店舗経営のDX(デジタルトランスフォーメーション)を科学するウェブマガジン

シニア層が売上アップの鍵!シニアマーケティングのすすめ アイキャッチ画像

シニア層が売上アップの鍵!シニアマーケティングのすすめ

マーケティング
  • hatena

インターネットを利用するのは若い世代だけではありません。近年、シニア層のインターネット利用率が大きく上昇しています。シニア世代のインターネット利用の現状を知り、今後は幅広い世代に利用してもらいやすいネット販促施策をとっていくことが求められています。

シニアマーケティングのチャンスはスマホにも

株式会社博報堂 DYメディアパートナーズ メディア環境研究所が実施したメディア定点調査によると、2014年のテレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットを合計した1日あたりのメディア接触時間は385.6分となり、2013年の353.1分からプラス 32.5分と大きく増加しました。携帯・スマホの接触時間は 2013年が50.6分だったのに対して、2014年は74分と大きく伸びています。

シニア層のスマホ接触時間

年々増加の一途を辿るシニア層のスマホ接触時間に、マーケティングのチャンスを見出し始めている企業は多いです。これはスマホに限らず後述のネットやSNSに対してもそうですが、ことスマホに関しては、やはり「常に持ち歩いている」という点において着目されています。

操作の簡単なアプリの設計であったり、コミュニティの中で簡単に教え合えるような分かりやすいサービスを打ち出すことができれば、今まで隠れていた客層を一気に掘り起こすことも望めます。

後半のセクションでは、「会員証」を端末にかざし紙のクーポン券を発行するサービスを事例として取り上げていますが、これがスマホをかざして済むのであれば、アクションが一つ少なくなるわけです。お財布を広げて小銭を探すより、スマホをかざして支払いが済んだ方が格段に楽です。

「難しそう」と敬遠されていたことも、プロモーション次第では、即座にメリットに変わる可能性があり、それは「新規顧客開拓」のチャンスが多分に含まれていることを意味しています。

シニアマーケティングのチャンスはネットにも

また、総務省の平成25年情報通信白書によると、平成20年末から平成24年末までの5年間で、65歳以上のインターネット利用率は 25%近く上昇しています。

インターネット利用率

さらに、最新の平成26年情報通信白書によると、平成25(2013)年末における65〜69歳のインターネット利用率は、65歳未満の利用率が横ばいなのに対して、前年から6.2% 増加して 68.9%となっています。50代までと60代以降にやや差異が生じるのは、仕事などの業務上、インターネットの利用やパソコンに接触する時間が多いからと考えられます。現在の40代、50代が定年退職(60代以降)になった場合にシニア層のインターネット利用は「普通の事」になってくると予想されます。

もはやシニア層”も”ネットを利用し始めていると、特筆するようなことも今後はなくなっていくことでしょう。従来のTVコマーシャルのように、ドラマや映画のいいところで唐突に挟まれるのではなく、ネット上では自ら能動的に検索・閲覧している情報の中に、自然な形で訴求・誘導の文言を入れ込むことが可能です。

シニア層をターゲットにしたプロモーションがネット上に溢れることもまた、「普通の事」になりそうです。

シニアマーケティングのチャンスはSNSにも

また、SNS のシニアユーザーも増加しています。ソニー生命保険の調査によると、50代のSNSの利用率は49.0%とほぼ半数、60・70代でも38.0% がSNSを利用していることがわかりました。さらに「今後のSNSの利用意向」についての質問では、現在 SNS を利用している人の 90.3% が「今後も利用したい」と回答しています。

シニア層インターネット利用率

また、「イキイキとシニアライフを送るためには何が必要か」という質問では、1位が「家族との絆」の59.9%、2位が「世代に関係なく趣味や価値観を共有できる人との交流」の42.4%、3位が「自分の知識・経験を役立てられる機会」の37.1%との結果となりました。この結果からは、周囲との人間関係に充実を求めるシニアの姿が見えてきます。

例えば、「孫とLINEで会話をしたい」「仲良しのお友達とLINEのグループで会話をしたり、予定を立てたりしている」「趣味のハイキングで撮った写真をみんなに見てもらいたいからFacebookを公開している」などインターネットのツールを利用して周りの人とのコミュニケーションをとっているなどの利用例が挙げられます。

ネットクーポンを入り口にしたシニアマーケティングの事例

NTT西日本は生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)と共同で、スマホ利用率の低い高齢者層でも使いやすいクーポン端末の実証実験を行いました。(コープこうべの5店で平成26年10月から平成27年5月末まで実施)

店に設置されたクーポン端末に組合員証をかざすと5ポイント分のクーポン券が印刷される“アナログ”な方式だが、わかりやすさもあって、実験開始直後は行列もできるほど注目を集めましたが、1カ月経過した後では行列も解消、利用頻度も低下しており、クーポンサービスの周知による利用率向上が課題となっているといいます。

シニア層もスマホでお得 神戸でクーポン端末実験始まる出典:ソエナ

流通や小売りではスマホ向けに広告やクーポンを配信するケースが一般化してますが、現時点では高齢者層はスマホ利用率が低いこともあって、クーポンの存在や活用方法を知らないケースが多いといいます。実際、コープこうべでも中心客層が60~70歳のシニア層、次に35~40歳の子育て層でスマホ向けに各店舗の広告を見れたり、買い物ができたりするアプリを提供しているが、利用には年代ごとにばらつきがあるといいます。

このような試みも、「入り口は」成功していると言えます。さらにシニア層のスマホ利用率が上がり、生活の一部として浸透すれば、多分にチャンスを含んだ手法です。紙のクーポン券や会員証を持ち歩くより、いつも持っているスマホがその代わりになる方がよっぽど手軽だという事実が、口コミに乗り広がっていく日も近いのではないでしょうか。

シニア層が売上アップの鍵!シニアマーケティングのすすめ まとめ

若者・シニアなどの世代を問わず、パソコンやスマホを利用して情報収集をしたり、コミュニケーションをとるのが当たり前になってくる今後、企業とシニア層のインターネット上でのコミュニケーションも増えていくのではないでしょうか。

ネット通販などのネット上での販売促進だけでなく、実店舗への来店促進についても、

  • シニア層でも使いやすい来店クーポンのデザインや入会方法になっているか?
  • 店頭でネットクーポンを出しやすく、利用しやすい操作方法になっているか?
  • スタッフが操作方法を分かりやすく説明し、利用してもらいやすくなっているか?
  • シニア層をターゲットにしたサービスや特典の導入やネットでの有効な告知の検討
  • など、上記のような幅広い世代の方に「見やすく」「利用しやすい」ネットを活用した集客施策を進めてくことが大切になってきます。