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Google 新サービス「来店コンバージョン」測定機能とは?

マーケティング
  • hatena

販売促進の手法でも、実店舗への来店促進やキャンペーンなどのプロモーションにネット広告を利用する事も一般的になりました。そのような中で、「ネット広告をみた人が実店舗へどのくらい来店をしているのか?」という来店誘導数を正しく把握することは小売業界の課題の 1 つといえます。

アドワーズの「来店コンバージョン測定機能」とは?

アドワーズとは?

Google 新サービス「来店コンバージョン」測定機能をセブン&アイ・ホールディングスが導入し、オンライン広告からの来店数の可視化に成功出典:google-adwords-lab

「アドワーズ」とはGoogleを利用して検索をした際に、検索結果のページに上記の図のように表示される広告の事です。検索したキーワードに応じた広告やバナーを表示するように設定が出来るため、広告メニューの中でも費用対効果が高い事から広く利用されているネット広告のメニューです。

また、表示された広告から直接ネット経由で「サンプル請求をした場合」「資料請求をした場合」「商品を購入した場合」などの目標を達成した場合に費用が発生をするコンバージョン課金などの設定もあるため、ネット通販などのPCやスマホ上で直接取引が成立する企業では積極的にアドワーズを使った広告戦略に取り組んでいる企業も多いです。

しかし、実店舗を経営している企業の場合、「アドワーズを見て来店や売り上げアップにつながったのか?」という明確な数値を確認しにくいため、ネット通販を行う企業よりも「アドワーズ」などのネット広告に多額の予算を割いて積極的な来店促進を行っている企業は少ないという印象があります。

来店コンバージョン測定機能”とは?

その実店舗のプロモーションに有効と期待されているのがアドワーズに新たに追加された、「来店コンバージョン測定機能」です。

「来店コンバージョン測定機能」とは、アドワーズ上の広告を見たユーザーが、広告を見た後、実際に広告主の店舗にどれくらい訪れたのかを測り、データとして記録する機能のことです。

どの様にしてユーザーが来店したかどうかを判断するのかが来店コンバージョン機能の大事なところ

Google マイナー機能出典:週刊アスキー いくつ知ってる?グーグルのマイナーな機能

ネット広告からの来店促進が数値で分かるのであれば広告戦略や予算の組み方が変わってくるため、「Googleアドワーズの来店コンバージョン測定機能をぜひ使ってみたい!」と考えるかたも多いと思います。

そうすれば、アドワーズなどと言ったネット広告にお金をつぎ込むべきなのか、はたまたそうではないのかという事が分かりますよね。ではどうやってユーザーが来店したかをGoogleが判断しているのでしょうか?

「来店コンバージョン測定機能」は、スマートフォンやタブレットのロケーション履歴により来店の有無を判断をしており、Googleマップを使って広告主の店舗を訪れた場合、実際に来店したとカウントされる仕組みです。この「ロケーション履歴」というのは、日付ごとに「いつ」「どこへ」行ったのかを確認できるサービスです。

Googleのアプリなどで位置情報のロケーション履歴の設定をオンにしておくと、「その時間に居た場所」「移動したおおまかな距離」「そのときの大まかな自宅からの距離」などGoogleマップ上に履歴として表示する事が出来き、いつどこにいたかの履歴を地図上で確認できます。
Googleのお天気情報の現在の位置情報に利用されたり、また自身が観光など知らない場所に行ったときに後から調べる際など便利な機能です。

来店コンバージョン機能の使い方

事前にGoogleマイビジネスを登録しておいてから、Google広告とマイビジネスを連携させる 必要があります。加えて、広告にお店の所在地やマップを表示できる、住所表示オプションをGoogle広告で設定しておきます。

住所表示オプションはアカウント単位、キャンペーン単位、広告グループ単位で設定出来るので、それらのいずれかを選択してから、広告表示オプションを選択します。そして既に持っているGoogleマイビジネスアカウントを選択しておきます。以上でGoogle広告とマイビジネスを連携することが出来ます。

一応程度の注意事項なのですが、来店コンバージョンは、来店コンバージョン機能が利用できる国に複数のお店を持っていることが条件なので、仮に1店舗しかないよという方は使えないのでご注意ください。また広告を出すのにある程度クリックされている必要があります。そうして初めて、来店コンバージョン計測を行うことが出来ます。

続いて、来店コンバージョンの確認方法です。キャンペーン、広告グループ、キーワードのいずれかの状態で「分割」ボタンをクリックしてください。コンバージョンにカーソルを合わせ、コンバージョンの発生元をクリックすると確認する事が出来ます。少し複雑ですが、来店コンバージョンは魅力的なシステムなので是非活用してみてください。

セブン&アイ・ホールディングスでの来店コンバージョン測定機能導入事例

セブン&アイ・ホールディングス出典:Google Google 新サービス「来店コンバージョン」測定機能をセブン&アイ・ホールディングスが導入し、オンライン広告からの来店数の可視化に成功

この”来店コンバージョン測定機能”は、対象がスマートフォンユーザーになりますので、基本的にはスマートフォンユーザー向けに広告を出稿することとなります。最初からスマートフォンに絞って戦略を立てています。

セブン&アイ・ホールディングスでは導入に際して、Google マイビジネス(店舗地図情報)への登録や Wi-Fi 環境調査など、正確な数値計測のための確認作業を複数店舗と協力しながら行いました。店舗への動員につながる取り組みとして、各店舗からは前向きな協力を得られたそうです。調査しやすい環境というのは良いですね。

そして、イトーヨーカドーで”来店コンバージョン測定機能”を導入したところ、来店率、来店単価ともにスマートフォンが PC より効果が高いことがわかりました。来店コンバージョン測定機能を導入することがいかに重要かが分かる事例です。

スマートフォンで検索した人のうち来店した人の割合は 10.4%、PC からの来店は 7.2%になりました(図 1 参照)。従ってモバイル広告による 1 人あたりの来店単価は PC より約 40% 低く、費用対効果も高いという結果がでました。このような結果から、アドワーズにおいてはモバイル広告にお金をつぎ込んだ方が良いという事が分かります。

p2404-4p2404-5出典:Google Google 新サービス「来店コンバージョン」測定機能をセブン&アイ・ホールディングスが導入し、オンライン広告からの来店数の可視化に成功

Google 新サービス「来店コンバージョン」測定機能とは?のまとめ

セブン&アイ・ホールディングスは、これまではどんな成功事例でも、オンライン広告からの来店数を正確に計測できないことが悩みでした。

今回「来店コンバージョン」の導入をしてみた結果、オンライン広告からの来店数を実数値として知る事が出来ただけでなく、モバイル広告が予想以上に来店に貢献していることを実証できたのは大きな発見となりました。

また、この結果を受け同社では今後のテレビ、チラシ、オンライン広告への投資バランスを見直し、従来のパターンからより費用対効果の高いプロモーション戦略を立てていこうという認識を持っているといいます。

ただ、実店舗での展開をしている企業にとって有益に見える”アドワーズ”の”来店コンバージョン測定機能”ですが、現状では一定の要件を満たしている企業のみ利用可能という事で、まだまだ誰でも利用可能という状況ではありません。

しかし、現段階でもセブン&アイ・ホールディングスの事例からも分かるように、従来PC向けにネット広告を出している企業などは、スマートフォンの向け広告の費用の比重を高くしてみたり、インターネット広告を積極的に利用したことがない場合は、スマートフォン広告を利用してみると、来店数が大きく改善するかもしれません。