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O2O市場の2016年以降の動向は?注目事例から学ぼう!

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  • hatena

SNS(ソーシャルネットワークサービス)上で位置情報を共有する行動が増え始めたことにより、社会・産業分野においても位置情報サービスの価値が高まっています。2011年度の時点で、24兆円の規模と推計されるO2O消費の市場が2017年度には50兆円規模まで成長すると予測されています。

O2O市場規模予測出典:MARSDESIGN 2017年度には50兆円規模まで成長するO2O市場:アパレル × O2O を考える参考:O2O市場とO2Oソリューション(NRI Knowledge Insight)

O2O市場に欠かせない注目のロケーション・インテリジェンス

2016年以降は位置情報を活用したO2Oサービスの実現と他の様々なサービスの普及を通じて、多くの生活者の位置データが蓄積されていくことにより、生活者の位置データを他のデータと組み合わせて分析・活用する「ロケーション・インテリジェンス」が新たな価値を生み出す予測がされています。

ロケーション・インテリジェンスとは

顧客情報や施設情報や取引記録など、企業が所有する位置に関する情報を測定・比較・分析し、その結果を地図へ表現して傾向を明らかにした上で、意思決定に活用し、位置情報を企業活動に生かしていくことです。

具体的には、サービス会員の居場所やニーズに合わせて、最寄りの実店舗やサービスの情報を手に入れることができたり、初めての旅行先でも、スマートフォンを通じて自分の好みに合ったサービスや価値を利用できるようになっていくことが予測されます。

例えば、自社店舗に近い特定のエリアに一定時間滞在しているサービス会員に対して、スマートフォンを通じて“その場限定”のクーポンを送ったり、実際に店舗に来店したことをGPSや無線LANを用いて検知し、ポイントを提供したりするなどすでに、ユーザーの位置情報をもとに周辺の店舗や施設へ集客したり、特定の商業施設や店舗でのユーザーの行動状況に基づいたマーケティング活動など、位置情報を利用したO2O販促につながる機能も多くのところで取り入れられています。

O2O市場の注目事例その1:旅行先での動向を自動記録「トラベル タイムライン」

トラベルタイムライン出典:PRTIMES トリップアドバイザー、モバイルアプリの新機能「トラベル タイムライン」の提供を開始

世界最大の旅行口コミサイト「TripAdvisor®」(トリップアドバイザー)のモバイルアプリの新機能「トラベル タイムライン」はユーザーが旅を自動記録できます。旅の行程がスマホで記録されるのはとてもありがたい事です。つまり、スマホを見返せばどこで何をしていたのかを振り返る事が出来ます。

機能をオンにすると、モバイル端末のGPS機能とモーションセンサーを利用して、ユーザーが特定の場所を訪問したのかあるいはただ通過したのかを検知し、時系列に記録していきます。

自動的に自分が訪れたレストランや観光地、ホテルが記録されていくので、旅を後から振り返ることができるのはもちろん、また訪問した場所の評価や口コミも簡単に投稿できます。

例えば、このお店の料理がおいしかったよとかここのホテルが過ごしやすかったよとかを後からでも評価しやすくなるという事です。そして評価が貯まっていけばお店側も、評価が高まってくるのでこの機能は集客にとって役に立つという事になります。

「トラベルタイムライン」は、行った場所の記録がされるだけなので、直接的にはO2Oサービスとは言えないかもしれません。しかし、既に行った事がある人がこの機能を利用して後から高い評価をつけ、それを見た新たなお客様が新たにやってくるという事はあるかもしれません。

O2O市場の注目事例その2:iBeaconで球場のビールの売り子を呼べる「スマホで呼ぶ」

スマホで呼ぶ

「スマホで呼ぶ」というアプリは、球場のビールの売り子をスマホで呼ぶサービスです。ビールや軽い食事を食べたくなった時に、自分の近くに売り子さんがいないと不便ですよね。自分から売り子さんを探すのも、かなり広い野球場から探すのはとても面倒くさいです。
それなら球場内のファストフードショップに行けば良いだけの話ですが、観戦中に席を外したくありませんよね。そんな時、スマホで呼びさえすれば来てくれるなんてサービスがあったら便利ですよね。

これは、Beaconを活用して「野球場NAVI」アプリと連携したもので、京セラドーム大阪球場に導入となりました。「野球場NAVI」では、球場内のレストラン、ファストフードショップ、売店、あるいは化粧室や授乳室などをスマホで案内・誘導することが可能となっています。アプリの画面上で座席情報を入力して売り子を選ぶと選ばれた売り子がプッシュ通知を受け、入力された番号の座席を訪ねてくる仕組みになっています。

野球場に来ていて、野球場で提供されているサービスを利用するだけなので、既に球場に足を運んでいるという点ではある意味今までにない発展的なO2Oなのかもしれません。しかしオンライン(スマホ)からオフライン(売り子さん)へ誘導しているという点においてはO2Oの原理を踏んでいると言えるでしょう。

O2O市場の注目事例その3:店内情報や道順を案内するアプリ「ISETANナビ」

ISETANナビ出典:advertimes 店内情報や道順を案内するアプリ、ISETANナビ——販促NOW<MOBILE APPLICATION>(28)

東京・新宿にある老舗百貨店「伊勢丹新宿本店」は、「ISETANナビ」というアプリは位置情報をピンポイントで伝える技術として注目を浴びているBeacon発信器を利用して館内の目的地を案内したり、催しものなどの情報を配信しています。

催しものはシーズン毎に変化していくので、伊勢丹の常連さんにとっても今どのような催しものが開かれているのか確かめる事が出来て便利です。アプリで店内の情報を伝えたり、どう歩けば、効率的に買い物ができるかなどのナビゲーションまで提案をしてくれるようになれば、伊勢丹に初めて行く旅行者などにより喜ばれる事と思います。

また、初めてではないけれど伊勢丹に行くのに慣れていないお客様にとってもどこに何の商品があるかをこのアプリをダウンロードすれば把握できるので、いちいち店員さんに場所を聞いたり広い店内をうろうろしたりしなくても済むという訳です。

また今後は、海外からの買い物目当ての渡航者に向けて英語や中国語などの外国語に対応して、情報発信・館内ナビゲーションするなどの展開が期待されそうです。外国語にも対応していけば、海外からやってきたお客様も足を運びやすくなり、より売り上げアップが期待できそうですね。

これに関しても既に伊勢丹まで足を運んでいますが、スマホ(オンライン)から売り場(オフライン)へと誘導している事から、スケールの小さなO2Oなのかもしれません。

O2O市場の2016年以降の動向は?注目事例から学ぼう!のまとめ

ユーザーの位置情報や行動情報をより正確に捉えることができるようになると、ユーザーそれぞれの消費傾向や行動範囲などに合わせた行動予想をもとに販促情報を発信できるため、消費者ニーズを捉えた効果的なO2O販促の実施が可能になることでしょう。

売り子さんの場合でも、いつ来るか分からないよりもスマホで呼べば必ず来てくれる方がその分売り上げが上がります。また伊勢丹の場合でも、売り場が分からないとお客様が商品を購入出来なくなってしまうので、売り場が分かるようにする事でより便利になります。

Beacon発信器の設置やWi-Fi環境などの設備の充実などの課題もありますが、店舗販促を検討する企業や事業者にとって、O2O関連市場の今後の伸びや展開は、無駄のない販促を可能にするためには有効かも知れません。