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価値共創

価値共創とは、S-Dロジック(サービス・ドミナント・ロジック)とも言われ、「価値交換(G-Dロジック)」に代わって考案された概念である。 以前より行われてきた価値交換では、企業がコスト、利益率などを計算して商品価格を決定してきた。「設計・生産・販売する企業」と「消費する消費者」という構図で、流れは一方通行である。 一方の価値共創は、「価値の共創」と「共同生産」に分けられ、 ・価値の共創 … 製品やサービスの使用感を企業と消費者が価値共創を行うこと。 ・共同生産 … 製品開発・デザイン設計の過程に消費者も参画すること。 である。 以前のマス時代のように、企業側が作り手の都合で設計・開発し、企業の都合でコスト計算を行って思うような利益を乗せて価格を設定し、広告を流せば多くの消費者の目にとまり、多くの利益が上がった時代は終わり、市場は多くの物であふれている。 どの商品を買うかの選択権は消費者にある以上、消費者の価値観を製品の作り手である企業も共有しなければ、消費者は商品を買ってはくれない。消費者の価値観を共有し、さらにもう一歩踏み込んで、より消費者に近いレベルで「一緒に価値を作っていこう」という概念が価値共創である。 「価値の共創」では、消費者に実際に商品、サービスを使ってもらって、利用者目線での建設的な意見をフィードバックしてもらい、商品、サービスを改善する。商品開発時には見えなかった貴重なデータが得られるはずである。 「共同生産」は、商品、サービスの開発・設計の過程で消費者にも参画してもらい、使用者目線での意見をもらいながら進める。いわば、消費者と一緒に開発・生産を行うわけである。設計・生産の立場ではない、実際に使う者の意見が上がってくるため、多角的な見方で設計・開発・生産ができる。 このように、企業は作って売る側、消費者は買う側といった従来の垣根を越えて、消費者の意見を取り入れ、より多くの消費者に選ばれる商品を作ることが望まれる。