コミュニティマーケティングは、企業とユーザーはもちろん、ユーザー同士の関係性を構築していくことで熱狂的なファン化を狙えるマーケティング施策です。
では、具体的にはどのような方法で行っていくのでしょうか。
この記事では、コミュニティマーケティングの具体的な手法や活用方法についてなどをご紹介します。
コミュニティマーケティングとは
まず、コミュニティマーケティングの概念についてお話していきます。
コミュニティマーケティングの定義
コミュニティマーケティングは、ある企業やサービスを利用している消費者同士が参加できるコミュニティを作り、そのコミュニティを通じ得られるメリットをマーケティングに生かす考え方です。
ここで注意したいのが、コミュニティマーケティングはそのサービスの購買を直接的に促す場所ではないということ。
あくまで、そのコミュニティに所属することでサービスや商品を深く知ったり、ユーザーが周りに宣伝することで、結果的に売上やブランド認知が高まるという特徴を持っています。
コミュニティマーケティングの目的
コミュニティマーケティングは、企業とユーザーが直接コミュニケーションをとることで、生の声を拾い上げるのが主な目的です。
①ユーザーと話す
通常アンケート調査などでしか接することのできないユーザーですが、コミュニティマーケティングを活用すればフィルター無しに率直な質問をし、生の声を聞き出すことができます。
②ユーザーを知る
ユーザーと直接話せるからこそ、リアルな声や今思っていることを聞けるので、顧客インサイトはどこにあるのかを知るきっかけにもなります。
③ユーザーのファン化
例えば最近人気のオンラインコミュニティなどでは、ユーザーが直接オーナーに発言意見を届けることができます。
コミュニケーションが発生するというだけでも十分メリットですが、もしその意見が反映された場合、そのユーザーとしては「サービスを一緒に作っている」という感覚になります。
自分ごととして捉えられるからこそ、熱狂的なファンになり得るのです。
コミュニティマーケティングの手法
では、コミュニティマーケティングを実施するにあたり、具体的にどのような手段があるのでしょうか。
Web/SNS
WebやSNSに拠点を置き、ユーザーとコミュニケーションを取ったり、ユーザー同士の議論の場を作れるのがこのタイプ。企業によっては有料のものもあります。
ライブ配信
生配信で視聴ユーザーの反応を見られるのがこのタイプです。ファッションや美容、エンタメ等でよく利用されています。
ファン同士もその場でわいわいとコミュニケーションを図れるので、アットホームな空気になりやすい特徴があります。
課題解決型プラットフォーム
知恵袋的にユーザー同士が課題解決をサポートし合う形態です。このタイプの凄いところは、初心者ユーザー、ベテランユーザー、そして企業3者にメリットがあるところ。
まず、初心者ユーザーは、同じ商品を使っているユーザーの実体験やアドバイスを忖度無しに聞くことが出来ます。ベテランユーザーは、誰かに教えることで「ありがとう」と言われ、人によっては承認欲を満たすことに繋がります。企業としては、カスタマーサポートをユーザー同士で行ってくれることでコスト削減することが可能です。
オフライン
企業の担当者やユーザーが1つの場所にあつまり、企画や雑談を通してコミュニケーションを図れるのがオフラインのメリットです。
イベントを催しエンタメ的に楽しんでもらう場合もあれば、座談会やインタビュー形式の場合もあるでしょう。自社の目的に合わせて柔軟に企画できるのがこのタイプです。
コミュニティマーケティングのメリット・デメリット
ユーザーと企業の距離を縮め、新しいアイディアを得ることもできるコミュニティマーケティングですが、導入することでどのようなメリットとデメリットが考えられるのでしょうか。
ここでは3つのメリットと2つのデメリットについて解説します。
3つのメリット
1つ目のメリットは、「ユーザーの生の声を聞けること」。これは企業にとっては一番大きいともいえる利点です。マーケティング施策を練る難しさは、顧客の顔が見えない、どのようなニーズありきでサービスを利用しているのか分からないところにあります。そのため、ユーザーのリアルな意見・感想を聞けることは大きなメリットです。
次に、「顧客ロイヤルティ向上/ユーザーのファン化」です。コミュニティが深まれば深まるほど、議論が活発化すればするほど、ユーザーのそのサービスへの思いや存在意義は大きくなっていきます。
最後に、「ユーザー自身が広告塔になる」ことです。SNSが発展した現在、口コミはかなりの影響力を持ちます。コミュニティマーケティングをすることで、参加ユーザーそれぞれが発信をすることで企業の広告塔にもなり得るのです。
2つのデメリット
デメリットは大きく分けて2つあります。
まず、「鵜呑みにすると軸がブレる可能性がある」ということ。いくら生の声を聞けたとしても、それが多数派の意見とは限りません。意見を受け取った上で、次の施策に生かすのか否かは社内で検討する必要があります。
2つ目は、「効果測定がしにくい」こと。人の感情は数値化できませんので、コミュニティによって得られるもの全てを定量化することは不可能です。特にオフラインの場合はコストもかかりますので、その点はわきまえておく必要があります。
コミュニティマーケティング活用のコツ
コミュニティマーケティングについて一通り分かったところで、最後にこの手法を上手く活用するポイントをご紹介します。
自社に合ったコミュニティの検討
コミュニティマーケティングは、まず自社のサービスを知った上で行う必要があります。例えば、アマゾンはユーザー同士が活発な質問・回答を行うことでコミュニティ化に成功していますが、それが全てのサービスに合うかは別です。
エンタメ系であればライブ配信を通し、ファン同士の仲を深めることを促してもいいでしょうし、サービスがイベント系だったりオフラインのものなのであれば、実際に集まることでコミュニケーションを図るのも良いでしょう。大事なのは「自社のサービスと目的に沿った形」で、ユーザーとの接点を作ることですので、自社に合う方法を検討してみてください。
利益や結果に固執しない
コミュニティマーケティングの目的は、前述した通り顧客との関係構築に基軸があります。
直接的な売上やなにか数字に結びつけることはもちろん大切なのですが、そこに執着してしまうと、目的と手段を履き違える結果になり兼ねません。
大まかなゴールや目的の達成は明確に測りつつ、売上など目先の利益は度外視する必要があります。
まとめ:コミュニティマーケティングは中長期的視点が重要
この記事を通してコミュニティマーケティングについてのあれこれを語ってきましたが、この手法はあくまで顧客との関係構築の手段にすぎません。例えば、売上を短期的に上げたい場合、何か具体的な数字を持って企画出ししたい場合には、違う手法を取り入れる方が合っている可能性もあるでしょう。
ただ、コミュニティマーケティングは中長期的に見ると、顧客ロイヤルティとユーザー同士の結束力、企業とユーザーの関係構築が一度にできる心強いマーケティング手法でもあります。
自社に合うタイプのコミュニティ作りをし、ユーザーとの距離を更に縮めることで、息の長いサービスに育てていけるのがこの手法の面白いところです。
長い目で見つつ、自社とユーザー双方にプラスをもたらすコミュニティ作りをしてみて下さいね。