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ファッション分野でのO2O取り組み〜ネットコーディネートサービス〜

OMO
  • hatena

「どんな洋服が似合うか分からない…」「忙しくてショップに行く時間もない…」かといって「通販で洋服を買うのは写真だけで分かりにくいし、サイズも合うか不安…」など、ゆっくりお買い物をする時間を取るのも難しいという方や、洋服選びにアドバイスが欲しいという方にうれしいサービスが登場しました。

ファッション・アパレル店舗向けのO2Oサービス

それが、ITベンチャーのスタイラーが運営しているファッション・アパレル店舗向けのO2O(オフライン・トゥ・オンライン)サービス「STYLER(スタイラー)」。

STYLER出典:http://shopping-tribe.com/news/19461/

スタイラーでは、ユーザがファッションに対する質問や要望をアプリから投稿。その投稿に答える形で登録しているアパレルショップの店員が無料で洋服を提案してくれます。例えば「秋口から着られるカーキのブルゾンが欲しい」、「気になる女の子と水族館デートに行くことになったので、さりげなくオシャレに見えるカジュアルコーデを提案してもらいたい」
などの細かい要望に対しても、店舗側が応えてくれるというものです。

提案が気に入れば、ユーザはメッセージを送り、店舗に出向いて洋服を試着、気に入れば購入したり、通販サイトで購入ができるという仕組みです。ファッションに精通したスタッフからの直接のアドバイスを、従来のように店舗をハシゴして聞いて回らなくても、同じことが手元のスマホの中で叶うという画期的なサービスです。ターゲットは、どんな商品が欲しいか、どうコーディネートしたら良いか明確なイメージが決まらない消費者や、忙しくて買い物の時間が取れない方。まずは男性向けのサービスとしてスタートしています。

O2Oサービスでファッション・アパレルのネット通販の弱点を克服

矢野経済研究所による調査によると、2013年のファッション・インテリア・雑貨EC市場規模は、前年度比125.8%増の1兆512億円、2014年の市場規模は同120%増の1兆2614億円と、やや増加という予測になっています。

伸び悩むアパレルのネット通販出典:http://ascii.jp/elem/000/000/961/961540/

ファッションECサイトには、複数の店舗のラインナップや、実店舗には常備していないラインナップまでを一覧できるという利点もあります。モデルの着用している服のサイズや、モデルの身長の表記、生地の透け感を数値で表すなど、さまざまな工夫もされてきました。

しかし同じS・M・Lでもブランドによってサイズ感が違ったり、やはり肌に触れるものは実際に手で触って確かめたい、コーディネート含めて直接アドバイスが欲しいといった要望には、なかなか応えることができませんでした。スタイラーのサービスはこうしたネット通販の弱点を克服し、またネット通販の利点も活かした上で、リアルな店舗との相乗効果を狙おうというものです。

ファッション・アパレル店舗スタッフのアイドリングタイムもO2Oサービスで有効に活用

このネット上でのコーディネート・接客というサービスは、ユーザーだけでなく導入しているショップ側にもメリットがあります。新しい顧客と出会える機会が増えるという利点ももちろんありますが、それだけではありません。

アパレルショップでは、平日の昼間や雨天の日など接客していない時間帯、アイドリングタイムが意外と多いのです。この時間は「スタイラー」を使って想定顧客とやりとりしてもらうのに、ちょうど都合がいいのです。店員さんも普段から LINE などを使っている若い世代の方が多いので、導入時や運営上の操作・対応もスムーズということです。

空いている時間帯を「スタイラー」を通じて、想定顧客とのコミュニケーションの時間に費やしてもらうことで、店員のモチベーション向上、ショップにとっては売上の向上を図ることができます。ユーザー側にとっても、スケジュールや天候に左右されることなく、店員への相談を通じて購入アイテムやコーディネートを考える、ショッピングの一部とも言える段階を、スマホ一つで早々に踏み出せるということになります。

店舗側・顧客側の双方にメリットのあるサービスであり、そこにリアルタイムで交わされる会話があるという点が、まさに”O2Oサービス”と言えます。

「ファッションだけは…」消費者も待ち望んでいたO2Oサービス

今や、家具から電化製品、生活用品から食料品に至るまで、ほとんどの買い物を通販サイトで済ませているという方も少なくありません。しかし、ことファッションに関しては、店舗に出向いて実物を見て、触り、試着してから購入したいという方もまた多いです。

洋服や靴、帽子やアイウェアなどのアイテムを、通販サイトで購入し、「あのモデルが着用してるのはカッコ良かったんだけど…」「このアイテム自体はカッコ良いけど、自分のワードロープにどう取り入れていいものやら…」「そもそもサイズが合わない…」と、届いたそばからタンスの肥やしを増やしてしまった悲しい経験をされた方も、多いのではないでしょうか。

かといって試着をして歩く時間も作れない、ましてや散々店員のアドバイスを受けて試着した後で、「もう少し考えます」とは言いづらい…「スタイラー」は、そんな消費者目線での悩みに対しても応えるものになりそうです。

あらかじめ沢山のラインナップの中からチョイスしたアイテムを、コーディネートを含め納得のいくまで相談でき、既に店員の人柄も分かっていて、信頼関係の出来上がった状態で店舗に出向くことができるこのサービスは、オンラインとオフラインの壁を優しく取り払う最先端のショッピングと言えます。

ファッション分野でのO2O取り組み まとめ

スタイラーには他のファッション系SNSのユーザーのようにファッション感度の高い層だけでなく、「ファッションに興味はあるけど自身はない…」「パーティなど特別な場面でのコーデを助けて欲しい」など、より幅広い層の需要を見込めると予想されます。

また、疑問を投稿してくれるユーザーは購入意欲が高いので、提案すると購入につながりやすく、実店舗での来店時の接客時などの印象が良ければ、リピーターになる確率は高くなります。スマホのLINEなどのアプリなどで常にオンラインのコンタクトに慣れているというユーザーが多い今、「知りたい・欲しい情報をネット上で一対一で返して欲しい」という欲求はますます高まると考えられます。

スタイラーの「ネット上での接客からリアル店舗などでの実購入につなげる」「潜在的なニーズを持つユーザーをネットで細かくフォローする事で来店促進やリピータにつなげる」という考え方を参考にしてネットを利用したリアルな店舗との相乗効果を狙える仕組み作りをしてみませんか?


出典:STYLER “つながり”でファッションを楽しくするスマートフォンアプリ