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スマホ時代に注目を集める「ARASL」モデルとは?

マーケティング
  • hatena

近年、スマートフォンの普及に伴い、「ARASL(アラスル)」という考え方(消費者行動モデル)が誕生しました。

生活必需品であるスマートフォンをマーケティングに利用することで、より一層確実な集客を目指せます。

ARASLが誕生するに至った背景を読み解き、今、消費者が欲している情報は何かを捉えましょう。

ARASLの背景① O2O市場の拡大

株式会社野村総合研究所によると、2011年度の時点で、24兆円の規模と推計されるO2O消費の市場が2017年度には50兆円規模まで成長すると予測されています。
O2O市場規模予測

出典:NRI Knowledge Insight

また、その要因として、スマートフォンの普及、SNSの普及、施設内の無線LAN環境の拡大を挙げています。2014年のスマートフォン広告市場規模は、3,008億円。前年比162%と高成長しています。今後の展望を考えると、スマートフォンへの対応を避けて通るわけにはいきません。

TwitterやFacebookなどのSNSに情報が共有されると、親しい友人たちが「自分も行ってみよう!」と喚起され、新しい顧客を送客することにつながっていきます。

それ故、実店舗や販促イベントの運営を行う上で、このO2Oは、非常に重要な施策の1つとなります。

これまではリアルの店舗への誘導に関しては、テレビCMで、ネット通販に関してはWeb広告といったバラバラの”集客”を行ってきました。

これに対して、スマートフォンの登場によりO2O時代のマーケティングの情報の連携が図りやすくなりました。今後は決済、ポイント、クーポン、位置情報サービスなどさまざまな分野で「リアルとネットをいかにシームレス連携していくか」という事が重要になります。

ARASLの背景② スマホの普及

2010年代に一気に加速したスマートフォンの普及に伴い、スマートフォン広告市場も膨張を続けています。

スマホ普及率

出典:「2015年 スマートフォン広告市場動向調査」発表

スマートフォンの最大の特色の一つは、「肌身離さず持ち歩いている」点です。消費者は、いつでもどこでもネットを経由して情報を入手できるようになりました。

それはつまり、認知から購買までの時間が大幅に短縮されたことを意味します。情報収集はもはやもっぱらパソコンではなくスマホという人も多いことでしょう。

さらに「検索する」プロセスすらなくなってきています。例えば、マクドナルドさんのアプリを利用されている方であれば、もはや“マ・ク・ド・ナ・ル・ド”と入力して検索しなくても、人差し指でタッチするだけで、新作バーガーとクーポンの情報を入手できます。ひとたびアプリがインストールされてしまえば、競合は排除されて顧客がいわば囲い込まれ、そのままリピート→拡散→新たな消費者による認知へと循環は続きます。

次のセクションでは、「O2O市場の拡大」「スマホの普及」により生まれた新しい消費者行動モデル「ARASL」を、特にその要因となったスマートフォンとその利用者に焦点を当て、具体的な行動の中身を、紐解いていきたいと思います。

新しい消費者行動「ARASL」

消費者がモノやサービスを利用するまでの消費者行動として有名な「AIDMA」。時代の流れとともに「AIDMA→AISAS→AISEAS」と消費者行動は変化してきています。
そして、O2O時代の新しい消費者行動としてARASL(アラスル)へと変化を遂げてきています。

ARASL
出典:ネットと実店舗を繋げる新しいマーケティングo2o

「AIDMA」では5段階目であり循環のゴールであったActionが、「ARASL」では3段階目になり、また一人の消費者の行動を追うにとどまらず、他者と情報の共有をした先まで描かれていることが、このモデルの特徴です。「ARASL」の行動を具体的に挙げると、このような流れです。

消費者は、スマートフォンのアプリを使って、自分が今いる場所から近い店舗の情報を受け取って来店します(認知)。

スマートフォンの地図やナビゲーション機能を利用すれば、現在地から店舗まで迷わず行くことができます(送客)。

来店時に、スマートフォンの画面に表示したクーポンを利用し、商品やサービスを注文(購買・利用)した後、食事の写真や商品のコメントなどをスマートフォンからソーシャルメディアに投稿します(共有)。

その後は、ポイントやゲームの楽しみを利用した仕掛けなどにより、店舗を継続するようになります(再利用)。

また、ソーシャルメディアで「共有」された情報は一瞬で拡散し、さらに友人たちに「認知」され、共感した友人たちが同じ店に訪れるという良い循環をもたらします。

ARASL促進の成功事例

ローソンは、2012年4月、ソーシャルメディアFacebookのクーポンの仕組みを利用し、人気商品「からあげクン」半額券を先着30万人に配布しました。(開始後たった17時間で配り終えたそうです。)
coupon1

出典:Facebookでクーポンを入手する

消費者がクーポンを取得すると、Facebook上の友人に共有・拡散されるため、あっという間に情報が広まったのです。
実際、6万個以上の「からあげクン」が売れ、7割以上の消費者が飲み物などの他の商品も合わせて購入するなど店頭の売上アップに成功しました。

小さなところから実践できるO2O

大企業だけが大掛かりなシステムを導入してO2Oを実践〜成功している訳ではありません。
小規模な店舗でもFacebookやLINE、クーポンアプリなどを利用してゲーム性を持たせるなどの楽しく参加できるコンテンツや情報配信をする事で、低コストでO2Oを実践する事ができるのです。

その際に、ネットを店の成果に結びつけるため消費者にどういう情報を提供すればよいのでしょうか?今後、O2Oビジネスが成功するために、最終的に最も重要な課題となるのが、消費者を店舗に誘導した後、いかに再来店につなげてその店舗の「お得意様」になってもらうかということです。

そうした消費者の「お気に入りの店舗」となるために、すなわちARASLを促進するために、消費者にとって有益になる「7つの情報」を配信することが大切になってきます。

ARASLを促進する7つの情報

① クーポン、ポイントなどのお得情
② ソーシャルメディア上で伝えたい話題や感動
③ 特定の分野での商品・サービスの口コミ情報
④ 店頭での商品価格・在庫情報の事前確認
⑤ ゲームの仕掛けを利用した楽しみ
⑥ 出会いや交流
⑦ ギフト

ただ、「消費者にとってお得な情報を配信すれば良い」という訳ではありません。

今後ますます進むユーザーのスマホを起点とした情報収集や、ライフスタイルの確率のためにも、「ARASL」の考えに基づき、テレビCMなどの不特定多数の方に広くまんべんなく伝えるためのマクロ的な情報配信とは異なり、スマホという1対1の個々人に届きやすいツールへの情報配信の特徴をうまく掴んで関心度の高いユーザーを囲い込み、そこからの広がりを作れるようなコンテンツや仕掛け作りをする事が大切になってきます。

FacebookやLINE、クーポンアプリなどのサービスをうまく活用し、今までアプローチできなかった消費者を取り込み、次いでサービスの再利用に繋げていくことが「ARASL」攻略の第一歩と言えます。