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DX化が進む小売業|必要な理由・効果・内容・事例を紹介

販売促進
  • hatena

今、世界の市場はDX化による大きな変革によって荒波を引き起こしています。イノベーションによる技術の進歩は著しく、人々の生活の中に大きな影響を与えています。

数多くの業界の中でもDXに最も影響を受けているのは小売業です。

今回は、DX化が進む小売業について解説していきます。

DXが小売業に必要な理由

DXが小売業に必要な理由
小売業の内情はすさまじいスピードで日々移り変わっていきます。かつては昭和のショッピングモールや百貨店からブームとなった小売業ですが、インターネットの登場によりメインの販売経路がECサイトに移り、それに付随して様々な企業やサービスが立ち上がりました。

そしてなんといっても、小売業において最も移り変わりのはやいものは顧客のニーズです。ECサイトが登場したころにはネット通販が流行し、人々はこぞってパソコンから商品を注文していました。この時代は顧客のニーズが商品に向いていた時代です。
そして、スマートフォンが普及し、いつどこでもネットショッピングが気軽に行えるようになった現代においては、商品だけではなく、購買体験を求めるという方向に顧客のニーズは変わってきました。

これらのめまぐるしい変化に対応するためには、膨大な量の情報を集め、分析しなければいけません。その情報収集・分析において必要不可欠なのがDXです。

あらゆる作業をアナログな方法でこなしているようでは膨大な情報を処理し、マーケティングに活用することは不可能でしょう。未だにアナログの業務で運用している小売店も多々ありますが、そのような小売店は顧客のニーズに応えることができず、衰退していく一方です。

日々移り変わる顧客のニーズ、小売の市場に対応するための情報収集・分析・活用がITシステムでないとできないというのがDXが小売業に必要な理由です。

DXが小売業に与える効果

DXが小売業に与える効果

業務の効率化・簡略化

小売業には棚卸ろしや検品などの仕入れ作業があります。そしてそれらの業務には時として発注の確認、顧客への対応など、他の業務を伴うことも多くあるでしょう。

そんな時にそれらの業務に必要な情報をモバイル端末にまとめていれば、モバイル端末を持ち歩くだけですべての確認を完結することができます。
さらに、モバイル端末を導入する前に各業務に利用していた専用機器などのコストを削減することも可能になります。

スタッフの管理・教育をサポート

スタッフの出退勤状況や勤務状況、休憩時間などのスタッフの管理をする場合、アナログの方法で行っていては多大な労力をかけることとなってしまいます。
そこで、DX化でITシステムを導入することによってスタッフの状況を管理者のモバイル端末で確認できるようになり、管理者は労力を削減することができます。

また、スタッフの教育に使うマニュアルなどをオンラインツールで作成し、共有し、利用しながら改善していくことで効率を上げることができます。スタッフにもモバイル端末を配布することで一度に新人スタッフを集めて研修を行う手間が省け、教育者の負担や新人スタッフのストレスを軽減することが可能になります。

小売店におけるDX化の具体的な内容

小売店におけるDX化の具体的な内容
DX化の進む小売店には、これまで見たことないようなシステムや機器が設置されていることがよくあります。
DX化が進む小売店では具体的にどのような内容のITシステムが利用されているのか紹介していきます。

セルフレジ

セルフレジとは、スーパーなどによくおいてある顧客が自分で操作をするタイプのレジのことです。レジ機にもよりますが、主に商品のスキャンから精算まで顧客が行います。

セルフレジの導入により、有人レジの数を減らすことができるため、労力を削減することができます。

監視カメラ

監視カメラとは、何かを監視する目的で設置されているビデオカメラのことです。小売店では、天井にいくつもの監視カメラを設置し1つの画面で顧客や店内の状況を監視することで効率化を図ります。

監視カメラや使うツールによっては顔認証システムや撮影したデータの保存などが行えるため、データ集めや犯罪の防止に役立ちます。

電子ペーパーの値札

従来は紙媒体を使用した値札が一般的でしたが、最近では電子機器を用いて価格を表示する電子ペーパーの値札が登場してきました。

電子ペーパーの値札の導入によって品出しの際にいちいち値札を取り換える必要がなくなりました。値札の印刷にかかるコストや値札の交換にかかる労力を削減できます。

AI店員

対話のできる人工知能を人間の店員代わりに配置し、商品・サービスの説明をさせることで労力を削減します。また、AI店員は日本語以外にも言語を設定することができるため、外国人の顧客に対しては人間の店員よりも質の高いサービスを行います。

代表的な例を挙げるとすると「ペッパーくん」などが挙げられます。

 

DXを取り入れた小売企業の事例

DXを取り入れた小売企業の事例

ローソン

大手チェーンコンビニエンスストアのローソンはDX化に積極的な小売店の1つです。

ローソンは、LINE公式アカウントを用いて顧客にアプローチする方法を取っています。
LINE公式アカウントでは、

  • イメージキャラクターとの会話
  • お店の最新情報の確認
  • おすすめの商品情報の確認
  • クーポンの獲得
  • 占い・ゲーム
  • 最寄りのローソンを通知
  • 店内の商品の検索

などが行えます。

また、ローソンはキャッシュレスにも対応しており、スマホ決済やクレジットカード払い、キャッシュカード払いなどに対応しています。
さらに、商品を自動でレジ袋に入れるロボットもあり、労力をとことん削減しています。

行動記録、購買履歴は収集され、そこからニーズが分析されることによって次回ローソンに来店したときにより顧客のニーズにマッチした商品の提供を行うことができます。

Amazon Go

Amazon Goとは、大手ECサイトAmazonを運営するAmazon.comが提供するサービスです。
レジに並ばずに、商品を自分の鞄またはポケットなどに入れ店を出るだけで決済が完了するという内容になっています。

レジを回す労力や決済にかかる顧客の手間を軽減させるという利点があります。

Amazon Goのような技術を取り入れたDXを発展させていけば、無人の小売店を作ることも可能になるでしょう。

DXは小売業において必要不可欠

市場や顧客のニーズの移り変わりが激しい小売業は、DX化が必要不可欠です。膨大な顧客情報を収集・分析するためのITシステムがなければ小売業界で生き残っていくことは難しいでしょう。

セルフレジやAI店員など、もう既に人間がいなくても運営が成り立つような技術はたくさん導入されており、労力の削減が容易になってきました。今後は無人の小売店などが登場してくる可能性は極めて高いです。

イノベーションは世界各地で起こっており、いつ革命を起こすような大規模のテクノロジーが小売業界に入ってきてもおかしくない状況です。DX化の先駆けとなることが多い小売業は目が離せません。世界のテクノロジーに目を向けながら、積極的にDX化を進めていきましょう。