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コア・コンピタンス

コンピタンス(Competence)とは、企業競争力を生み出す様々な技術・サービスや事業。それらの中でも、他社にはない「自社ならではの価値」を顧客に提供するためのコア(中核)部分が、コア・コンピタンス(Core Competence)。そこに企業資源(人・モノ・カネ・IT)を集中的に投下することで、他社との差別化を際立たせ、さらなる競争力の強化を実現することが可能になる。
コア・コンピタンスを語るとき、トヨタ自動車の生産管理方式(かんばん方式)やソニーの小型化技術といった製造業の中核技術を指すことが多いが、店舗経営やブランド運営でも、重要な意味を持つ。
例えば、ある大手衣料販売店では、1人の顧客に対して1人の店員(コンシェルジェ)が商品説明から支払い・配送指示までを受け持つ。来店した顧客と対話することで、「何を望んでいるのか」を探り当て、それに合わせた複数の商品を選んで詳細を説明。店舗内を縦横無尽に案内することで購入の意思決定を促す。その後、顧客に魅力的なスマホ・アプリを登録させ、割引を含んだ支払い処理や配送指示をITサービスにより自動化している。
 スムーズで快適なサービスを受けた顧客は、気持ちよく手ぶらで店を後にできるというわけだ。その企業ブランド価値は急上昇するだけでなく、コンシェルジェ個人の名前もブランド化され、次回以降の来店を促す効果は大きい。ITサービスをフル活用したコンシェルジェ制度は、まさにコア・コンビタンスと呼ぶにふさわしいと言える。