店舗経営のDX(デジタルトランスフォーメーション)を科学するウェブマガジン

「見つけたい」「見つけてほしい」をもっと手軽に!ハッシュタグ検索 アイキャッチ画像

「見つけたい」「見つけてほしい」をもっと手軽に!ハッシュタグ検索

マーケティング
  • hatena

さまざまなSNSで使用できる、ハッシュタグを活用するユーザーが増えてきています。アライドアーキテクツ株式会社が実施した、InstagramやTwitterなどの利用頻度が高い女性SNSユーザー約4500人を対象にした調査の結果をもとに、SNS上で効果的に情報発信をするヒントを見つけていきましょう。

ハッシュタグ(検索)とは?

ハッシュタグとは、SNS上でユーザー投稿のタグ(付箋)として用いられる、ハッシュマーク(#)が付いたキーワードのことです。

♯(シャープ)と形が似ていますが、また別の記号です(縦線が傾いているのがハッシュマーク、横線が傾いているのがシャープ)。和名では井桁(いげた)といい、「いげた」を変換して入力するか、一般的なキーボードでは「3」キーに割り当てられています。

「#fashion」「#ランチ」など日本語や英語のワードと自由に組み合わせることで、投稿内容が何に関するコメントなのかを一言で表すことができます。ハッシュタグで検索をすると、同様のハッシュタグを記載した投稿がピックアップされます。例えば同じ事柄に関心のある仲間を探したり、反対に仲間を募りたい場合や、「#〇〇についての情報を集めたい」といった場合にも便利です。

Twitter、Instagram、Facebook、YouTube、Vine、Flickrなど、多様なSNSでこのシステムが採用されており、個人的にSNSを利用するユーザー間だけではなく、企業や商品のPRにも広く活用されています。ハッシュタグがどのくらい、どのような目的で使われているのかを確認しながら、活用法を考えていきましょう。

20代以下では約半数がハッシュタグ(検索)の利用経験あり

ハッシュタグ利用経験出典:ハッシュタグを使ったことがありますか?

「これまでにSNS上でハッシュタグを使ったことがあるか」という質問に対しては、全体の36%が「使ったことがある」と回答。「知っているが使ったことはない」(18%)を加えると、ハッシュタグ自体の認識率は半数を超えています。さらに、20代以下に対象を絞ると、利用経験ありと回答したのは約半数、認識率は約7割に達し、若年層ほど広く利用・認識されていることが分かります。(調査が行われた2015年2月時点で)

テレビのニュース番組などで、SNSで視聴者の意見感想を募る際、「#〇〇でつぶやいて下さい」といった呼びかけがされたり、コマーシャルなどでも、〇〇についてのPRです、〇〇で検索して下さいといった説明を省き、「#〇〇」という文言だけが提示されることも散見されます。若年層に限らず、また、ハッシュタグについてよく知らない人にとっても、「このキーワードを広めたい」「このキーワードを強調したい」ものであると容易に想像できる記号と成り得ています。

もともとはTwitter上で、あるユーザーが、特定のイベントの関連ツイートが他の投稿に埋もれないように、イベント名の頭に#の記号を加えてつぶやこうと提案したことが発祥と言われています。このことはSNSを利用し競合他社との差別化を図る上で、十分なヒントとなりそうです。

ハッシュタグ(検索)の利用SNSはTwitterがメイン、20代以下は3割がInstagramでも活用

ハッシュタグを利用したことのあるサービス出典:ハッシュタグを利用したことのあるサービスは何ですか?

ハッシュタグを利用したことがあるSNSについては、全年代の83%が「Twitter」と回答しており、「ハッシュタグ=Twitter」というイメージが定着していることが分かります。一方、Instagramでの利用率は20代以下(34%)が30代~40代(16%)の2倍以上となっており、若年層ではSNSを横断して幅広くハッシュタグを活用していることがわかります。

話題のニュースや芸能人のゴシップ、好きな音楽、興味のある映画についての情報を集めたり、それらについて自分の意見を拡散したりと、用途はさまざまです。ハッシュタグのシステムを、マーケティングに活用するならば、トレンドとなっているキーワードを把握することが必須となります。例えば、Twitterであれば「#話題を検索」欄から、トレンドのキーワードを確認することが可能です。

また、自社や商品のプロモーションを展開するにあたり、関連するキーワードの投稿数をあらかじめ調べ、拡散率の予想に役立てるなど、ビジネスで利用する側にもさまざまな用途が考えられます。ターゲット層の集まるSNS、その中でも興味関心の高いキーワードを把握しておくことが、ハッシュタグ活用の鍵となります。

ハッシュタグ利用の目的は6割が「商品や情報の検索」

ハッシュタグ利用目的出典:ハッシュタグの利用目的はどれですか?

ハッシュタグを利用する目的は、「気になる商品や情報を検索するため」(62%)が最も高く、全年代に共通して、「好きな商品などの情報を定期的にチェックするため」(31%)と答えるユーザーも少なくないことから、商品を提供する側から考えても、情報発信のチャンスを多分に含んだシステムと言えます。PRとしての利用だけではなく、ハッシュタグをリサーチのために利用して、商品の評判を一覧したり、商品に関連する競合他社の評価評判・情報収集をするなどして、今後の展開に活かすことも大変有意義です。

また、年代別の割合では20代以下のみ「友達などが投稿しているハッシュタグに興味を持ちチェックをするため」(40%)が次点となっており、若年層では友人のハッシュタグがユーザー自身の興味・関心に高い影響を及ぼしていることが分かります。

ここにも、「友達に教えたい」「友達が話題にしていたから」という口コミ効果を利用した、マーケティング拡大のチャンスが潜んでいます。ネット上の情報が顧客の購買意思を大きく左右する昨今、この拡散の波に乗れるかか否かが、利益に直結してきます。次のセクションでは、どのような商品が、主に検索対象となっているのかも交え、ユーザーの動向を見ていきましょう。

ハッシュタグ検索対象は「食品」「化粧品」がツートップ

ハッシュタグ検索対象出典:今後ハッシュタグを利用して検索してみたい情報は何ですか?

