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位置情報を活用したO2O(オーツーオー)で実店舗へ誘導

OMO
  • hatena

スマートフォンとSNSの急速な普及が、実店舗での商品やサービスの販売方法や消費方法を変えています。その中の一つとして、O2O(オーツーオー/Online to Offlineの略)と位置情報を利用した施策についてご紹介していきます。

位置情報を活用したO2O-O2Oとは?

O2Oとは、オンラインとオフラインを連携させて購買活動を促進させるためのマーケティング施策です。Webサイトから実店舗へ誘導し、商品の購買に結び付けるO2Oは、スマートフォンの急速な普及やSNSの拡大から、もはや当たり前のものとなってきました。比較的低コストで即効性のある施策を実施することができるのも、大きなポイントの一つです。

O2Oにおけるオンラインの施策では、Webログ解析によって消費者の行動を把握し、好みを推定した上で、その消費者にお薦めの商品やサービスを提示(レコメンデーション、レコメンド)したり、来店を促すクーポンを配信したりします。しかしその後、オンラインから離脱した消費者のオフラインでの動きは、実店舗に来店してクーポンを提示するまで、企業からは見にくく、消費者が実店舗の近くを通ったり、購入に至らなくとも実店舗に何度か立ち寄ったりというオフラインでの行動は、把握できませんでした。

そこで、今回は今注目をされているスマホの「位置情報」機能を利用して特定の場所(店舗・イベント会場など)を訪れたユーザーにクーポン券を配信したり、新しい顧客体験を提供するO2O施策をご紹介したいと思います。

O2O出典:コベルコシステム株式会社 スマートフォン+SNSで加速するO2O(オーツーオー)

位置情報を活用したO2O-スマホの「位置情報」とは?

そもそもスマホの「位置情報は」どのような仕組みで割り出されるのでしょうか。ここでは位置情報の仕組みや、その特徴について簡単に解説します。

GPS

カーナビなどに利用されているGPSは、人工衛星の位置、距離から現在地を算出するシステムです。GPSは屋内に弱い、位置を取得するまでに時間がかかるなどの弱点もあるため、スマホではGPSと合わせて下記のいくつかの方法で自分の居場所を確かめています。

キャリアの基地局

スマホは通信をするため、自分の近くにあるキャリアの基地局に接続しています。
その基地局は自身の位置情報を持っており、スマホはその基地局付近にいるという位置情報を取得することが出来ます。

Wi-Fi

WiFi出典:wikipedia

基地局から位置情報を取得することと似ているのですが、スマホがWi-Fiで通信している場合、そのアクセスポイントの位置からスマホの位置情報を算出する方法です。アクセスポイントの位置情報データベースはAppleやGoogleなどが構築しています。

ビーコン

STOREBEACON

ビーコンと呼ばれるごく狭い範囲しか電波が届かない端末とスマホが通信をすることによって、ビーコンの位置からスマホの位置情報を割り出す方法です。

地球規模の「GPS」、都市レベルでの位置が把握出来る「Wi-Fi」に対して、「ビーコン」は商業施設など建物の中や地下街でも位置情報が取れることに特徴があります。

位置情報を活用したO2O-ショールーミング問題の解決策になる!?

野村総合研究所(NRI)が実施した「生活者1万人アンケート調査2012」によると、インターネットで商品を購入する場合でも、約7割の人は実物を店舗で確認してから買うと回答しています。

インターネットで購入する場合に実物を店舗で確認するかネットだけで買うか出典:STOREBEACON iBeaconとは?

この結果は、「店舗で実物を見て、ネットで価格比較をしてネット上で買う」という今多くの店舗が抱えている「ショールーミング」という問題を象徴しています。

消費者の立場からで考えると、実際の商品を事前に自分の目で見てチェックできるという点で、ショールーミングにおいて実店舗は買い物の流れの一部として重要な役割を果たしています。

ショールーミングへの対応策としても、「実店舗の近くにいるお客様へ来店促進のメッセージを配信すること」「店内で楽しくお得にお買い物をしてもらえるための仕掛けを作る事」「お買い物プラスαの楽しい仕掛けを作る事」を行う事は大切になってきます。

その手法の一つとして、スマホの位置情報を利用したシステムを使った販促の導入が注目されています。

STOREBEACON出典:STOREBEACON iBeaconとは?

実際、「送料がかからない」「その場で商品を手に入れることができる(商品が届くまで待たなくてよい)」「お店と直接値段の交渉ができる」など、実店舗にしかないメリットは多くあるため、その需要が完全に無くなることはないはずです。

位置情報を活用したO2O施策

特定の場所(店舗・イベント会場など)を訪れたユーザーにクーポン券を配信したり、新しい顧客体験を提供するO2O施策をご紹介します。

GU/シェイククーポン

GU ShakeShakeクーポン出典:paymentnavi スマートフォンのアプリと位置情報を活用した斬新なサービスを展開(ジーユー)

GUの店舗内でアプリを起動して振る(シェイクする)と割引クーポンがもらえるというO2Oアプリです。期間中、銀座店、池袋東口店、心斎橋店のキャンペーン店舗で、GUアプリを5回シェイクすると、5人に1人、1,000円OFFクーポンが当たるもですが、クーポン利用率は95%を超えました。

高い利用率の要因は、位置情報機能を活用し、3店舗のエリア内に入った顧客が来店してスマートフォンをシェイクするだけでクーポンが当たる分かりやすさ、楽しさがあったからだといいます。

GU/位置情報を活用したプッシュ配信

GUでは、位置情報を活用したプッシュ配信にも力を入れています。店舗付近にいる顧客に対してセール情報、新店のオープン告知を県単位や10キロ圏内で実施しました。これは非常に有効で、顧客の来店への貢献度は高くなっています。また、店舗でイベントを行う際、距離圏内のユーザーに参加を促しています。

銀のイスに座れ!出典:paymentnavi スマートフォンのアプリと位置情報を活用した斬新なサービスを展開(ジーユー)

GUの場合、月やシーズンに1度、定期的に来店してもらうことが重要であり、ちょっとした楽しみを加えることで、お客様の参加性を促し、当たった時の喜びを高めています。

クーポンチャレンジが出来るのは1日一度ですが、外れた場合でも毎日楽しめます。お客様にお買い物以外にも楽しみを持って来店をしてもらえるような仕掛けとなっています。

位置情報を活用したO2O-まとめ

スマホの位置情報を利用したシステムを使った販促を導入すると、「実店舗の近くのエリアにいる時」「店内でお買い物をしている時」「旅行など知らない土地で”どのお店にしよう?”と探している時」などに、クーポンやオススメ情報などが届くとお買い物が楽しくなったり、来店促進や、他のお店との差別化がはかれるようになってくると思います。

また現在でも、顧客情報や購入履歴などからお客様の属性やニーズを把握しメッセージやクーポンを配信することは出来ましたが、そこに位置情報が加わる事で消費者にタイムリーな「ニーズにあった情報」「時間帯」「場所」にメッセージを配信する事が可能になってきます。

スマホから取得できる「位置情報」はスマホなどの端末や、Wi-Fi、ビーコンなどの店内でのネット環境などが普及するに伴い、O2Oにとっても重要な役割を担うと考えられます。