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ミスマッチを回避して離職率を下げる!そのメリットと改善策の紹介

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  • hatena

人材の獲得競争は激しくなっておりアルバイトやパートでも他の会社や仕事に移りやすい環境があります。従業員の意志に任せてしまっては自社からの離職を抑止するのは難しい時代と言えるかもしれません。ここでは、企業が離職率を下げるメリットと離職率を下げるための取り組み事例をご紹介します。

改善すべき「離職率」とは?

改善すべき「離職率」とは?

離職率とは、国内の労働者全体のうち、新たに離職した人の割合の事を言います。離職率は、厚生労働省が定期的に行っている雇用動向調査などをもとに算出される数字で、労働力の移動状況を知る材料の1つとなっています。

また離職率とは反対に、新たに入職した人の割合を示す入職率という指標もあります。

離職率とは、一定期間の採用人数に対し、計測時点で離職した人の割合を指します。定着率は離職率と対立関係にある指数です。下記に例を挙げていますが100%(全体)から離職率を引いた割合が定着率となります。

例:期間:2019年4月~2020年3月

  • この間に採用した人数     10名
  • 採用したうち離職した人数    3名 → 離職率30%
  • 計測時点で勤続している人数   7名 → 定職率70%

厚生労働省が毎年公表している統計結果などを見ると、アルバイトやパート従業員の離職率は正社員より高い傾向が見られます。期限付きの契約が多いことも高離職率の要因の一つでしょう。そして、比較的簡単に職場を移りやすい雇用形態であることも否めません。

ですから、できるだけ長く働いてほしい(離職率を下げたい)場合には、何らかの効果的な施策を講じていく必要があります。まずは、自社の離職率の推移を把握することから始めてみてください。

離職率を改善するメリット

離職率を改善するメリット

離職率が下がることは、組織にさまざまなメリットをもたらします。主なものを見ていきましょう。

採用や初期教育コストの低減

誰かが離職すれば、代わりの人材が必要になります。求人広告での募集や面接などの選考業務が発生します。入社直後には基本的な教育や指導をしなければなりません。一人前にまで育てるまでには経費、時間、労力コストも相当かかるでしょう。辞める人が少なくなる分、これらのコストの発生を抑えられるのです。

一人あたりの生産性の向上

働く期間が長く在籍期間が長くなるほど、人材は業務のクォリティや対応スキルを上げていくでしょう。業務に慣れた人材が多いほど、一人あたりが生み出す価値量も大きくなると考えられます。個々が自己成長を実感する機会も増え、モチベーションが上がり、やりがいにもつながっていくでしょう。

チームワークが醸成されやすい

良い人間関係が保たれていることが条件ですが、長く馴染んだメンバーほどチームワークを取りやすくなります。アルバイトやパートの従業員にとっても働きやすい職場環境となり、日々の業務や勤続のモチベーションにもなり得るでしょう。良いチームワークが醸成されれば組織的な生産性や収益の上昇も期待できます。

離職率を改善し安定した運営やマネジメントを目指す

離職率を改善し安定した運営やマネジメントを目指す
突然の退職があっても、通常すぐに新しい人材を補填して業務を円滑に進めることはできません。
また、残りのメンバーでその穴を埋めようとしても、自分の仕事に加え、辞めた人の代わりに慣れない業務を行うことはかなりの負担となります。

また、長年同じ業務に携わっていると体で覚えてしまうため、業務のマニュアルを作成していないことがよくあります。

突然の退職で残されたメンバーは業務方法がわからない中、過去の資料を見ながら業務をすることになります。それでは効率も悪くミスが起こりやすくなるし、時間もかかってしまいます。

通常、業務を引き継ぐ際、余裕をもって引継ぎを行うため、仕事内容が全く分からないといったことはありえません。異動や担当変更であれば、引継ぎ時間が少なくても分からないときは前の担当者に質問することもできます。
しかし、突然の退職の場合、引継ぎの期間は短いことが多いです。最悪、引継ぎもなく有休消化をして出社してこない人もいます。しかも退職してしまった後は何も聞けません。

