称で、顧客が体験する価値を意味します。商品やサービスの物質的・金銭的な価値はもちろん、商品やサービスの購入前後の顧客体験の全てを対象とします。

現代の日本ではモノやサービスが溢れており、それらの「物質的な価値」の向上のみに注力しても競合他社との差別化は難しいです。そこでCXの向上が注目を集めています。

カフェを例にしましょう。これまではいかに美味しいコーヒーを提供するのかが重視されていました。しかしCXの重要性が増した現在、コーヒーだけでなくBGMや家具、室内のレイアウトなど、コーヒーの価値とは異なる「快適さ」という価値を提供するのが重要になりました。

よりよいCXの提供は、顧客のリピートや口コミによる新規利用など、顧客ロイヤリティの向上につながります。

CXとCS(顧客満足度)の違い

CS(顧客満足度)とCXの概念は似ていますが、4つの観点で異なります。

 

CX CS
照準 問題のない水準+「感動水準」 「問題のない」水準
目的 ロイヤルカスタマーの創出
(コアなファン化)
顧客満足の獲得
起点 商品・サービスの購入前〜購入後 商品・サービスの購入後
単位 全体最適 部門最適

最も大きな違いはCSは商品・サービス購入後を対象にしている一方で、CXは商品やサービスの購入に至る前も対象にしていることです。

なお上の表を見ると分かる通り、CX向上にはCSの向上も欠かせません。CSをより発展させた概念だといえます。

CX(カスタマーエクスペリエンス)を意識するメリット

五つ星をチェックする男性
CXを改善するメリットを3つ紹介していきます。

競合他社との差別化

CXが近年注目を集めている背景には商品やサービスが溢れていることがあります。商品やサービスが市場に充足している状態で、商品やサービスそのものの価値だけで競合他社と差別化するのは難しいです。価格競争に陥ることが予想されます。

しかし商品やサービス自体の価値に加えてCXを改善すれば、商品・サービスの購入前〜購入後の一連の流れで価値を感じてもらうことが可能です。その結果、様々な形で競合他社と差別化できます。CXを向上させることで、商品やサービスそのものの価値が同じでも、価格を落とすことなく、顧客に選ばれる存在になることが可能です。

顧客離れの防止

CXの改善には顧客離れ防止の効果があります。顧客は十分なエクスペリエンスを得られないブランドから商品を購入しようとしません。顧客管理システムの販売などを行うセールスフォースのレポートによれば、57%の顧客は競合他社のエクスペリエンスが優れていた場合には、競合他社の商品を購入すると答えています。

またアメリカのコンサルティング会社のフォーラムコーポレーションの調査ではブランドからの離反理由について、顧客の70%は満足なサービスを受けられなかったからと答えています。さらにエクスペリエンス次第で、商品の購入をやめると答えたのは全体の約3分の1です。そして80%の顧客はエクスペリエンスは商品・サービスそのものの価値と同じ重要性を持つと答えたという調査もあります。

顧客維持よりも市場拡大を重視する企業によって、顧客離反の影響は小さいと思うかもしれません。しかし顧客が1人離反してしまうと、企業は顧客の生涯に渡期待できる購買活動(生涯価値)を失ったことになります。5対1の法則からも分かる通り、企業にとって既存顧客の離反は無視できる問題ではないでしょう。

ブランドイメージの向上

ある商品・サービスの購入・利用前から利用後まで一貫して良いエクスペリエンスを得られれば、顧客にとってのブランドイメージが向上し、信頼を得られることが予想されます。またこの時、同一ブランドに限らず、その企業が運営する他のブランドへのイメージや信頼性も向上しているでしょう。

そのため顧客が実際に商品やサービスを購入したブランドの他の商品はもちろん、他の同一企業の他のブランドの商品の購入も促進され、企業全体の売上に好影響を与えます。ブランド力の高い商品やサービスは高価でも選ばれます。フォーブスはアメリカの顧客はサービスの質の高さに定評がある企業に対しては通常よりも17%高く支払う傾向があると指摘しました。CXの改善をすることで、商品やサービスの価値を上げることが可能です。

CX(カスタマーエクスペリエンス)に関する調査結果

CXの重要性を支持する様々な調査結果の一部を紹介します。

  • CXのリーダー企業はラガード企業(CXの改善が遅れている企業)の約3倍のROIを誇る。(コンサルティング会社「watermark」)
  • CXの改善により組む企業の92%は顧客のロイヤリティが向上し、84%が収益の増加、79%は経費削減に成功した。(メディアソフトウェア会社「Cision」)
  • ロイヤリティーの高い顧客は通常の顧客の5倍の確率で再度商品を購入し、4倍の確率で知人に商品やサービスに関する口コミを広める(オンライン調査分析ツール会社「XM institute」)
  • CXの改善に注力している企業の従業員エンゲージメントは20%平均よりも高い(コンサルティング会社「マッキンゼー」)

CXは顧客のロイヤリティだけでなく、従業員エンゲージメントにまで好影響を与えることがわかっています。CXは全体最適化を行う必要があるためCSの改善よりもコストがかかることが予想されます。しかし既に紹介した通り、顧客はサービスの質の高さに定評がある企業には17%多く支払う傾向があるほか、より良いエクスペリエンスのためにはより多く支払うことを厭わないという顧客の割合は67%です。CXの改善はコストをかけてでも取り組む価値があります。

CX(カスタマーエクスペリエンス)向上の施策例

CX向上の施策例を紹介していきます。

スターバックス

スターバックスのWEB画面
引用:スターバックス

スターバックスは店舗をサードプレイスに位置付け、スタッフの接客やコーヒーの香り、Wi-FIやBGMなど来店時に得られる全ての体験を「スターバックスの体験」とします。そして顧客に店舗を自分の居場所のように感じてもらい、繰り返し来店してもらえる空間を作ることを中心にCXの向上の取り組んでいます。スターバックスは2004年から2019年まで右肩上がりで店舗数・売上・利益を伸ばしました。その要因の1つはCXの改善にあったことが予想されます。

無印良品

無印良品のWEBページ画面
引用:無印良品

「検討から購入利用」までの一連の流れを考え抜くことを基本としている無印良品もCXの改善に積極的に取り組んでいる企業の1つです。ネットショップと同時に開設した「くらしの良品研究所」では顧客の要望を吸い上げ商品化し、モニターに使用してもらった意見をもらうことで、顧客ニーズを顕在化させると同時に商品価値を明確化し、改良を重ねます。また商品の幅広い使い方やネット上で話題の商品の情報などをSNSで発信し、積極的に顧客とのコミュニケーションをはかっており、見習うべきところは多いでしょう。

CX(カスタマーエクスペリエンス)のまとめ

CXは顧客が体験する価値を意味し、商品やサービスを含むすべての価値はもちろん、商品やサービスの購入前後の顧客体験をも対象としています。

商品やサービスが市場に溢れ、商品やサービス自体の価値による差別化が難しくなった現代、購入前から購入後の一連の流れにおけるCXの向上は重要です。

質の良い、質の高いCXの提供によって、顧客の再来店や口コミやコメントによる新規利用など、顧客ロイヤリティの向上につながります。

また、CX向上のためにはまずCSの向上も大変重要です。様々な調査によって、CX改善の業績への好影響を示唆しています。

CXを意識するメリットを理解し、CX改善のリーダー企業になれるよう、CX改善に取り組みましょう。