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ユナイテッドアローズにみるO2Oの事例と成功の秘訣

OMO
  • hatena

ネットと実店舗を上手く連携させ、相乗効果で集客と購入行動に繋げるO2Oマーケティングの重要性が高まっています。
O2Oを上手く取り入れ、ネットショップと実店舗の相乗効果で集客・売上を向上させた例として「ユナイテッドアローズ」の事例を紹介しましょう。

ユナイテッドアローズのO2O事例

UNITED ARROWS出典:ZOZOTOWN UNITED ARROWS

アパレル業界の中で好調を維持し続けている「UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)」は、独自の視点で衣類や小物を選び販売しているセレクトショップです。コンセプトが異なる18ブランド232店舗を展開しており、アパレル業界では重鎮ともいえる存在になっています。

しかしながら、景気後退による影響はアパレル業界にも及んでおり、経営不振が続くブランドが多い中、ユナイテッドアローズは好調を維持しています。この成功の要因としては、O2Oをビジネスに積極的に取り入れていることが挙げられます。

O2Oとは、「Online to Offline」の略で、Webサイトやアプリなどのオンライン(Online)の場から、店舗などのオフライン(Offline)の場に消費者を誘導する施策を意味します。

EC 売上高EC 実績出典:EC化率10%超!ユナイテッドアローズのネットと店舗を連動させたO2O戦略の秘訣

ユナイテッドアローズは、2012年には売上1,150億円を達成し、そのうちECの割合は11.2%となり欠かせない取り組みになっています。ECの売上構成比は、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」経由が6割強、その他の外部サイトが2割弱、自社直営オンラインストア「UNITED ARROWS LTD. ONLINE STORE」が約2割です。

割合は外部サイトが大きいものの、昨年から今年にかけては特に直営オンラインストアが好調で、14.5億円から20億円へと伸長しています。ユナイテッドアローズではECが伸びているといっても、まだ、売上の9割を店頭が占めているので、あくまで主軸は店頭であり、直営オンラインストアは、店舗への顧客誘導と再来店促進機能を担う位置付けと考えています。

また、「直営オンラインストアのお客様は店頭と同一」と考え、新商品の情報発信や店舗外での24時間決済サービスを提供する場としてネットとリアル双方の強みを活かしたO2O施策に取り組んでいます。

店舗のリピート促進・顧客管理に特化したアプリ開発プラットフォーム イメージ画像

【O2O事例その1】在庫数をiPhoneで店頭チェックするサービス

EC 売上高出典:ITプロ 始まった業務アプリの開発

ユナイテッドアローズのO2Oの強みの一つに、一部の店舗で商品の在庫を調べる業務にiPhoneを使い在庫管理システムを売り場のどこからでもアクセスできる点があります。

たとえば、「この商品のSサイズはありますか?」とお客様から店頭で聞かれた場合、その商品のタグに記載されている商品コードをiPhoneに入力すると画面上に、その商品の現時点での在庫数が表示される仕組みになっています。

つまり、従来の「申し訳ございません。在庫がないようです。色違いでしたらございますが、お持ちいたしましょうか?」などの「無いからあきらめる」という選択肢ではなく、次の接客チャンスに活かすことができるのです。

【O2O事例その2】買わなかった顧客も取りこぼさない「品番メモを配るサービス」

品番メモ出典:united-arrows たばたつうしん

ユナイテッドアローズの店頭販売では、試着はしたものの購入に至らなかった来店者に、試着品の品番メモを渡すというサービスがあります。お客様は、品番メモからECサイトで商品を検索し、他ブランドの商品も含めて帰宅後にじっくり比較検討することができます。

【O2O事例その3】ネットで取り寄せ注文し、実店舗で試着できるサービス

ネットで取り置き お店で試着
出典:UNITED ARROWS LTD.

ネットショッピングサイト「UAオンラインストア」で商品を見て、実店舗で現物を受け取りたい、 試着したいというお客様には、ご指定の実店舗にその商品をお届けするサービスもあります。

お客様は、実際に手に取ってみての商品の確認や、販売員によるコーディネート提案のサービスを受けることが可能です。販売員が品番を渡すサービスがリアル店舗で購入を迷った顧客をECサイトへ誘導する取り組みなのに対し、こちらはECサイトで購入を迷う顧客をリアル店舗へ誘導する取り組みです。

<まとめ> ユナイテッドアローズの事例からみるO2Oの成功の秘訣

店舗の販促に関しても実店舗とECのメリットを明確にし、それぞれの欠点を片方が補うことを意識した施策に取り組んできたことがユナイテッドアローズのビジネスを変化させ、O2Oマーケティングを成功に導いた秘訣と言えます。

また、実店舗とECを上手に組み合わせ、どちらでも同質のサービスを提供することで、顧客はオンライン上でもオフライン上でも同じ「ユナイテッドアローズ」というブランドで買うイメージを持つことができます。これが、お客様へ「実店舗・ECどちらでも安心して買い物が出来る」という安心や信頼感を得る事にもつながったと言えるでしょう。

これからの小売業では実店舗とEC(オフラインとオンライン)の両分野が競合するのではなく、相互の補完関係を築いていくことが重要です。

一度、自社商品でどのような施策を立てれば、実店舗とECの相乗効果が得られるかを考えてみては如何でしょうか?O2O施策の推進は、ユナイテッドアローズのビジネス成功事例のように、相乗効果での集客や売上アップに繋がる可能性を秘めていることに間違いありません。

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