急な離職は現場とマネジメントの負担を増し、現場にも混乱を招きがちな要素です。想定外に辞める人が少なくなれば、計画に沿った安定的な運営とマネジメントが可能になります。残ったメンバーの負担増でカバーするといったマイナスの状況も防げるでしょう。

離職率を改善させるための取り組み例

離職率を改善させるための取り組み例
受け入れ直後の離職も少なくありません。企業や店舗にとっては、その採用がまったくの「無」となり採用活動は振り出しに戻ってしまいます。アルバイトやパート開始初期のタイミングでの離職理由は以下のようなものが多いようです。

  • 思っていた労働条件/仕事内容と違った
  • 職場の雰囲気に馴染めない
  • シフト変更を申請しづらい

これらの点を踏まえ、離職率低減につながりやすい取り組み事例を見ていきましょう。

ミスマッチを回避する

ミスマッチを回避するには、採用・入社の前に労働条件や仕事内容を徹底的に確認し合っておくことが大事です。求人広告は誤解や誤認が起こりやすいため、できるだけ詳細が正確に伝わることを意識して作成しましょう。

また、面接などでもお互いの認識が一致しているかどうかを確認します。職場見学や体験なども有効な手段です。入社後に感じる「ギャップ」ができるだけ少なくなるようメリット/デメリットの両面を伝えるようにしましょう。

採用スキルを向上させる

採用担当が複数いる場合は、そのメンバーの採用スキルを向上させることも離職率低下に役立ちます。求人広告の作成ポイント、書類選考や面接の仕方、人材の見極め方、採用前に伝えておくべきことなどを十分に理解した人材が採用にあたれば確度の高い人材を確保できるでしょう。

受け入れ体制を整える

入社時には既存社員に名前や新人が携わる仕事内容を周知しておきましょう。現場が新人を受け入れる心構えと歓迎の雰囲気を作っておくことが大事です。初期の教育は端折らず丁寧に説明するのがポイントです。

既存の知らない・慣れない人たちの中で働くことに対して、新人は大なり小なりストレスを感じるもの。できるだけ早く馴染めるようコミュニケーションのきっかけを提供することも心掛けるといいでしょう。

細やかなフォローを徹底

ほんの一言でもいいのでこまめに声をかけ、いつでも疑問解決や相談を受け入れる姿勢を示しましょう。はじめのうちはできないことや分からないことのほうが多いため、できていることを意識的に伝えることもモチベーション喚起になります。

簡単な仕事から徐々に任せていくのが適切ですが、単純な仕事でもその目的と前後の流れを伝えるようにするとやる気とともに業務理解も深まるでしょう。自分が質問や相談に対応できないときのために相談先(人)や解決方法を事前手配して伝えておくと安心です。

シフト体制を工夫する

シフトの問題は離職理由としてもよく挙がる項目です。契約の際の条件にがんじがらめにしては従業員のライフスタイルの変化に沿わないことが多くなってしまいます。一時的な変更やイレギュラーな休暇申請が可能なシフト設定のしくみを作っておくのがポイントです。

<既存のシフト設定フローが十分な柔軟性を確保できるよう、従業員の要望や意見を聞きながら随時ブラッシュアップしていくことをおすすめします。

ミスマッチを回避して離職率を下げる!そのメリットと改善策の紹介まとめ

今回はミスマッチを回避して離職率を下げる!そのメリットと改善策の紹介を解説しました。離職率の平均は企業の業種や業態によって異なりますが、離職率が下がると組織にさまざまなメリットがあります。

例えば、採用や初期教育コストの低減、一人あたりの生産性の向上、チームワークが醸成されやすいなどのメリットがあります。また、離職率が高いと現場とマネジメントの負担が増加し、現場にも混乱を招きます。想定外に辞める人が減少すれば、計画に沿った安定的な運営とマネジメントが可能になります。残ったメンバーの負担増でカバーするといったマイナスの状況も防げるでしょう。

まずは自社の離職率の数値とその推移を把握することがファーストステップです。自社の業務や組織の特徴を俯瞰し、離職率低減に向けた的確な改善策を取っていきましょう。