まず特筆すべきは、「今後、ハッシュタグを利用して検索してみたい情報は何ですか?」という問いに対し、ニュースやそれに対する見解、好きなアーティストやブランドなどの最新情報を大きく引き離し、「商品の口コミ」がダントツでトップということです。

企業やブランドの発信する情報より、顧客は別の顧客の生の意見を一番の指針にしていると言えます。これは恐ろしいことでもあり、企業やブランドの好印象を拡散できるチャンスが、ここに在るとも言えます。ブランドのハッシュタグを利用した商品情報の検索で最も多かった商品カテゴリーは、全年代で「食品」(49%)がトップ、次いで「化粧品」(42%)となり、その後は「レシピ」(22%)、「家電」(22%)、「アパレル」(21%)という結果になりました。

年代別では、20代以下で「アパレル」「アクセサリー」の占める割合が他の年代と比べてともに約10%も高く、若年層がファッション情報の検索にハッシュタグを積極的に活用していることが分かりました。前述の、リサーチとしての利用法に続きますが、他社のサービス・商品の評価・評判の奥に潜む、「顧客が本当に求めていること」を探る手がかりとしても、活用できそうです。

 ハッシュタグ検索の魅力は「手軽さ」

ハッシュタグ検索の魅力出典:どのような理由でハッシュタグ検索を行いますか?

ハッシュタグで検索を行う理由については、30代以上で「特に理由はない」が最も多かった一方、20代以下では「検索が簡単なため」(40%)がトップとなり、若い年代であるほどその「手軽さ」に魅力を感じていることが分かります。

また、「情報が整理されているため」(19%)、「リアルタイムで情報を得られるため」(16%)、「見ているだけで時間が潰せるため」(14%)と、他の年代に比べて具体的な回答が選ばれる割合が高く、若年層であるほどより明確な目的のもとにハッシュタグが活用されていることが分かります。

SNSが普及するに連れて、企業側もTwitterやFacebookを利用したソーシャルマーケティングを拡大させてきましたが、これにハッシュタグというシステムがさらに拍車を掛けそうです。

例えば、ユーザーに登録を促す必要のあったキャンペーンなどは、その手数から敬遠される節がありました。これもキャンペーン内容に沿った任意のハッシュタグで参加者を募ることで、面倒な登録作業を省いて「投稿」をしてもらうだけで済むようになります。

手軽に利用できる=つながれるシステムは、顧客と企業の間においても同じく有用であると言えます。

65%が「今後、商品のクチコミをハッシュタグで検索したい」と回答

今後、商品のクチコミをハッシュタグで探したい情報出典:今後ハッシュタグを利用して検索してみたい情報は何ですか?

前述のアンケート結果を、再度細かく見ていくと、今後、ハッシュタグを利用してSNS上で検索したい情報は、全年代で「商品の口コミ」(65%)が最も多く、次いで「好きなアーティストなどの最新情報」(31%)、「ニュースに対する世の中の見解」(29%)となりました。この結果から、ハッシュタグが今後、SNS上での口コミの伝播に大きな影響を与える可能性を持っていることが分かります。

また、20代以下では「ブランドなどの最新情報」という回答も3割を超えており、ここでも若年層における「気になるモノ・コト」の情報収集というハッシュタグ活用意向の高さが窺えます。このセクションでは、「商品の口コミ」に関わらず、SNSと、ハッシュタグの持つ手軽さによってもたらされる「口コミの伝播へ与える影響力」に焦点を当てたいと思います。

多くの企業が、従来の検索サイト対策(SEO)に加えて、ハッシュタグ検索の普及とそこに含まれる可能性に目をつけています。「見つけてほしい側」はメッセージの伝播を、「見つけたい側」はより手軽に情報の収集を出来るようになった昨今、この変化に迅速に対応できなければ、競合他社との競争を勝ち抜くことは難しくなります。例えば、店頭で商品の購入を検討している顧客がスマートフォンを取り出したら、それはその商品の「口コミ」をハッシュタグ検索しているのかもしれません。

効果的なハッシュタグでより検索されやすく

上記の調査データにより、半数以上の女性SNSユーザーがすでにハッシュタグという存在を認識し、特に20代以下において手軽な検索手段として積極的に活用されている様子が明らかになりました。スマートフォン経由でSNSを利用し、ビジュアルによるコンテンツ消費が日常化している若年層にとって、ハッシュタグ検索は自身の興味・関心を可視化出来る、利便性の高い検索行動となっています。

企業は自社のマーケティング的に効果があると考えられる、ハッシュタグを用意しておく必要がありそうです。ハッシュタグには投稿に対し関連性が高いワードをつけるのが原則ですが、一般的なワードは検索されやすい反面、競合が多く埋もれてしまう事も多いです。ハッシュタグに用いるキーワードを決める際にも、従来の検索サイト対策(SEO)のように「どんなキーワードだったら探しやすくなるか?」を考えることが大切です。

今後、ますます進むスマホ時代のマーケティング施策として、SNSユーザーの検索スタイルを考慮してハッシュタグで効果的にユーザーを誘導できるような対策を実施していきましょう。